5-12 力を持つ子
コウとツウは、手のひらを重ねて、ギュッと繋いでいる。
「怖がることはない。何かしない限り、何もしてこない。」
「そういう何かが、いるんですね。」
「そうだ。ここは厚い雲に覆われ、雷が走り、人を惑わす山。多くの妖怪が住んでいる。」
「強い力を持っている、見えない何かを強いている、そういうことですか。」
賢い子だ。さすがジロの孫。それにしても、仲が良いな。ずっと手を繋いでいる。
雲井社。思ったより、大きな社だ。それに、何か、いる。ずっと見られている。
釜戸社の祝は、姿をお見せにならなかった。大きな布の向こうにいらした。雲井社の祝は、違うんだな。村の祝と同じだ。
「釜戸山から乱雲山まで、遠かったでしょう。」
「はい。馬に乗って来たので、そんなに疲れていません。ありがとうございます。」
まぁ、なんて賢い子。それに二人とも、心が澄んでいる。他の子たちとも、仲良くなれるでしょう。
「サエ。二人を、子の家へ。」
「はい。さあ、いらっしゃい。」
「フクさま。」
「ツル。力を持つのはツウよ、女の子。」
「そうですか。」
なんとなく、そんな気がしていた。ツウから、近づいてはいけない“何か”を感じた。
「ゴロゴロさま。女の子、ツウですって。」
「あれは、強い力を持っている。」
「強い、とは。」
「恐らく、天つ神の力だ。」
「えぇぇぇぇぇ。」
「驚くのは、早いぞ。」
「まだ、何か。」
「コウにも強い力がある。」
「天つ神の、でしょうか。」
「いや、国つ神だ。まだ眠っているが、確かにある。」
「で、どうしますか。」
「どう、とは。」
「ほら、あの、思い上がりども。」
「捨て置け。」
「良いのでしょうか。」
「良い。ツウとコウは、添い遂げる。思い上がりなど、蹴散らかす。」
ゴロゴロは気づいていた。コウの力は、大きく働きかけるものだ。使い方を誤れば、滅びを齎す。そして、ツウは。
ツウの力は、生まれ持ったものではない。コウとの子に、受け継がれる。その子はいつか、祝辺の守になる。
フクは気づいていない。教えてやらねば。ツウとコウ。二人を、守らなければいけない。




