13章 魔王編外伝
93章 憎しみからの
薄暗い、地下牢。
暗い闇の影の中から、魔王が姿を現した。
今はただ、処刑を待つ老村長に、魔王が会いにきたのだった。
「どんな気分だ、信じていた村人に裏切られた気分は」
「………。」
村長は何も答えない。
「結局、全てが無駄だったのだ。
お前が額に汗して、無限に思われる雑草を引き抜いた日々も、
子供を助けた行いも、
どれだけ村人を想おうと、
魔物のお前が、元から報われることはない。
魔物と人間は所詮、分かり合えることは無いのだ」
一呼吸おいて、魔王は尋ねる。
「助けて欲しいか?」
「……… 」
「ならば、今度こそ人間を憎みきることだ」
村長は静かに首を振り、それでも意志は変わらない。
「それでも、私は……村人を憎むことは出来ません」
「なるほど。ならば、自らの道を信じて、そのまま朝露となり消え去るといい」
「その時に知るだろう、己の過ちを」
「………貴方は、」
老村長は魔王に言いかける。
「私は、貴方がどの様にな立場の魔物かは存じません。ですが何ゆえに、そこまで人間を憎むのです?」
「…………… 」
「もし、これから貴方が、私のように人間を愛する事になったなら。
もし、誰か。誰かを、愛することになったら、
塗炭の苦しみを味わうことになりはしませんか?」
「そんな事には───。」
『ならない』と言いかけて、魔王は何事かを思って口をつぐんだ。
モヤつく胸の苛立ちを、魔王は、この時はっきりと意識したのだった。
♢
宵の闇はますます深く、地下牢の石畳の地下深くから凍てつく寒さが湧き上がってくる。
老村長に問われて、少なからず引っ掛かりを感じ、魔王は言葉を返す。
「人間を愛するか──」
一呼吸おいて、尋ねる。
「だが、お前が殺したんだろう? 例の少女を、」
「…………」
「70年前に死んだ、少女の墓を調べた。
少女の遺体は無い。調べた限り、少女は70年前から行方不明だ。」
老村長は、なにも答えない。
「お前が少女を食べた、違うか?
そしてのそのせいで、少女の善意の心が乗り移った。
お前の善意は、全てその、食べた相手の能力をラーニングする力に宿っている、そうだろう。」
あとがき
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