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8 職業?なろう作家。とか将来的には言いたい

 カチッ、カチッ、カチッ、と小気味よく更新ボタンを押下する。

 ともすれば、F5アタックになりかねない行為だが、今だけは勘弁していただきたい。

 先ほど我が人生初の『投稿』を行ってから既に数分が経過していた。

 私は、自身の小説がネット上に公開されるのを今か今かと、それこそ一日千秋の思いで待ちわびていた。


 それから程なくして、ついに私の小説と私の名前が、更新小説一覧に掲載される。

 それを目にした私は、思わず立ち上がり小躍りしそうになったが、小躍りとはどんな踊りなのかわからなかったので大人しく席に座った。

 更新した小説が更新小説一覧に掲載される。実に当たり前のことではあるのだが、私はこの事実をこのうえなく喜ばしく感じてしまう。

 これは私だけではなく、友人もそうだったに違いない。

 いや、きっと『なろう作家』全員が共通して感じる感情なのだろう。

 私は改めて自分が『なろう作家』としてデビューしたことを実感し、その喜びを噛みしめた。


 ともあれ、これで私の小説が全世界に公開されたことを見届けた。

 あとは待つのみである。

 さて、いったいどんな感想が返ってくることやら。

 楽しみなようで、不安なようで……やっぱり楽しみだ。




 ――結果から言おう。


 あれから一日が経過したが、なんの感想も返ってこなかった。

 絶賛、酷評、普通の評。一切合切なにもなし。

 ついでに言うと、レビューもなし、ブックマークもなし、評価もなしで本当に何もなかった。


 笑うがいいさ、ご覧の有様だよ。


 いや、正確に言うとブックマークは1件だけついた。しかし、お察しのとおり、これは友人が付けてくれた分だ。

 評価の方は今行うと、副垢だ、自演だなんだと突っ込まれる可能性があるので、誰かが評価を行ったあとにするとのことだった。

 さすが、日本の心、おもてなしの体現者。細かな気配りに感謝である。


 小説を公開すると、もれなく付いてくるアクセス解析機能を確認したところ、昨日は22人のユニークユーザーが私の小説を見に来てくれたらしいことがわかる。

 その内2人は私と友人であろうから、つまり私の小説は、20人のユーザーから何の評価も下されなかったということだ。

 こうなることもあると予想はしていたが、いざ現実となるとなかなかに辛いものである。


 友人からは『そんなもの』だとか『ブックマークは100人に1人、評価なんて1000人に1人付けてくれたらいい方』等の慰めの言葉を頂戴したが、やはり期待していた分、ショックは大きかった。

 なお、試しに昨日友人のページに訪れたユニークユーザーは何人だったのかを聞いてみたところ、約9000人との答えが返ってくる。

 もはや笑うしかなかった。


 昨日初めて投稿したばかりの作家と、一ヶ月以上前からほぼ毎日投稿し続けている作家。比ぶべくもないのはわかってはいるが、やはりこうリアルな数字を出されるとくるものがある。

 しかし、落ち込んでばかりもいられない。

 私は気持ちを切り替える。


 逆に考えれば、私も一ヶ月ほど投稿を続ければ、友人のような人気作家――本人は否定するだろうが――になれる可能性があるということだ。

 さすがに仕事があるので、毎日の投稿は難しいが、二日に一度のペースで投稿できるよう頑張ってみよう。


 と、決意を新たにしたところで、いつの間にか友人からメッセージが送られてきていたことに気付く。

 確認すると、そこには『投稿したての頃は読者が付きやすいから、5話くらいまでは毎日投稿した方がいい』との旨が記載されていた。


 なるほど、さすが友人である。彼はいつも私に有益な情報をくれる。

 これは今度会ったときにご飯を奢るくらいはしないといけないだろう。


 ただ……こういう情報は、もうちょっと早く言ってほしかった……。


 先に知っていれば、ある程度の話数を揃えてから投稿する手もあったのだ。

 意外と彼はこういった少し抜けているところがある。

 その様は、まさに萌えの王道、ドジっ子の体現者であるといえよう。


 しかし、元はといえば私が不勉強なのがいけないのであって、友人を責めるのは筋違いというものだ。

 それに時間がない。毎日投稿を行うということは、昨日投稿を行ったので、今日も投稿を行う必要があるということだ。

 一応、第2話は1000文字程度ではあるが書いてある。

 しかし、現在時刻は22時を少し過ぎたあたり。正直ギリギリだ、推敲をしている暇もないかもしれない。

 考えている暇も惜しい私は、慌ただしく第2話の執筆にとりかかるのであった。


 次こそは何かしらのリアクションがありますように。

 そう願いを込めて。

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