440話「火星総力戦⑪ ヤミザキ陣営出撃!」
Dと書かれた外壁の基地を前に、ヤミザキが率いる十一護衛隊が近づく。
するとやはり大勢のゾンビ兵と闘士がぞろぞろと立ちはだかってきたぞ。
「無礼な有象無象など蹴散らしてやるッ!!」
第一子コクアが一歩踏み出す。
美形の好青年。黒いスーツを身に包み、マントを羽織っている。
「オレも頑張るぞ!!」
「ライク、無茶するな。落ち着いて戦え」
「うん」
第四子ライク。色々あって小学生くらいの少年。ツンツンに逆立った金髪で勝気な性格。
第五子カゲロ。ツンツンに逆立った黒髪で寡黙な男。ライクとほぼ容姿は似ている。
「早速合体するモー!」
第六子ウユニーギ。紫の紳士服にマント。銀髪のギザギザな髪にイケメン。
第七子ホエイ。チビは緑の紳士服にマント。黒髪オカッパでオカマオッサン顔。
第九子カンラク。赤の紳士服にマント。赤髪ロン毛で馬面っぽい顔。
第十子ギュラー。大柄長身の青の紳士服にマント。坊主頭で無精ひげをぼうぼう生やすオッサン。
第十一子ムイリ。長身優男の黄色の紳士服にマント。モヒカンでパイナップル見てーな縦長な顔。
彼ら五人は『夕夏家五戦隊』として組んでいた。
揃って偶像化を出すと、合体していって巨大なスーパーロボットみたいなのになっていく。
「我らが夕夏家五戦隊! 『偶像化合体ロボ』グレードロイヤルエース!!」
ウユニーギら五人は同じ操縦室で、それぞれ操縦席に座していた。
それぞれ決めポーズをビシッと固め高らかに吠えた。
そして最後にカツカツと杖を付いて好々爺が歩いてきた。
歴戦のダクライ。執事風に整った黒服。白髪のオールバックで目が細い。少々前屈み。
「聖剣『ラー・ブリュナ』よ! 力を貸しておくれ!」
《……御意!》
杖は眩きを放ち、ジグザグと屈折する剣に変わった。周囲にクナイのような刃が四本浮いている。
戦意のオーラを表面に漏らし、黒執事ダクライ不敵に笑む……。
「では……軽く参るとしますかな」
ゾンビ兵が殺気立って「ウオオオオオオオオ!!!」と大勢でなだれ込んでくる。
空からは闘士がオーラを纏ってビュンビュン飛んでくるぞ。
毅然とコクアは見据え、全身から赤い稲光混じりに火炎のようなエーテルをボウッと噴き上げ、凄まじい嵐となって大地を揺らすほどに吹き荒ぶ。
「行きますよッ!! 猛りなさい、ホノレーヴァッ!!」
気合一喝。火炎の余波を散らし、凄まじい勢いで跳躍。鋭く振り下ろされる灼熱纏う聖剣。
それは大地を穿ち、大噴火を巻き起こして大勢のゾンビ兵が吹っ飛ぶ。
獅子奮迅と火炎の軌跡を幾重に描きながら無双していく。
「はあああああッ!!!」
まだ幼いライクは気張ってドラゴンを象るエーテルを纏い、表面にポコポコと濃密度のウロコが形成されていく。
カゲロも黒いエーテルで全身を覆ってドラゴンを象っていく。
「「グオオオオオオオオオオッッ!!!」」
大地を震わせるほどの荒々しい威圧が広がる。
息が合うように二人が駆け出すと大地が飛沫を噴き上げた。凄まじいスピードで大勢のゾンビ兵へ突っ込んで暴れまわっていく。
鋭い爪を象るエーテルが振るわれるたびに、ドッカンドッカンと大勢のゾンビ兵が宙を舞う。
さすがは光と闇の竜王の力を持つ元双子。
「はっはぁ────!!!」
血気盛んにライクが加虐的な性格を剥き出しにしつつあるのをカゲロは見据える。
「ライク落ち着け!! また失敗したいのか!?」
「あっ!」
カゲロに窘められて、ライクは思いとどまった。
例え、世界大戦でカゲロに食われて幼い姿に生まれ変わっても、失敗した記憶は残っている。
「ごめん……」
「オレに合わせて戦え!! やりやすいはずだ!」
「う、うん!」
背中を合わせて「グオオオオオ!!!」と吠えて、両手を覆う鋭い爪のエーテルを振るっていく。
互いを補い合うように軽やかなコンビネーション攻撃を繰り出して大勢の敵を寄せ付けない。
信頼しあうように背中は相方に預け、目の前の敵だけを集中して攻撃をする。
「ライク!!」
「おう!! アレだな!!」
二人が拳を突き出すと二頭の巨大な竜頭が象られて、それぞれ口を開け、共に白と黒の光子を収束。
「光闇・双竜王のッ! 超弩級・爆裂波動砲ッ!!」
闇の旋風を纏う光の扇状の奔流が広々と放射された。
数百体ものゾンビ兵が見開きながら閃光に飲まれていく。
ドゴオオオオオオオ……ンッ!!
大地を深く穿つ爆発球が輪を伴って膨れ上がって、その中心部に闇の光球が滞る。
全てを吹き飛ばさんばかりの烈風と衝撃波の津波が周囲を吹き荒れ、残るは立ち込める煙幕。
「我らも全開で行くモォォ!」
「わたくしたちを舐めないでよね!」
「ブヒヒン! キサマらなど我らが殲滅させてやるッ!!」
「おーう! 我らーが命運は夕夏家に殉ずるのーみ!」
「だからやってやるじゃーん!!」
スーパーロボット型『|偶像化《アイドラ》』の眼光を輝かせた。
「我がグレードロイヤルエース奥の手……ッ!!」
なんと片手が仰々しいドリルに変化し、ギャルルルッと高速回転を始め旋風を吹き散らしていく。
「スパイラル・ストレートクラッシュゥゥゥッ!!!!」
同時に地面を抉るほど飛沫を上げながら特攻していく!!
竜巻を纏うかのような旋風の尾を引き連れながら、鋭く高速回転するドリルを突き出し、気迫の勢いで抉らんと迫る!
闘士たちは「うわあああ!!」と絶叫しながら粉々に散る。
ズギャアアアアアアアンッ!!!
螺旋の旋風を纏って、大勢のゾンビ兵もろとも巻き込んで突き進んでいく。
ダクライは悠然と剣を構えて歩いている。
「この老いぼれがあああっ!!!」
「こいつッ!!」
「さっさとくたばれええッ!!」
大勢のゾンビ兵に加えて三人の闘士が一斉に襲い掛かる。それをダクライは鋭い目でギロリ。
老体に見合わず軽やかに俊敏に動き回り、剣を振るって軌跡を描く。
「「「ぐああああああああッッ!!!」」」
血飛沫を散らして肉片に分割されるゾンビ兵と闘士。
死角から素早く襲いかかってくる闘士の槍にも、僅か身を逸らしつつカウンターの拳を叩き込む。
「がッ!?」
鋭く急所を抉られて闘士は見開いて、ほどなく爆散した。
剣技も体術も最高レベルのダクライは、一切の無駄がない最小の動きで敵を寄せ付けなかった。
若返るまでも、聖剣と合体するまでもなく圧倒するダクライの力は底知れない。
地球に残った二代目総統ダグナとフクダリウス部隊にいるブラクロがいなくとも、十一護衛隊は向かうところ敵なしの最強の精鋭隊である。
「私は幸せ者だ……。色々失敗をしてきたにも拘らず、慕ってくれて一緒に命懸けで闘ってくれる」
彼らを見届けてヤミザキは改めて自分が恵まれてると自覚する。
これまでヒカリを取り戻す為に一心不乱と突き進んでて、彼らを無下に扱ってきた罪悪感は今でも内に燻っていた。
それを薄めてくれるのが彼らの心意気。
「私もそれに応えねばな!」
フッと笑う。




