東京異能学園都市の推薦
俺は今、グラウンドの地面のでかすぎる穴を見ていた。
「これ……、深さ、十メートルくらい?」
これを見て、みんなは大丈夫?もしかして、もう死者とか?みんな、生きてほしい。無事であってほしいと東条は思っている。
学校の先生や生徒は、パニック状態に陥っている。中には、気絶している生徒だって、いる。一部の教師がなんとか、大勢の生徒を体育館に避難させようと尽力している最中だった。
そして、俺は近くにいた避難を呼びかけている知らない中年の男の教師に怯えそうに言った。
東条は、想像以上にヤバい状況だと思っていた。
今、東条は、悲しみや恐怖などが混ざった表情だった。
「あの、これって、み…ん…な、だい…じょうぶです…か?」
「うん?………学校にいる全員は1年2組の田中友紀っていう子が、みんな、助けたよ。」
「えっ、みんな、助かったんですか!」
「助かったよ。俺の超能力の「全体把握」で全員、無事だったから。大丈夫だ。」
道理で、体育館側の方と校舎の大部分が無傷なんだな。田中さんって、すごいんだな。
東条の中の少女が頭の中で言った。
「でも、これはヤバい状況だぞ。」
たしかに、それは目の前の光景が地獄絵図だから。
「おい、東条、大丈夫か?」
「…………………、遠藤。」
この前に田中さんに吹っ飛ばされた後にまた、教室に戻った時に知り合った人だ。
「あれ、お前がやっただろ。爆発。」
東条は、無言だった。
「…………………………………。」
超能力検査の時、待っていた東条の後ろにいたのは、遠藤だ。
だから、あの爆発を起こしたのは、東条じゃないのかと疑っている。
「……………俺です。」
目の前にいる中年の男の教師は、驚いている顔をしている。遠藤はやっぱりっていう顔をしている。
「やっぱり、そうか。でも、あの爆発で、無傷って、やっぱ、化け物だぞ。お前。」
「いや、俺がしたんだぞ。遠藤、こんなに、なってるのに。」
「でも、別に、恨みはないだろ。わざと、じゃないだろ。そうじゃないのか?東条。」
「うっ!、そうだ。俺はわざと、じゃないけど、…………今、こうなってる。………。」
「誰か死んだのか?誰か傷ついたか?いいや、それは、田中さんが守ったから、誰も死んでいない。傷ついていないだろ。まあ、校舎の一部が破壊されているけど、大丈夫だ。東条。安心しろ。東条。保証してやる。」
中年の男の教師が割って、入った。
「そっ、そうだな。お前は別に、悪くない。そもそも、お前の超能力が悪いだけだ。」
今、東条は自分の顔がどうなっているのか、分かっていなかった。
遠藤と教師が見ていた東条の顔は、泣いていた。
東条は、こんなことになるなんて、分からずに、自分の中にいる少女の条件をのんで、超能力を得た。
本当は、俺は超能力なんてないよ。そんなに、遠藤みたいに、優しくないよ。俺は自分勝手だよ。
深く、そう心に言った。
そして、やっと、自分が泣いてることを知って、自分の右手の甲で、涙を拭いた。
爆発からここまでの時間がわずか、十一分は、この三人にとって、長すぎる十一分だった。
「おい、お前、東条って、言ったか?」
急に現れたのは、東条の身長より25cm短い少女だった。
「お前、こっちの所に来いよ。」
中年の男の教師が目の前の少女に言った。
「ここは、お嬢さんが来る所、じゃないよ。あっ、失礼しました。」
急に教師が少女に頭を下げたのは、少女が右手で持ったカードだった。
「何で、頭を下げて……はっ!」
「ようやく、気づいたな。そう、お前を東京異能学園都市に推薦する。」
たしか、聞いたことはある。五十年前、「血の東京」で、東京はインフラや人、建物全てが消失した。そのことに、あらゆる超能力者の子どもや研究者が住んでいる東京異能学園都市に変わった。でも、そこにいけるのは、超能力者の場合、最低でも、レベル8だぞ。
「なっ……何で、俺をそんな所に……………無理でしょ。」
「うん?いや、超能力のレベルを測る球体、あるだろ。お前、それを壊して、400m以上、吹き飛ばされたのを私は見たぞ。」
「…………………………………。」
「おっ、図星だな。安心しろ。ここの損害は私が対処する。」
「………………、俺はそこに行きません。」
少女が呆れた顔になっていた。
「おい、お前、本気で言ってるのか?」
それは圧が大きい言葉だった。
遠藤は、目の前の少女が恐ろしく、何も言えなかった。
「お前は、本当にこの弱い所でいいのか?」
「今の状況は?誰が起こした?お前じゃないのか?」
「…………………………………。」
何も返せない。この人が言ってることは正しい。
俺がここにいたら、今後、怪我人だって、死人だって、出るかもしれない。今だって、俺の起こした爆発で、恐怖している人だって、いると思う。
「…………………………………。」
「よし、分かったよ。じゃあ、お前の超能力を制御するために一時的に、学園都市はどうだ?もちろん、制御できるようになったら、ここに戻っていい。」
「えっ、何で、そんなに、俺のことをそこに連れていきたいのですか?」
「何で?それは、お前がそれくらい、興味があるからだ。」
「もちろん。お前の超能力を完全に制御する時点までだ。」
「お前の親はいないけど、決めるのは、……、お前だ。」
東条は、目の前の少女をしっかりと見た。
「俺はこの力を制御したいです。」
少女は笑った。
「よし、なら、今から行こうか。」
「今から、ですか!?」
「大丈夫だろ。なぜなら、お前、全力で走ってねえだろ。」
「………………。お見通しですね。」
「じゃあ、行こうか。あっ、携帯とか持ってこいよ。」
「東条!!」
遠藤がやっと、言えた。
「俺は、お前と連絡するからな。」
東条は笑った。
「おお、遠藤、出会ったら、奢ってくれ。」
「分かったよ。」
体操服の東条は、一瞬で、グラウンドから校舎の3階にある制服をとって、着替えて、スマホも持ち、元の所に戻った。
「よし、行きましょう。」
「やっぱ、東条、ヤバいな。」
「いくぞ。」
少女の声を合図に、一瞬で、東条と少女の姿がいなくなった。
「帰ってこいよ。東条。」




