Peace2-2
教会前の橋を渡り、深い霧を抜け、気づけば見慣れた山の麓にいた。
ゆら「こんなところに出るんですね。」
りおう「真夜中なはずなのに暗くないですし、不思議な感覚です。」
ふらん「それに人もいないし、世界にふらん達しかいないみたい。」
◾︎◾︎「でも建物に入れないから、ただでご飯食べれないんだよね…。」
のえる「さっき散々食べてたじゃん。あれどこにあったの?」
◾︎◾︎「お腹空いたな〜って思って教会を探索してたら、キッチンにあった。」
みれい「流石夢の中!願えば叶うなんて、山の御伽噺みたいですね!」
ゆら「言われてみれば…!ではここで願えば、ぼくの願いも叶うのでしょうか。」
メメ「そんなの限界があるメ。実際◾︎◾︎の現実の胃袋は満たされてないメ。」
ゆら「やっぱりそうですよね…。」
見慣れた人のいない街を歩きながら、目的地の公園へたどり着く。
ろわ「皆、草取りはやったことある?」
ふらん「小学校以来かな〜。」
のえる「のえるも。」
ゆら「ぼくもです。」
◾︎◾︎「◾︎◾︎も。」
みれい「ありますよ。」
りおう「…。」
ろわ「りおうは園芸サークルに入ってるけど、街はいいの?」
りおう「…本当は駄目だと思います。でも…。」
みれい「どうしたのですか?」
リュリュ「りおうの家はブライダル関係の会社で、自然の花に触れちゃ駄目って言われてたリュから、緊張してるリュ。」
のえる「宝華って苗字、もしかしたらと思ってたけど、やっぱり島唯一の結婚式場の人だったんだ。」
ふらん「そうだったの!?あそこ綺麗だから、島外の人も結婚式あげたりしてるよね!」
りおう「この島でしか咲かない花があるおかげです…。だからこそ、色々あって…。」
ろわ「⋯りおう、駄目って言われてるなら…」
りおう「いいんです!園芸、本格的にやってみたかったんですから。」
◾︎◾︎「じゃあ、皆で頑張ろう!」
メメ「頑張るメ!」
◾︎◾︎「それでさっさと終わらせてご飯食べる!」
ゆら「まだ食べるんですか!?」
守護精霊の守護知識
始まりましたフィ。ここでは、守護精霊であるフィフィ達が、園芸に関することを色々紹介しますフィ。
今回は草取りですフィ。雑草は根から抜くのが基本ですフィが、ドクダミのように無闇にちぎると根が残って繁殖してしまう植物もありますフィ。そういう時は、茎を鋏で切って光合成をさせないようにするのが、おすすめですフィ。
他にもカヤツリグサやオヒシバ、ゼニゴケなど、雑草だけでも沢山の種類がありますフィ。それぞれに合った草取りをする為に、まずは植物の種類を知ることが大切ですフィ。
みれい「花壇の部分の雑草も全部取りますか?少し残しておいても、華やかですけど。」
ろわ「うん。植えたい花の本葉が出るまで、じか植えする予定じゃないけど一応ね。植えたい花が雑草に負けて、淘汰される可能性があるから。」
◾︎◾︎「流石ろわだね!神楽家って農業や園芸の一家だもんね。」
ふらん「そうだよね!2人の家ってすごいね!」
ろわ/りおう「…。」
ふらん「ごめん、気に障ること言っちゃった…?」
ろわ「ううん、ふらんは悪くないよ。ただ、神楽家は宝華家の分家なんだ。それは問題ないんだけど…。」
りおう「家同士のいざこざがあって、りおう達も本当は関わっちゃいけないんですよね…。」
ろわ「神楽家はあんまり気にしてないけど…。」
ゆら(だから最初、ピリついた空気になっていたんですね…。)
公園一体の草取りが終わり、教会に戻る。
ろわ「来週からは花を植えるから、またよろしくね。」
みれい「遂に花ですね!楽しみです!」
◾︎◾︎「働いた後のご飯は美味しいね〜。現実で満腹にならないのが問題点だけど。」
のえる「現実…ってことは起きたら、公園の雑草がなくなってるんだよね。とことん不思議な世界…。」
ヴェヴェ「のえるの功績が現実に反映されて、嬉しいヴェ。」
レレ「レレも頑張ったレ!こっちの世界では皆のお手伝いできて楽しいレ〜!」
りおう「そう言えば、草取りをした袋はどうするんですか?」
ろわ「色々使い道があるし、私の家で預かるよ。」
-次の日-
ゆらは早朝、公園に行ってみた。
すると、夢の中と同じで、雑草がすっかり綺麗に片付けられていた。
ゆら「凄いです…本当にあの時、草取りをしていたんですね…。夢の中にいたみれいやふらん、他の人達も夢で活動していて、実在してるんです⋯よね。」
ゆらは辺りを見渡す。
ゆら(流石に、こんな朝早くには誰もいませんよね…もしかしたら皆見に来るかと思ったのですが…。)
ゆらは踵を返す。
フィフィ「帰りますフィ?」
ゆら「はい。課題もありますし…。」
???「あれ?ゆら?」
ゆら「!!!かすむ先輩!?」
かすむ「ゆらだ〜!朝早いね!おはよう!」
ゆら「お、おはようございます!かすむ先輩も…もしかして公園を見に…?」
かすむ「公園?あれ?ここ前まで、雑草だらけじゃなかったっけ?誰か掃除したのかな?」
ゆら(あれ?知らないのでしょうか…やっぱりメメさん(仮)はかすむ先輩ではない…?でも、みれいもふらんも夢のこと話さなかったですし、先輩も黙っているだけの可能性が…!)
ゆら「せ、先輩は散歩ですか?」
かすむ「うん!今日早く目が覚めちゃって、朝散歩もいいかな〜って!」
「見て!公園が広くなってるよ!」
「じゃあ鬼ごっこしよ〜!」
ゆらとかすむが会話をしている間を、2人の子どもが走って通り過ぎ、公園へと向かっていく。
「待ってよー!」
後ろから、息を切らした子どもが追いかけてきた。その子がゆらを避けようとした時、足を引っ掛けたようで転びかける。
かすむ「危ない!」
ゆらがなんとかその子を支え、下敷きとなる。
ゆら「大丈夫ですか?」
「うん⋯ありがとう。」
「うぇーん!!!」
公園の方から、子どもの泣き声が聞こえる。
どうやら、階段で躓いてしまったようだ。
かすむが宥め、新品のペットボトルから水を取り出し、傷口を洗っていた。
かすむ「急がなくても、朝早いんだし沢山遊べるよ。」
「でも、怪我しちゃったから⋯痛くて鬼ごっこできない⋯。」
かすむ「鬼ごっこ以外の遊びも沢山あるよ。折角お友達がいるんだから、皆で何したいか、案を出し合ったらどうかな?」
ゆらはハッとし、支えていた子どもに話しかける。
ゆら「貴方は、何をして遊びたかったんですか?」
「えっと⋯本当は鬼ごっこじゃなくて、砂遊びがしたかった⋯。スコップとか持ってきてたし⋯」
その子はリュックから遊び道具を取り出して見せていた。
「こんなに沢山⋯ごめん、遅いからって置いていって⋯。」
「ううん。遊ぶの、楽しみにしてた。」
「3人でいっぱい遊ぼ!」
かすむ「これで大丈夫!」
子ども達が話している間に、かすむは手当てを終えていた。
ゆら(かすむ先輩、やっぱり凄いです⋯!)
「ありがとう!」
かすむ「どういたしまして!」
ゆらとかすむは、子ども達に手を振り、その場から離れ歩き始める。
ゆら「先輩、流石でした!手際が良いですし、子ども達をよく見ていて、その場にあった声かけができて!」
かすむ「そういうゆらだって、転びかけていた子をすぐに受け止めてたじゃん!そのおかげで、あの子は怪我をせずに済んだんだから!」
ゆら「それは、よくそういった現場に会うからと言いますか⋯」
かすむ「⋯?ゆら、ちょっと腕見せて。」
ゆら「はい!?」
かすむ「やっぱり怪我してる!何で言わなかったの!?」
ゆら「これも、日常茶飯事でして⋯」
かすむ「だからって放っておいちゃ駄目だよ!消毒するから、ちょっと待ってて。」
ゆら「⋯ありがとうございます。それにしてもかすむ先輩、準備良いですね。」
かすむ「ゆらと同じで、こういう現場よく見るから、持ち歩くようにしてるんだ。」
ゆら(だから手際も良いんですね⋯!)
かすむは器用に手当てをし、鞄を持ち直す。
かすむ「よし、かすむはこの後、いとこの家行くけど、ゆらはどうするの?」
ゆら「ぼくはもう帰ろうかと⋯それより先輩、いとこいたんですね!」
かすむ「うん!あの子達を見てたら、様子見に行きたくなっちゃった。」
かすむが少し暗い顔をしている気がした。
ゆら「どうかしたんですか⋯?」
かすむ「ううん⋯ただ、その子はすごく良い子で繊細で、だからこそ危うくて⋯ちょっと心配なんだよね…。」
ゆら「⋯そうなんですか…。」
かすむ「それじゃあまた、学校でね!」
ゆら「⋯はい!」
(先輩のいとこさん、大丈夫でしょうか⋯。それにしても先輩、やっぱり優しいです。よく食べるところ以外は、雰囲気も話し方もメメさん(仮)に似ているんですけど…。)
かすむ「あ!」
少し遠くへ歩いていったかすむが振り向き、
かすむ「今度、また一緒にご飯行こうね〜!」
ゆら「…!はい!楽しみにしてます!」
ゆら(そう言えばかすむ先輩、あそこまで食べているのは見たことないですが、食べることは好きなんでした!ぼくの知らないお店沢山知っていますし!やっぱり、かすむ先輩なのかもしれません!)
ゆらは夢の中のことを思い出しながら、かすむが見えなくなるまで背中を眺めていた。
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。
守護精霊の守護知識で書いた園芸の知識は、諸説あると思いますので、参考程度に留めていただけたら幸いです。




