世界の敵
今から世界を滅ぼそう。
最近、「世界が終わればいい」と思った。
理由はなかった。
踏み出した駅のホームでふと思った。
ただ単に、生きてるのがつまらないと思ったから。
ただ単に、君が泣いていたから。
ただ単に、憎しみ合うのが嫌だったから。
ただ単に、誰も笑いあえない世界だったから。
飽きた?
もうとっくに諦めてるから。
死にたい?
そう思うのは正常じゃない?
生きたい?
ただ無駄に過ごすならいくらでもできるけど
「もうどうでもいい」
ずっとそう思ってた。
繋がりたい。縛られたい。心はどこに?
愛しあいたくても疑いあう今の僕ら。
「壊れちまえ」
人が死ぬのはほんの一瞬。
潰されて、壊されて、消え去っていく。
人は死ぬ。
忘れられていく。
二度死んで、僕らは大きくなっていく。
人の死を喰らって平然と息をする。
どうせなら人類も一瞬で消えてしまえばいい。
痛みもなく、暗闇に沈めばいい。
「居場所のない」
「愛が欲しい」
「殺したい」
「殺されたい」
息ができないくそったれな世界。
へし折って、引き裂いて、穢しつづけて。
中身を抉る
その顔は
好奇心と興奮に染まっていた。
「満ちたりない」
その声は、どこにでも、転がっている、ありふれたものでしかなくて。
あなたの声はかき消されて、沈んでいく。水の星を染めていく。
黒と赤の汚れた色が、僕たちを押し流す。見てないフリもいつかは終わる。
命の灯を飲み込んでは狂う。
――もう嫌だ。
君の手を引いて駆け出した。
出口はない。答えもない。
傷の呻く、灰色の夜の空の下。
あいつらが
指を指し
笑う声を
心の底から叫んでかき消した。
「死んじまえ」
「どうでもいい」
「下らねぇ」
逃げ出したはずの僕の内心は、
結局のところ黒かった。
ごみ溜めみたいな世界を恨んで。
毒に汚された海を嫌って。
でも構わない。
例えこの声が
あの時踏み出した時の心情と
何ら変わっていなくとも。
僕の馬鹿みたいな叫びに
隣の君が笑ってくれるなら。
「ぶっ壊れてしまえ」
今日の日を最後にしよう。
私の闇。私の声。




