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462話「大魔剣ウェクサ編⑧ 飛んで火に入る魔剣!」

 二〇一〇年六月二十八日。


 翌日、オレは氷魔鎚アスマハーと闇魔弓ダクボーウを背負い、ヤマミは岩魔杖アンドースを手に学院へ通学していた。

 こうしてみれば変わった武器を持っている創作士(クリエイター)に映るだろう。

 アレクシは部屋に置いてきた。


「弓はともかく、ハンマーで戦った事ねぇけどさ……」

「どうせ光の剣の切れ味をなくして打撃武器にしてるんだし、ほとんど変わらないんじゃない?」

「ハンマーは重心違うからな~」


 並みの技はともかく、流星進撃(メテオラン)撃てっかな?

 あれは剣だからこそ一瞬連撃が可能なのであって、全く重心が違うハンマーはやりづらそうなイメージがある。


「リョーコなら使いやすいんじゃねぇか?」

戦士(ファイター)は斧に限らずハンマーも得意武器だからね」


 高架橋沿いにいつもの通学路として歩いていると、後ろから不審な気配を感じた。

 二人、怪しいフードを着てる。


「……どうする?」

「気にしないで学院へ」

「ああ」


 ボソボソ小言で交わし、普段通りに歩いている。


「そこのヒト止まれ!」


 無視を決め込んで歩きを止めない。なんせ殺気立ってるし、どう見ても友好的じゃねぇ。

 あの類の殺気は『要求のイエスノーにかかわらず、絶対殺す』だからな。


「おい! 聞こえてるのか!?」

「止まらんと殺すぞ!」


 歩きを早くして距離を縮めてくるフードの男。

 オレとヤマミは振り返る。


「……そこの背負ってるのと杖を渡せば、見逃してやろう」


 鼻と口しか窺えないフードの怪しげな男が二人。


「どうせ目撃者は殺すんだろ? だったら殺して奪えばいいだろ?」

「ほう……バカな地球人にも話が分かるヤツがいたか」

「なら言うまでもないな」


 二人は腰を低くして身構えてくる。それぞれ右手に漆黒の剣が生成される。


「なぁ、冥土の土産として自己紹介してくんねぇ?」

「地球人ごときに冥土の土産は上等か?」

「フフ……いい度胸だ。よかろう。死ぬ前に知っておくのもいいか」


 二人はフードをめくる。

 金髪半分けのヤンキーっぽい長身の男。頭上に魔剣が刺さってる。

 もう一人は赤髪ロングのマッチョ男。やはり頭上に魔剣が刺さってる。


「私は大魔剣ウェクサの下僕、獄魔剣ヘルビル!」

「同じく俺は大魔剣ウェクサの下僕、惨魔剣ジドブェノ!」


 二人して、手から剣を具現化してきた。頭に刺さっているのと同じ形状の……。

 金髪ヤンキーことヘルビルは、闇の炎を纏わせる漆黒の剣。

 赤髪ロングマッチョことジドブェノは、ノコギリのようなギザギザの大剣。なんかブイイイイイとギザギザが振動し始めた。

 対して、オレは背中からハンマーを取り出して構える。


「お、おい!? 俺を使うのかっ!?」

「ちょい試してみてぇんだ。オレは『鍵祈手(キーホルダー)』だから、色んな武器を扱えるはずなんだよな」

「ひいいい……!!」


 氷魔鎚アスマハーはブルブル震えている。


「……おい? まさかヒトに使われているのか??」

「ヒッハハハ!! 傑作だ!! 所詮は小悪党って事か! ヒトにこき使われるのがお似合いだ!」


 ヘルビルとジドブェノは「ハハハハ」と嘲ってくる。


「悔しいだろ? 大人しく使われてくれ。オレ()()が一緒に戦えば、きっとビックリさせれっぞ」

「……分かった」


 さすがに氷魔鎚アスマハーも怒りを感じているらしいので、使われる事にした。

 ヤマミの岩魔杖アンドースも大人しく従う事にした。


「行くぞッ!!」


 ジドブェノが舌を出しながらヒャッハー的に飛び出して、チェンソー大剣を振り下ろす。

 オレはハンマーで払ってガギンッと弾く。


「おっ!? やるな!」

「どうも」


 思った以上に強いと察したのか、ジドブェノは油断せず連撃を加えてくる。


 ガガッガガガガッガッガッガガガガガッガッガガガガガッガッガガガ!!


 うお、ジドブェノ強い!! 舐めてかかってると思ったら歴戦の腕前だぞ。

 隙を見せぬ剣戟を繰り出してきて、一進一退の攻防になってる。

 ハンマーは剣と違って違和感があるけど、振るっている内に少しずつ慣れてきたぞ。


「なぁ、聞いていいか?」

「なんだッ!? 命乞いとか聞かんぞ?」

「いや……、頭にブッ刺しているんだろ? 見たところ体はまだ生きているみたいだし、離れたら死なないか?」

「フッ、ハハハッ! そんな事か!」


 いったん間合いを離れてジドブェノは嘲る。


「地球人の生き死にはどうでもいいんだよ! 敢えて言うなら、この肉体を手に入れた時点でコイツは死んでる! 従って我らが離れたら、ただの屍だ! 残念だったなッ! ハハハッ!!」


 依然と笑いながら襲いかかってきて、オレは怒りを覚えた。


「なら容赦しねぇぞ! ライズーッ!!」


 地面スレスレから突き上げるようにハンマーを振り上げると、チェンソー大剣を大きく弾いてジドブェノは苦い顔をする。

 なんとか着地するとオーラを纏って素早く突っ込む。


「虐殺秘剣!! スプラッシュブラッド!!」

「スパークッ!!!」


 ハンマーの重心に逆らわず、遠心力に任せて超高速の横薙ぎを喰らわす。


 ガギィンッ!!!


 電撃が四方八方に迸るほどの衝撃が炸裂し、チェンソー大剣はギャリッと鈍い音を立てて破片が散らばった。

 切っ先が欠けてジドブェノは「ぐッ!!」と呻いた。

 オレは畳み掛けるべき、ハンマーを正眼に構え────、カッと眼光を煌めかす!


流星進撃(メテオラン)ッ!! 七連星ッ!!!」


 ハンマーの塊が七つの流星のような軌跡を描いて、チェンソー大剣を重点的に叩きのめす!

 生成した闇の剣すら粉々に砕け散りジドブェノは絶句!

 慌てて「まッ待……」と焦りを見せるが、オレは激情込める最後の一撃を頭上の魔剣にブチ込んで粉砕!


「があッ!! バッ……バカな……ぁぁ……」


 ドサッと赤髪ロングマッチョは仰向けに倒れて白目だ。頭上刺された時点でとっくに死んでるからやりきれねぇ……。

 コイツら外道だ。

 ヤマミのを見ると、杖から刃を生やして互い切り結んでいた。


「くっ! あのジドブェノがやられるなんてッ!!」


 闇の炎を纏う剣でヤマミを追い詰めようとする。しかしオレと一緒に鍛えているだけあってヤマミは凌ぎきってる。

 ヤマミ自身も闇属性の魔法を使っているので、ヘルビルの黒炎も及ばない。


「ち……! 私の黒炎が効かないなんて……!! うっ!?」

「終わりね」


 なんとヘルビルの影に黒いトゲが刺さっている。


「ぐ……ぐぐぐッ!? う、動けん……ッ!!」


 プルプル震えたまま焦るしかない。

 オレとヤマミが歩み寄り、ヘルビルは恐怖を帯びていく。すかさず頭上からスポッと魔剣が抜けて飛んで逃げようとする。

 逃さんと、オレは飛び上がって柄を掴む。ガシッ!


「く……このッ!!」


 なんと刀身を曲げて、こちらを刺そうとする。

 普通に掴んでパキリと折る。刃を失ってヘルビルは「ヒッ」と萎縮した。

 着地して魔剣を眺める。


「獄魔剣ヘルビルだったか? どうせ刀身再生できるんだろうけど、また折るからな?」

「こ、殺せ!! 殺しやがれッ!!」

「ダメよ。色々聞き出さなきゃね……」


 ヤマミは人差し指で触れて、呪縛系の『刻印(エンチャント)』を施した。

 喋る事しかできなくなるやつね。

 しかも強力なやつで、曲げたり震えたりするなどリアクションが取れない。ただの武器としか見えないだろう。


「ぐぐ…………!! お、おのれぇ……!!」


 すると手に持っていたハンマーは項垂れて「はぁ~肝を冷やしたぜ……」と安堵したみたいだ。


「言ったろ? 余裕だってな」

「本当に強いんだな……。俺たちが捕まっちまうのもムリないぜ……」

「あなたたち強いから、しばらくついていくわよ」


 氷魔鎚アスマハーと岩魔杖アンドースは完全に味方になったようだ。


「ぼ……僕もついていくかな……」


 背中の闇魔弓ダクボーウも観念したみてぇだ。

 気を取り直して尋問すっか。


「なぜオレたちの場所が分かった?」

「フン」

「答える気はないのね」

「口を割るバカは大魔剣ウェクサの下僕にいないんでな。さぁ早く殺せ」


 さすがは本格的な悪の組織。ヘタレな魔剣武団とはワケが違うってか。

 どんな拷問でも口を割らないかもしれねぇ。


「じゃあ、オレの武器として使わせてもらうぞ」

「刃もなしにか? ハハッ」


 オレは氷魔鎚アスマハーを背中に戻し、獄魔剣ヘルビルを握ったまま光の剣で覆う。

 刀身がなくても媒介みたいに使う事もできる。いつものの事だ。

 さすがにヘルビルも冷や汗タラタラ焦り始めていく。


「き……きさま……!」

「刀身なくても別に問題ないし、これからおまえを使って大魔剣ウェクサのやつらと戦う事にするぞ」

「や、やめろ! やめてくれっ!! 早く殺してくれーっ!!」

「いい武器が手に入ったなぁ」

「そうね」


 身動きができないままヘルビルはオレの懐へ入れられた。

 なんか「離してくれ!」「嫌だ!!」「頼む! 見逃してやるから!」とか戯言を喚くから、ヤマミが口封じの『刻印(エンチャント)』を足して黙らした。

 もう動かないが、なんか焦りまくってるのが伝わって来るぞ。


「よろしく。クズブキの獄魔剣ヘルビルさんよ」


 オレとヤマミはフフッと微笑んだ。

 氷魔鎚アスマハーと岩魔杖アンドースと闇魔弓ダクボーウはブルッと身震いした。

 こいつらに逆らわないでおこう、とオレたちに服従したのだった。

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