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作戦開始

「さて、裏話を聞かせてもらおうか。......うん、美味い」


「あのお、サンドイッチを両手でほおばりながら言われても困るのですが......」


「いいわよ。さっさと始めちゃいなさい。......うん、確かにイケるわね。このサンドイッチ」


「......」


 平野には、哲秀たちしかいない。ただ、はたから見れば彼らは完全にピクニックをしているようにしか見えないだろう。それだけ仕事オーラが出ていないのだ。ナベルが話を渋るのも無理がない。


「口は食事に向いていても耳は仕事に傾けることなど我のいた世界では日常茶飯事だ。構わず説明をしてくれ。むむ、この味は......こちら世界にもマヨネーズはあったのか! やけに口に合うと思ったらそういうことかあ!!!」


「......始めます。オッホン! 確かに、この平野にある鉱山は我々の目の前にある岩一つだけでございます。しかし、この平野の地下には恐ろしい量の貴金属が眠っていると地元のものは信じておるのです」


「よくある話だな。で、掘り出していけない理由は何なのだ?」


「食事中でも、頭の冴えはお変わりないようで......」


 ナベル、初めて哲秀に呆れている。彼の変な器用ぶりに唖然としているのだ。


「地元住民は、『掘り出すと竜が表れて世界が焼き尽くされる』と考えているのです。実際、何度か採掘後に近くで火災が発生しております」


「この世界に、竜はいるのか?」


「伝説の上では。宝を独り占めする貪欲な魔獣として言い伝えられております」


「最近の目撃者は?」


「おりません」


「最後の目撃情報は?」


「二千年前と言われています」


「うむ......」


 哲秀は、もう一個サンドイッチを口に入れて思案する。


「俺が異世界から来たってことはどのくらい知れ渡っている?」


「城下町くらいにしかまだ知られていないかと存じます。宰相様がいらしてからまだ三日ですから」


「そうだな......よし、決まった!」


 哲秀、数秒目をつぶった後膝を叩く。


「決まったの、テーデ?」


「ええ。姫様にもたくさん働いていただきますよ!」


「な、何なのその笑顔? 嫌な予感しかしないんだけど......」


 珍しくげっそりするミーシャ。


「私は、何をいたしましょうか?」


「ナベルはまず、この辺一帯に俺が異世界から召喚された宰相だってことを噂で流してくれ。あと、この情報を加えるのを忘れるなよ......」


 哲秀はナベルにそっと耳打ちする。


「なるほど。仰せのままに」


 ナベル、うなずくとすぐに近くの集落へと走り出した。


「さてと、姫様。ハルーシャ様あたりに連絡はとれますか?」


「ええ、魔法の通信機持たされているから」


 懐から小さなステッキを取り出すミーシャ。


「では、彼女を通じて今から言うことを全て実行していただきます。できれば今日か明日のうちに」


「あ、あんたが真剣なのは分かるけど。ちょっと怖いんだけど......」


 ミーシャが少々後ずさりする。

 それだけ、哲秀の表情が恐るべき策士の顔をしていたのだ。

いやー楽しいですね、この哲秀の策士ぶり。

すぐに次話に手を付けたいと思います。

里見レイ

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