表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/47

3.嫉妬と偽りの婚約者

「ああもう、なんなのかしら。意味わかんない」


 自室でイライラとそう口走った女性は、真っ黒なウェーブがかった髪をかきあげながら、彼――ヘリオスの事を思い出していた。

 彼女は名前をレーシュと言う。

 色白の肌に真っ黒なウェーブの髪、色白の肌に映える鮮やかな紅のルージュがよく似合う、グラマラスで魅惑的な女性である。

 彼女の妖艶さに惹かれて寄って来た男性は数知れず。

 そのうちの一人がヘリオスだった、とレーシュは記憶している。

 しかし、彼が彼女にハマるよりも先に、彼女の方が彼にハマっていた。

 力強い鋭い瞳に魅入られて、彼に惚れてしまったのだ。

 彼は幾度か、レーシュの元へと通っていた。

 お互いに会う事が幸せであったし、ゆくゆくは共に添い遂げたい気持ちがレーシュには強くあった。

 現に彼に婚約を申し込んだ事もある。

 そんな気はない、彼はそう言って断ったのを今でも覚えている。

 それから、ヘリオスは急に彼女に会いに来なくなった。

 どうしても、もう一度会いたくて、彼に会おうと街を歩いていた時に、見てしまったのだ。

 自分と違う女と一緒にいる場面に出くわしてしまった。

 その女、とはセレーネの事だ。

 レーシュは信じられなかった。

 ヘリオスは自分だけを見てくれていると思っていたのに。

 別の女、しかもそれが自分よりも年下で無邪気なセレーネだった、という事にショックを受けた。

 そもそもセレーネよりは自分のほうが魅力的ではないのだろうか。

 レーシュは心の底から思った。

 しかも、セレーネと一緒にいるヘリオスの雰囲気は、もう既に、レーシュが知っている彼の雰囲気ではなかった。

 セレーネを見る瞳はどこか優しく、雰囲気もどこか穏やかになっている気がした。

 彼がセレーネを愛おしい気持ちは、遠くから見ても一目瞭然だった。

 だから、腹立たしかった。

 自分よりも別の女を選んだ事に。

 だから考えていた。

 どうせなら二人の仲を引き裂いてしまおうと。

 そうすれば恐らく、ヘリオスは自分の元へとまた戻ってきてくれるだろう、そう思った。


「嘘でもついてあげようかしら」


 セレーネがショックを受けそうな嘘を考えながら、レーシュは呟くように言った。


「しかしヘリオスも、あんな女のどこがいいのかしら。絶対あたしの方がいいと思うわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ