最悪のタイミング
「「「誕生日おめでとう!!!」」」
誕生日を祝われたのは何年ぶりだろう。もしかしたら初めてかもね。夏が始まりそうだから、そうめんを準備しておいた。母親が昔よく作ってくれた、果物入りのそうめんを。
「うわー!すんごいおいしい!!」
皆が喜んでくれた。しかし、今気づいた。気づいてしまった。僕が本来ゆっくりしていて、他の皆が食事を作るんじゃないのか?僕が作ってるんじゃ、ただのパーティーじゃん。ま、いいか。気にしない気にしない。
「んじゃ、プレゼント渡しちゃう?」
葵衣さんが大きめの袋を玄関から持ってきた。
「ま、マジでプレゼント買ってきてくれたんですか?しかもこんなデカイの…。」
「大夢くんが選んでくれたんだ。」
陽響が笑顔で言う。いつものいかにもな雰囲気をまとっておらず、純粋に楽しんでいそうだ。さて、中身が楽しみだ。何かなぁ、と…。…。………なんだこれは。いや絶対高いでしょこれ。やべぇ嬉しい涙出そうあーやばいほんとに泣きそうだ……。
「…ありがとう。ほんとにありがとう……。」
中身は、大きな青いピックアップトラックのラジコンだった。ライトも光る。サスペンションもついている。
「泣くなよ!?」
「泣くわけねぇだろ!」
大可士につっこむ。
「はぁ…。まじでありがとう。」
「そういえばさぁ、ケーキまだ?」
来実が言う。
「今いい雰囲気なんだから少し我慢しなよ…。」
鳴実が言う。
「早く食べたーい!」
「私もです!」
すずみも言う。
「磨夏もだよね!食べたいよね!」
「え、ちょ、すずみ!」
強制的に祭り上げられた形になった磨夏。
「そうだね。私も食べたい。」
陽響も賛成する。
「んじゃ、出してくるね。」
冷蔵庫の方に向かう。
「ん…あ、あれ?…………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
斬の絶叫がリビングにも聞こえた。
「なんだ?」
大可士が立ち上がって台所に向かう。全員が台所を覗くように首を伸ばした。
「斬。どうした?」
「け、けけけ、ケーキ取りに行くの忘れてたぁぁぁ!!!!!!!」
「……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??」
続いて大可士の絶叫。陽響が台所に駆け込んだ。
「大可士までどうした…?」
「斬…ケーキ取りに行くの忘れてたそうだ…。」
「………本当にごめん…。」
「で、どうする?今から取りに行くのか?」
どうしよう。取りに行く?けど店は隣の隣の隣の集落のちょっと奥の辺りだからだいぶ遠い…。仕方ない、皆楽しみにしてるんだし行くか。
「うん。行くよ。チャリで飛ばして往復30分位だから、すぐ行ってくるよ!」
そう言って、僕は台所を飛び出し、家から駆け出してチャリにまたがってペダルをこぎまくった。
往復30分って言っちゃったけど、どうしよう…。行きで25分もかかってら…。でも帰りは下りだし急げばもう10分位で着くかな。
ん…?なんだあの物体…。『Saughreign』…?何て読むんだろう。あ、メール。来実からか。早く来いってか…。はいはい。急いでるから待ってろ。って、またメール。あ、このタイミングで特才者メール…。
………
To:特殊才能開化装置起動者
Title:出動要請
本文:にかほ市夏人地区の小高い丘に向けてソーレーン連邦が新型兵器を発射。目的不明だが、近付いて危害を加えるようならば直ちに破壊せよ。
………
何でこのタイミング…!!GPS情報だと僕が一番現場に近いのか…。ケーキとチャリはここに置いてくか。あ、けど服装…。大丈夫かな、飛べるかな。お、飛べる。不安だけど、行くしかないか。
そして、たった1人で空を飛んで小高い丘に向かった。




