冒険者ネットワーク酒場にて
お読み頂き有難うございます。
ヒロインは檻の中です。
「黄金のガサガサを生け捕りなんて凄いじゃないか!!デアシラ!」
「まーねー。ウフフ!」
此れで高枝伐り薬草鋏は私のものっ!……二本は、予備……かなあ。どうしよう。ぶっちゃけ置き場に困るし邪魔だけど、苦労してゲットしたから知らん奴に譲りたくない……。誰か高い所の薬草取りに苦心してる小さい子は居ないかしら……。
「こ、此れで……良かったのか?おっちゃん、ポポピー、いや、こいつの行く先は?」
「え、魔物研究機関だよ。高く売れるんだよなあ」
あの後。警備騎士がワラワラ来て、目茶苦茶騒ぎになったね。酒場やら立呑屋に集うオッサンも交えてこの狭い森が筋肉祭りって感じ?……乙女ゲー騎士様(涼しげなイケメン)は所詮夢かあ。
で、マッチョごつい警備騎士様のお達しによりだねえ。
まあ、箝口令が敷かれたって訳。私とアルファーディ先生、ガーランド君に、オマケのカーデンは要らんこと喋んなってね。
男爵っても貴族様だからさあ。貴族的に罰するらしいよ。事情は知らない方がいいみたい。説明されてもわあグロいしか感想にならないらしいわ。
で、元ヒロインさんは、それは見事な黄金のガサガサ……の幼生になって、しっかり鍵の掛かった檻籠の中でピルピルしとる訳ですわ。色は黄金って程でもないくすんだ茶色。形は黄金のガサガサっぽいんだけどね……。幼生の色は黄金じゃないらしいよ。また私の要らない黄金のガサガサ知識が増えていく……。
で、まあコレは研究所に行くんだって。天文学的に育たない生物だから研究したいんだって。何と言うか……二度とお会いしたくないわー早く行けー。
不思議なのは未だ15歳位のガーランド君。何故か幼生でなくて成体の姿だったのは……多分、ヒロインの家の仕業だと思う。何をどうしたのか仕組みは村人の私には解らない。
ガーランド君が呪いの譲渡とやらをしたのは目撃したけど、光と風がブワってなって、ギャアすわお色気シーン!?私、清らかな村娘なのに!!とかくだらんことを考えてる内に終わったし。
しかし、人を魔物に変えるとか……何なんだあの家。ヒロインの家なのに暗黒過ぎじゃないか。許すまじよ!!ああもう檻の中でゴソゴソすんな!!
「……おっちゃん。俺、そこ……研究者になれるかな」
「いや知らん。お前、バカ高い学費の魔術学院通ってるんだからそこで聞けよ。早く帰れ」
カーデンが檻の中を覗きながら冒険者ネットワーク酒場のマスターに塩対応されてらあ。他のオッサンも良い顔してない。事情は話してないけど、コイツがコレを連れてきたってのがなーんとなく伝わってるんでしょう!風の噂的な奴で!
それに大して勉強もしてないのに、何しに帰ってきたんだって感じだよね。へへーんザマアミロ!
「……デアシラ、迷惑掛けて御免な」
「あっそう」
「俺、魔物研究者を目指すよ。ポポピーの家が苦しめた被害者を助けたいし、その、ポポピーも」
……謝るの遅えな。物凄く遅い。ショボくれた顔も悪くはないけど、腹立つわ。所詮アレか。ヒロインに攻略と称して魂抜かれたエンディングルートなんだなー。
例え相手が黄金のガサガサになっても……イカれてしまったのね。物語ならウットリかもだけど、好きにしろよとしか思えない。不思議ね。此処までブッ飛んでると、幼馴染みが変態になってしまったさらば初恋って感想しか沸いてこない……。
今度は異種族恋愛のジャンルがトラウマになりそう。さっさと帰れ。
「君の懺悔にデアシラを付き合わせてはいけませんよ?」
「そーだそーだ」
……肩を抱いてきたのはアルファーディ先生。腕を引っ張ってきたのはガーランド君。
……街中から帰ってきたのか。……ふたり共揃うと実にいい。後、優しいからとても嬉しいわ。
「なっ」
「きみさー、さっさと帰れよー。デアシラの邪魔すんなー」
「我々がデアシラを守りますので、気にせずズズグロさんを解明すればいいと思いますよ」
このふたりは、王都からの命令でウチの村を暫く護衛してくれる事になったんだって。
ヒロインちの残党が来かねないかららしいよ。何でよ本当に。逆恨みとか止めて欲しいわ。
カーデンはウジウジしてますね……。




