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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
84/1632

5-11 高すぎる自己評価

甘かった。猫をかぶっていたのだ。受け入れたからには、戻せない。乱雲山に入ってすぐ、聞こえたのだ。毒づく子の声が。



「気が滅入るわ。何で、私ばっかり。」


「何ココ。釜戸山のほうが、マシ。」



思わず、天を仰いだ。『山守社にまで、断られるなんて。憐れ』そう思った私が、愚かでした。ヒドイ。ひどすぎる。


社に近づくにつれ、聞いていられなくなる。耳をふさいでも、聞こえてしまう。フクには力があるから。遠く離れた人の、心の声が聞こえてしまうから。



「大人しくしなさい。祝の前ですよ。」


ツルの声が低い。怒っている、とても。


「はぁい。」


何よ、偉そうに。私だって、好きで来たわけじゃない。来てやったのに。持て成しなさいよ。



思わず、溜息をつく。気の毒な子だとは思う。けれど、これほどとは。


「祝。」


「あなたはもう、乱雲山の子です。しっかり学んで、良き人になって下さい。」


「はぁぁい。」


はぁぁぁ? 良き人って、なに。



「サエ、頼みます。」


「はい。さあ、いらっしゃい。」


「はぁぁぁい。」


何が、いらっしゃい、よ。




「乱雲山はね、人を惑わす山なの。決して降りてはいけません。戻れなくなりますよ。」


「はぁぁぁぁい。」


「お聞きなさい。厚い雲に覆われ、雷が走る。それはそれは、恐ろしい山なんです。降りてはいけません。」


「はぁぁぁぁぁい。」



なぜ、わからないのかしら。どう接すれば良いの? こんなに歪んだ子、はじめて。いくら諭しても、効を奏することがない。何も届かない、響かない。


心を閉ざしては、いない。・・・・・・なのに、なぜ。明らかに、接し方を変える。情け深い、持て成しを受けることしか、考えない。思い通りにならないと、暴れる。




「釜戸社から、雲井社へ。どういうことか、よく考えなさい。」


知るか、ババア。



「乱雲山は、誰もが入れる山では、ありません。どういうことか、よく考えなさい。」


うるせぇ! ババア。



あぁぁあ。何よ、どいつもこいつも。口を開けば、乱雲山、雲井社。だから、なに!



そんなに凄い山なの、ココ。


そんなに凄い社なの、アレ。


ってことは、私って。



「私はね、アンタらとは違うの。選ばれた娘なの。四の五の言わず、働きなさい。」


そうよ、私は選ばれたのよ。ウフフ。



「私のために、働きなさい。」


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