443話「火星総力戦⑭ ナッセ陣営出撃!」
ついに四首領の各陣営が、五領主を四人も撃破したのだった。
これで最後の五領主である“火空王”イーグルイを残すのみ!
「へっはっはっは!! ヤツらはぬるま湯につかって腐ってたがな」
ヘインが戦った“火女王”アントエーは見下してばかりの傲慢だった。
「自分のみの強さに自惚れ他を拒絶した独り善がりのぼっちだったァ……」
ダウートが戦った“火暴王”ベアービィは孤高を騙る孤独だったァ。
「相手の正義を皮肉るネガティブなヤツだったよ!」
エレサが戦った“火毒王”コブラッシは相手の正義を否定したい悪だった。
「私の大罪を勝手に裁くだけに飽きたらず、私情で罪を決めつけて私刑しようとしてたな」
ヤミザキが戦った“火獣王”ディアディは主観的な見解で私刑する罪人だった。
報告からして五領主は手前勝手な印象が強い。
オレもマジンガもフクダリウスも独裁者の特徴だと察した。
「ナッセ隊長、フクダリウス隊長……、恐らく最後の五領主も手前勝手なヤツだと察する」
「うむ……。火闘神マルスを主軸にして火星を牛耳ろうとする不逞な輩だからな。それに与している限り正当性は見いだせん」
「ともかく、それでも四首領クラスの強さ……、気を引き締めねーとな!」
オレの言葉にマジンガもフクダリウスも頷く。
ちょっと不思議な気分。まるで同じトップに立ったような高揚感。
「ええ、ワクチンに頼らない方針で行く場合は苦戦するのは間違いない」
ヤマミがオレの補佐として口出しする。
そう、ワクチンで有利に働きかけるというチートは使わない前提で戦う。
つまりマトモに四首領クラスの敵と戦うのだ。超再生を封じるだけに留めているとはいえ、倒すには至難の業だろう。
「……もしヤベェ場合はワクチンを使う」
「フン! そんなもんに頼らなければ勝てなんのなら死んだ方がマシだし」
なんとマイシが憮然と歩いてきていた。プライド高ぇ……。
「おいおい! ダウート戦で戦ってねぇから分からないだろ!? 優勝候補のジャキガン学院メンバー含めて総掛かりであっけなく全滅してたからな!」
「知るかし! これから戦わねばならんだろし? 火闘神マルスと!」
「それはそうだが……」
火闘神マルスは五領主以上の強さを秘めているらしい。
例え五領主を破って結界を剥がしても、そこで終わりではない。ラスボスの火闘神マルスを倒さねば悲惨な未来を変えられねぇ。
「せめてあたしたちで五領主一人くらい倒さんと、足手まといのままだし!」
ガッツポーズのように拳に握ってマイシは訴えかけてくる。
誰もが沈黙する。
ナッセの絶望的な言葉もさる事ながら、マイシの言い分も間違ってない。
「……オレは後詰めで控えるしかねぇ。オレ抜きでできんのかよ?」
「てめぇは火闘神マルスへの切り札だし! 今はすっこんでろし!」
汗を垂らすオレを睨み据えるマイシ。
そんな折、ショトケイキは“希望の羅針盤”を両手で握っている。グッ!
いざという時の為に“アレ”を使う事になるかも知れない。
ナッセを見つめて、その者の将来の可能性を感知していく。いずれは四首領と同等かそれ以上になるという潜在力を秘めているのだと……。
他の基地は撃破され、残すは「E」の基地のみ……。
オレたちはマジンガ部隊、フクダリウス部隊と混合軍として進軍を開始した。
「これより制圧にかかるぞ!!」
「「「「おうッッ!!!」」」」
士気高揚と吠えて力強く歩むと、不意に旋風が基地を巻く。ブオオオッ!!!
凄まじい旋風が阻んてきて見開く。
「来るとは思ったけど、こっちは格落ちのザコ集団か!」
なんと銀髪ツーブロックのヤンキーっぽい大柄な男が浮いていた。
「お、おまえは……!?」
「ハッ! 風闘神オローラさまだ!!」
不意に巨大な稲妻がこちらを目指す。思わず飛び退いてバチチッと地面が爆ぜた。
数十メートルものクレーターに抉れたぞ。シュウウウ……!
「雷闘神レイボーもいるぜィ!!! バハハハハ!!」
今度は金髪半裸ハゲ男が腕を組んで大笑いしてるぞ。
すかさず二人の闘神が猛然と飛びかかってきて、マジンガとフクダリウスが飛び出して組み合った。
ドンッ!!!
周囲に衝撃波が荒れ狂った。ブオオオッと烈風が煙幕を押し流す。
まさかの闘神が二体待ち構えていたのは予想外だったが、基地前には既に大勢のゾンビ兵と闘士が並んでいたのも苦しい展開だ。
他の四首領が相手していた基地とは断然違う。
「フハハハッ!! ここはワシが抑えるぞッ!!」
マジンガは大剣を振るい、雷闘神レインボーの金棒と交差する!
「うむ! こっちも抑える!!」
フクダリウスは戦斧を振るって、風闘神オローラの手甲鉤(爪)と重なる!
その間をマイシたちが抜けてゾンビ兵や闘士軍勢へ飛びかかる。
「かああああああッ!!!」
まずマイシが荒ぶる灼熱のドラゴンフォースを全身に纏って剣を振るう。
すると遮るように真上から光柱が差し込んで激突!!
ズガオッ!!!!
マイシの炸裂剣と光柱が爆ぜて、周囲に衝撃波を散らして震撼が大気と地面に広がっていった。
ズズズズ……、振動が収まっていって、オレも誰もが見開く。
「させんさ!! この光闘神フッレアがいる限りな!!」
なんと炎のような橙色の長い長髪が舞い上がっている半裸の男が、両腕を左右に広げながら降りてきた。
ニイッと好戦的に笑んできて、マイシと視線が合う。
オレは「マイシッ!!」と叫ぶ。
つい光の剣を生成しようとするが、隣のヤマミがその腕を掴む。
「ダメ!」
見やると、ヤマミは首を振ってきた。
「てめぇはすっこんでろし! こいつはあたしがやるし!」
「命知らずもいいところだ。なんせ“火空王”イーグルイさまは武闘派だからな。きっちり防衛する為に軍事強化している」
フッレアの言葉で、他の五領主とは違うと感じ取った。
これだけ三人の闘神が待ち構えているのだ。手強い五領主を引いてしまったようだ……。
「一瞬で片付けてやるしッ!! かああああああッ!!!!」
「そう思い通りにできぬものだよ!! さぁかかってくるがいいッ!!」
激しくフォースを噴き上げるマイシに対して、フッレアは光から神々しい槍を生成して構える。
弾けるように地を蹴って剣と槍が交差した!!
ガッッ!!!
大気が破裂して、下の地盤が砕けて爆ぜ散る。ゴゴッ!!
荒々しくマイシが剣を振り回し、フッレアも槍を振り回して激しい激突を重ねていった。
ガガガッガッガッガッガッガッガガッガッガッガガガガガッガッ!!!
フッレアという男も熟練した戦闘力を持ってるのが窺える。
あのマイシと負けず劣らずの激戦を繰り広げているぞ。かなり強敵だ。
「こっちもどんどん行くわよー!! いっせーのォ!」
エーテルを溜めていくリョーコへ、ゾンビ兵や闘士が殺到する。
おぞましくも殺意漲らせて得物を振りかざさんとする。剣が槍が斧が牙を剥くかのように反射光を煌めかす。
「クラッシュバスターッ!!!」
リョーコは斧を振り下ろして、一気に数十人ものゾンビ兵と闘士を吹き飛ばした。
続いてエレナとスミレが格闘を繰り広げてゾンビ兵を蹴散らしていく。
「いっきますよー!!」
「行くぞ!!」
陽気なモリッカと邪険モリッカが並んで駆け出して、獅子奮迅とゾンビ兵を蹴散らして、一人の闘士へワンパンを叩き込んで爆散させた。
コハクも精霊具の槍を複製させて、四方八方に放ってゾンビ兵や闘士を串刺しにしていく。
「行くぞ!! モエキ!!」
「もちろんですわ! ジャオウ!!」
ジャオウの繰り出す黒龍が縦横無尽に駆け抜けて、ゾンビ兵を消し飛ばす。
モエキは周囲に無数のアサガオ型ライフルを生成して一斉射撃を繰り出して、怒涛の弾幕でゾンビ兵と闘士を粉砕していく。
「城山式・スターライト流星進撃!! 一、二、三、四ッ……」
ナッツも光の剣を振りながら一太刀ずつ敵を斬り伏せていく。
チカも巨大なライフルで構えて、凄まじい発砲音を響かせて遠くまで光線が伸びて大爆発を起こして数十人ものゾンビ兵が宙を舞った。
オレは太陽の剣で身構え、ヤマミが黒い小人を周囲で周回させて、流れ弾や向かってくるゾンビ兵を迎撃していく。
その後ろでショトケイキが息を呑む。
まさに総力戦といった感じだ。




