到着地点は遠足の場所?
「ふーん。なかなか空気が綺麗なところじゃない! 気に入ったわ」
「僕も結構好きですね。のびのびとして心が洗われます」
「......ナベル、我はピクニックに来たわけではないよな?」
「はい、ここが例の鉱山です」
「それにしては......平野が広すぎだろーーーー!!!」
哲秀の叫びが一面の草花を揺らす。
あれから半日後、哲秀一行は目的の鉱山へと着いた。
着いたのだが、肝心の鉱山はというと......
「これだけの平野に対し、鉱山はこれだけなのか?」
「はい、殿下もそれを理由に撤退されたようです」
平野の中央にポツンとそびえたつ高さ十メートルほどの小さな岩石。
これが、例の鉱山だ。つまり、土地管理費のわりに採集量がないということになる。
「ナベル、そろそろ本題を頼む。これを覆す何かがあるから連れてきたんだろ?」
「はは、さすがは宰相様。まったくその通りでございます。では、ご説明します」
「頼む......て、姫様! いつまで遊んでらっしゃるのです? お仕事始まりますよ!」
いつの間にかミーシャは平野の中を走り回っており、ナベルに聞く耳持たず。
「ペイック、お連れしろ」
「はい、宰相!」
野兎のように駆け巡るミーシャを必死に追いかける雑用係ペイック。
しかし、ペイックの俊足をもってしても一向に捕まらない。
「......仕方ない、姫様がいらっしゃるまで休憩するか。ナベル、朝食をくれ」
「かしこまりました。お茶もございます」
「安いやつで構わん。今は財政難だからな」
ナベルの用意した朝食をのんびりと食べ始める哲秀。ボリューミーで肩の凝らないメニューを食べ、久々に彼の気分が穏やかになっていく。
「あの少年。俺の代わりに姫様の相手してくれて助かるな。もう正規採用していいいぞ」
「言っちゃいますか? 姫様が悲しみますよ」
「姫様の前では言わん。ただ、この世界に来てから色々疲れたのでね。負担が減って安心しているのだよ」
口調は宰相としての威厳を保ったままだが、彼の気分は元の高校生だ。
「なーにー? 私って、そんなに面倒だったのー?」
「姫さま!? いつの間にいらしたのですか? ていうか後ろから何いたずらされておられるのです! くすぐったいですよ! おやめくださーい!!!」
「ふふふー。これに懲りて私のことを他で言わないことね。あんたが私について何か言ったらまたこうしてやるんだから!」
「あははははは! 姫様、お許しください! 私くすぐりには昔から弱いもので......」
哲秀はミーシャのいたずらに七転八倒。
こうしている間に、ペイックが戻ってくる。
「へ、平和ですね......」
「さて、我々も休むとしよう。お二方にもこの時間は必要だ」
「はい。姫様、すごく幸せそうですね」
ここから経つこと一時間。ようやく一同そろって仕事が始まるのだった。
ほのぼのシーンです。ただ、色々先延ばしにしている訳ではありませんのでご理解ください。
里見レイ




