Peace6-3
すると、るかのお腹がなる。少しだけ皆の顔に、笑顔が戻った。
りおう「リュリュにご飯あげたいですし、りおうは家に帰ります。」
のえる「のえるとふらんも、一度外に出てみるよ。現状を知っておかないといけないし。」
みれい「じゃあ皆一度家に帰って、教会で泊まりませんか?」
りおう「話聞いてました?」
るか「いいね。暫くお菓子も食べれなくなるだろうし、食の偉大さを語ろう。」
のえる「ここにも聞いてない人がいる。」
ふらん「教会が残ってくれたおかげで、今のところ住む場所は困らないけど、早く引越し先見つけないと。」
ろわ「焦らなくても、ここは皆の場所だから自由に使って。」
のえる「それは流石に悪いよ!それだけじゃなくて、もし⋯ここがなくなっちゃったら⋯」
ろわ「なくならないよ。」
ふらん「え?」
ろわ「この教会は、師匠が私達の為に現実世界へ運んでくれたもの。だから花の天国が滅びても、この教会は滅びない。」
ゆら「確かに、あの頃の教会のままですね。」
みれい「よし、帰りましょうか。」
るか「⋯ろわも一度、家に戻るの?」
ろわ「うん。ゆうりさんにも迷惑かけちゃったから。家出だと思われただろうし、ちゃんとあの家で暮らすって伝えなきゃ。」
りおう「⋯園芸は続けるんですか?」
ろわ「うん。きっと師匠は、恩返しとか考えないでほしいと思うだろうけど、私は園芸を続ける。あの国も人間界も許せなくても、私にできることはそれしかないから。」
りおう「⋯!恐らく、ろわにしかできない事です。」
ゆら「ゆらもまた、園芸の手伝いをしてもいいでしょうか?勿論福祉も頑張りますが、皆と、植物と生きていきたいです!フィフィ達の願いなら尚更!」
ろわ「いいの⋯?もう、無理して園芸する必要ないんだよ?」
るか「無理なんてしてたら、るかは散歩時間削ってまでここに来てなかった。」
ゆら「ゆらは自然の中にいる居心地が好きだから、手伝いたいんです。」
るか「るかも、植物といると睡眠の質が良くなる気がするから手伝う。」
みれい「みれいも、もっと植物のこと知って、創作の糧にしたいです!」
ふらん「ふらんも!」
のえる「それならのえるも。」
りおう「この状況で留学ができるとは思えませんし、りおうも手伝います。」
ろわ「⋯ありがとう。」
せれん「せれんはこれからもコンピュータに世話になるけど、インターネット接続できるか分からない⋯。」
のえる「相変わらず、中毒だね⋯。」
せれん「当たり前じゃん。要は植物育てなくても天寿を全うすればいいんだよ。それが出来てるなら好きなことを貫いてもいいじゃん。」
ろわ「まあ理には叶ってるか⋯。
でも、せれんもありがとう。今度こそ、皆で人生を全うしよう。」
せれんが地面に座り込む。
るか「せれん、大丈夫?お腹空いた?」
ゆら「それなら何か食べるものを…!」
せれん「違う。生まれ変わる前のことまで思い出したから、頭パンクして何かしら忘れそう。」
のえる「こんな壮大なこと、忘れられそうにないよ。」
ふらん「夢の中とか皆と出会ったりとか、この一年色んなことがあったもんね。」
せれん「皆との思い出も忘れそう。」
みれい「ええ!それは忘れられたら悲しいのですが!?」
りおう「けれど先は長いですし、忘れたくないですが、せれんが覚えていられるかどうか…。」
ろわ「それなら大丈夫。せれんが何度忘れても、何度も忘れない思い出を作ろう。」
皆は生きることを改めて決意した。
ろわは数日後、ゆうりに「『迷える天使』の童話はどこから着想を得たのか」と聞いてみた。
ゆうりはいつものように穏やかに笑いながら、
ゆうり「夢で何度も見たから、何かの啓示かなと思って描いただけなんだよね〜。」
と話していた。
思いつきで描いただけなのに、みれいが作者のことを慕っていたので、本人だと話すのが申し訳なくなり、黙っていたそう。
ゆうりは師匠と違い、生まれ変わる前の出来事を覚えてはいなかった。しかし、花の天国で先生となる人物は、天国の本当の歴史を知ることができるため、恐らくゆうりは師匠によって、その記憶だけ覚えていたのではないかと、ろわは憶測を立てた。
ゆうり「そんなことより、園芸や農業を続けるなら、これから忙しくなるよ。」
ろわ「うん、師匠がもういないから、経営もどうにかしないと…」
ゆうり「それもあるけど、多分この島以外からも神楽家は重宝されて、やめたくてもやめる選択肢を取れなくなっちゃうよ。それでも、先生が遺したこの場所を継ぐ?」
ろわ「重宝って、食糧難になるかもしれないから?例えそうなったとしても、こんな異端者の島を頼らないんじゃ…」
ゆうり「頼るよ。多分この島は、もう今までの形を保たなくなる。」
ろわ「…?」
ゆうりの直感はよく当たった。
隕石の落下地が大都市だった為、どの国も人口への被害は莫大だった。自然の多い場所は護られていたが、流通は分断されたので、大都市付近は食糧難になった。農業の価値が見直され、推進された為、神楽家にも多大な支援金が入った。
どの国も人手不足となったこと、異端者の島に被害がなかったことが重なり、島に異端者を隔離し続けられなくなった。島の住人は積極的に島外に出ることを許された。
少しだけ息がしやすくなった世界を見て、ろわは師匠が8人を自決させないための深慮のもとにあったのではないかと悟った。
小説をあまり読まない為、脚本調になっています。




