村娘なりに頑張ってから
お読み頂き有難う御座います。
ヒロインを倒してからのデアシラです。
「で、デアシラ?え?え、ズズグロさんを?」
あ!無事っぽいね!……取り敢えず手を貸して……おい、早く起きろよ。ボケッとしないで欲しいわ!と言うには追いかけ回しといて流石になあ。うん、其処まで外道じゃないから。
「デアシラ!!本当、大丈夫なんですか!?」
お、私の心配を?アルファーディ先生ったらペタペタと私の差し出した手を触って無事を確かめてきた。
ちょ、ちょっとキュンって来るじゃないの。お人好しさんめ。
いやいやイカンイカン。そんな場合じゃないわ。
「ええと、御免なさい。意表を突かないとと思って先生を追いかけて」
「結構かなり……いえ、ちょっと怖かったけど……そんな事は良いんです。ズズグロさんを油断させようとした事情が有ったんですよね?」
おお、ビビってたけど流石に魔導師、察してくれた……。良かったわー。後で怒られるかと思った……。て言うか顔色悪いわね。……悪いことしたかな。
「取り敢えず軽いトドメを刺しときましょうか」
この刺又、ギミックで真ん中に針が生えるんだよね。鍛冶屋のおじさんの特注なんだから。
「ええ!?い、いけません、生け捕りを!!」
「無理でーす」
その油断が潮招く、じゃない死を招く。
はいぶさぶさざっくざくー。……なーんてまあ、殺さないけど。流石に人殺しはハードル高いよ。私はヒロインじゃないから、罪とかそんなの背負いたくない。口だけ口だけ。
「きゃあああああ!!」
あ、ヒロインが叫んだ。大袈裟だな。この針、特注だからそんなに痛くなく刺さる筈のに。……人を殺しに来た割に、反応がフツー。酷い話よね。
白い肩から針を抜く寸前、黒い目から涙が零れ落ちて……あれ?色変わった。コンタクトレンズでもズレた?この世界に有るかは知らないけど。
「どう、して。おわらせ、たいのに。いきのねを……とめ」
……何か変で物騒なこと言ってるわね。
いや、マジ終わらせてたまるかってのよ。どんな理由が有ろうと人殺しを堂々としようとするな!と叱ってやる程仲良くもない。大体私は踏み台にされようとした村娘だから。
「!?死んで!?」
「いや、生きてますからソラニ先生。アルファーディ先生?」
「え?あ、本当に……良かった、デアシラが人殺ししなくて……」
……この人、私の事ばっかだな。まあ、悪い気分では無いんだけど。
そして、私はヒロインを制圧したのであった。まる。
……いや、それでカッコ良く終われば良いんだけどなー。寧ろそこから私の本領発揮というか後始末が本番というか。
「先生、弟さんに酔い止め薬草を」
「あっ!?は、はい!!」
スゲー、促したとは言え、本当に直立する黄金のガサガサの口の中に薬草突っ込んでる……。信じらんないわ……。
と言うことは、カーデンも治るのかな、この酔い止め薬草で。
……意識朦朧なだけみたいだし、この前見つけたカフェイン的な効能の薬草でいっか。……取り敢えず開けたままの口に突っ込んでおこう。超苦いけど。
「ぎごはっ!?げふっ!!苦!!目茶苦茶苦っ!?こ、此処は!?村!?」
「ふにゃあ、あ?あーよく寝たあ。あれえ?」
お、おお……!?
凄い。黄金のガサガサが……あっという間に縮んで金髪美少年がこっちを見ている。全裸で。
私の酔い止め薬草凄くない?一体何の成分が……。
「デアシラ!?ど、どうしてそんなボロボロに……!?」
「煩い」
そして村を滅ぼしにやってきた使者野郎に成り下がったカーデンはこっち見んな!よ。
「ガ、ガーランド……」
「にーさん、何腰抜かしてんの?運動不足?」
おおっと、美少年は毒舌だった。それにしても……いえ、あんまり見ないようにしなきゃ。私は慎ましい村娘なんだから。
「デ、デアシラ。お!俺は……って殺人現場!?ぽ、ポポピー!?」
えー何か、面倒臭そうな展開かな。お前が連れてきたんだろうに、もー。
「カーデン煩い。取り敢えず弟さんに衣類を貸してあげてください、アルファーディ先生」
「え、あ、ハイ」
「デアシラ!」
「私を殺そうとした女を連れ帰ってきたカーデンは、煩いから黙って」
「!!」
いや何をそんな顔してるんだよ。
結局ヒロインにデレて押し負けて連れてきとんでしょーに。この村を潰すようなそんな女を!!
いかん、シンプルに村人としてもムカつくわ。何だこいつ!!
ガーランド君はアルファーディと8歳違いで金髪美少年な16歳です。
細かいことを気にしないマイペースで御座います。