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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山
85/1939

5-12 力を持つ子

コウとツウは、手のひらを重ねて、ギュッと繋いでいる。



「怖がることはない。何かしない限り、何もしてこない。」


「そういう何かが、いるんですね。」


「そうだ。ここは厚い雲に覆われ、雷が走り、人を惑わす山。多くの妖怪が住んでいる。」


「強い力を持っている、見えない何かを強(し)いている、そういうことですか。」



賢い子だ。さすがジロの孫。それにしても、仲が良いな。ずっと手を繋いでいる。




雲井社(くもいのやしろ)。思ったより、大きな社だ。それに、何か、いる。ずっと見られている。


釜戸社(かまどのやしろ)の祝は、姿をお見せにならなかった。大きな布の向こうにいらした。雲井社の祝は、違うんだな。村の祝と同じだ。



「釜戸山から乱雲山まで、遠かったでしょう。」


「はい。馬に乗って来たので、そんなに疲れていません。ありがとうございます。」


まぁ、なんて賢い子。それに二人とも、心が澄んでいる。他の子たちとも、仲良くなれるでしょう。


「サエ。二人を、子の家へ。」


「はい。さあ、いらっしゃい。」




「フクさま。」


「ツル。力を持つのはツウよ、女の子。」


「そうですか。」


なんとなく、そんな気がしていた。ツウから、近づいてはいけない“何か”を感じた。




「ゴロゴロさま。女の子、ツウですって。」


「あれは、強い力を持っている。」


「強い、とは。」


「恐らく、天(あま)つ神の力だ。」


「えぇぇぇぇぇ。」



「驚くのは、早いぞ。」


「まだ、何か。」


「コウにも強い力がある。」


「天つ神の、でしょうか。」


「いや、国つ神だ。まだ眠っているが、確かにある。」



「で、どうしますか。」


「どう、とは。」


「ほら、あの、思い上がりども。」


「捨て置け。」


「良いのでしょうか。」


「良い。ツウとコウは、添い遂げる。思い上がりなど、蹴散らかす。」




ゴロゴロは気づいていた。コウの力は、大きく働きかけるものだ。使い方を誤れば、滅びを齎(もたら)す。そして、ツウは。


ツウの力は、生まれ持ったものではない。コウとの子に、受け継がれる。その子はいつか、祝辺の守になる。



フクは気づいていない。教えてやらねば。ツウとコウ。二人を、守らなければいけない。


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