第十七章:廃工場の死闘と裏切り
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もしも僕の彼女が妖怪ハンターだったら。。。(仮)
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青白い靄が立ち込める夜の森。 冷たい月明かりだけが頼りの木々の間を、白と赤の巫女装束が疾風のように駆け抜けていく。狐の面で顔を隠した謎の存在――狐巫女だ。 その後ろを、紫のダウンジャケットを着た謝花雛が猛然と追いかける。少し遅れて、稲田大和も息を切らしながら後を追った。
さらにその後方からは、黒いレザージャケットを羽織った妖怪ハンター、伊神昂も走ってくる。
木立を抜け、やがて開けた場所に現れたのは、古びて錆びついた巨大な廃工場だった。 狐巫女が工場の中へと逃げ込み、雛と大和もためらうことなくその暗闇へと飛び込む。
だが、踏み込んだ直後だった。待ち構えていた狐巫女から、問答無用で強烈な赤い狐火が放たれた。 激しい火花と爆音が二人のすぐ目の前で炸裂する。
「うわっ!」
大和が悲鳴を上げて身をすくめる中、雛は咄嗟に身を翻しつつ、電撃を放ってその一撃を相殺する。 張り詰めた空気の中、狐巫女が口を開いた。
「どうして私の邪魔ばかりするの」
その声には、深い憎悪と執着が滲んでいた。雛もまた、一歩も引かずに厳しい声で問い返す。
「お前はどうして、関係ない家族を襲うの」
狐巫女は指先を雛に向けた。
「あの女は、私の愛する人をけなした」
直後、狐巫女の腕から再び狐火が放たれ、雛のすぐそばで激しい爆発が起きた。轟音と閃光が廃工場に響き渡る。
「雛!」
大和が思わず叫んだ。爆煙が晴れる中、狐巫女はさらに言葉をぶつける。
「そしてお前は、私から大切なものを奪った」
雛は冷ややかに言い放つ。
「あの魂のこと?あれは元々私の彼のものよ」
その言葉が、狐巫女の逆鱗に触れた。
「彼のこと、何とも思ってなかったくせに……ふざけるな!」
狐巫女が刀を抜き放ち、雛に斬りかかる。雛もまた剣を抜いてそれを受け止め、激しい死闘が幕を開けた。 狐巫女の放つ赤い狐火と、雛の手から迸る青い電撃が幾度も交差し、薄暗い廃工場が眩い光で明滅する。二人の実力は拮抗しており、一歩も譲らない攻防が続いた。
「お、やってるな」
そこへ、悠然とした足取りで伊神が姿を現した。彼は二人の戦いを高みの見物と決め込んでいるかのようだ。
「伊神さん!」
助っ人が来てくれたと安堵し、大和はすがるように声を上げた。しかし、伊神は飄々とした態度のまま、大和に向かって口の端を吊り上げる。
「で、いくら出せる?」
「えっ?」
「青年、お前、彼女助けたくないのか」
「助けたい!」
即答する大和に対し、伊神は悪びれもせず要求を突きつけた。
「じゃあ出すか?三百」
「三百!?万!?そんな大金あるわけないでしょ!」
「だよなー。ただの学生さんに、そんな出せるわけないもんなー」
あまりに軽薄な伊神の態度に、大和は苛立ちを隠せない。
「しょうがねーなー」
伊神は木刀を構え、戦いの中心へと歩み寄っていく。
「伊神さん!」
雛に加勢してくれる――大和がそう信じた次の瞬間だった。
伊神が振り抜いた一撃は、狐巫女ではなく、雛の横腹を強烈に打ち据えた。 激しい閃光が散り、予想外の痛撃を受けた雛が体勢を崩す。
「うっ」
そのまま冷たいコンクリートの床へと崩れ落ちる雛。
「雛!」
大和は慌てて彼女のもとへと駆け寄った。
「なんで……」
言葉を失う大和を見下ろし、伊神は無表情のまま刀を肩に担ぎ直す。
「ごめんね、仕事だから。ね、悪く思わないで」
痛みに顔を歪めながら、雛は信じられないというように呟いた。
「え、仕事?」
伊神はゆっくりと狐巫女の方を手で示し、仰々しく宣言した。
「紹介します。俺の雇い主、狐巫女の山口七海さん」
その名前に、大和は我が耳を疑った。
「七海?」
大和の問いかけを無視して、伊神は事務的に告げる。
「今回のご依頼は、謝花雛の排除」
「え?」
雛が呆然と声を漏らす中、狐巫女はゆっくりと顔に手をやり、その忌まわしい狐の面を取り外した。 そこに現れたのは、大和のよく知る同級生、山口七海の顔だった。 七海は床に倒れる雛を鋭く睨みつけ、抑えきれない情念を爆発させるように叫んだ。
「あなたは私から、大和を奪った!」
狐の面を取り去った七海の口から放たれた悲痛な叫びが、冷たい廃工場に響き渡った。 その声を聞いた瞬間、大和の脳裏に、数日前の出来事が鮮明にフラッシュバックした。
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それでは、次回のストーリーでお会いしましょう。




