約束
足を進めていたら肩を掴まれた。
誰だ。今奴から逃げてる真っ最中なのに。
「…お前らか」
振り返るとそこにはザ!サッカー少年という言葉がかなり似合いそうな笑顔の川島春樹と158cmと小さめの身長に金髪の頭、つり目で見た目ヤンキーの小島康介が立っていた。
二人とも同じクラスの友達だ。
「何だよーそんな顔してさぁ、俺らは祝いの言葉を言いにきてやったのにさ! な! 春樹!」
「そーそー、3位おめでとう、れんれん!」
れんれんとは僕のこの学校でのあだ名だ。
こうちゃん、こと康介の満面の笑みと、春、こと
春樹のニヤッとした笑顔に蓮はため息をついた。
嬉しくも何ともないのに…
こうちゃんはともかく、春は絶対分かってて言ってるよね。
しかし、そんなことにかまっている暇は今はない。事態は一刻一刻と迫ってきている。
「ありがとう、でも今は急いでるんだ。ごめんね、後で話そう。」
顔の前で手を合わせて、ごめん!と謝る。
今は奴に捕まらない方が先決だ。
「ん?トイレか? なら俺も一緒にいい?
ちょうど行きたかったんだよね!」
康介はニコッと笑った。
蓮は困って春を見やるが、春は“ん?”と首を傾げるだけだった。
もうこの際、逃げれるならいいや。
「じゃあこうちゃん。一緒にいこ
「なぜ逃げる?」
……逃げてません」
こうちゃんとトイレに向かおうとしたら、奴にお腹を掴まれた。
「じゃあ、竹島。約束を果たしてもらおうかな?」
奴…柳田智也は爽やかスマイルを顔に浮かべた。
整った塩系の顔立ちにさらさらな髪の毛。口元にある黒子は彼の色気を増し増しにしている様に思う。
しかし。柳田の本性を知った今。彼の爽やかスマイルは魔王の微笑みのように思える。
春に助けて! と目線を送っても華麗にスルーされた。次にダメ元でこうちゃんに同じ目線を送ると
なぜか彼の顔は真っ赤になり顔を逸らされた。
解せぬ。
蓮は逃げられないと分かってからだんだん冷静さを取り戻した。そして気づいてしまった。
今。背後から抱きしめられている…!
意識しだすともう止められなかった。
心臓はだんだん早く脈打つようになり
全身に勢いよく血が回るようだった。
顔にも熱が集中してきているのを自覚して、柳田から離れようと一生懸命暴れた。
柳田とした約束を蓮は今更ながら後悔していた。
…テストでトップ10に入ることができたら、
柳田を好きだと認める。という約束を。
僕は認めないもん!絶対に!
何でばれたかは知らないけど!
僕は認めない!




