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アトリ 私の大切な思い出

アトリとの日々を思い出す。

トワの目の前でもべったり。

悪いと思いながらもついイチャイチャしてしまう。


「いい加減にして! それと私のどっちが大事なのよ? 」

興奮して言うことを聞かせようと強く迫る。

もちろんトワに決まってる。でもアトリも捨てがたい。

うーん迷ってしまうな。

「そのゴミは目障り! 」

嫉妬に狂ったトワが捨てるように迫る。


「言い過ぎだよトワ。たかが女の子じゃないか。そんな目くじら立てなくても」

「ふざけないで! 何がアトリよ? 大切な思い出って何? 」

そう言うのが売りであって…… 絶対理解してくれないよな。

「いやだからさ。引っ越し先にも連れて行きたいんだ。

「ふざけないで! もう知らない! 」

そう言うとトワは出て行ってしまった。


「ほらアトリご挨拶は? 」

「アトリです。ご主人様」

高性能なアトリはある程度言葉を発せられる。

それが売りの一つでもある。

「アトリ。可愛いよ」

「嬉しい」

うん。いろいろ試してみる。本当に心があるような受け答え。

もちろん俺は分かっている。彼女に心があるのではないと。

ただ体の一部を触ると声を発するからつい。

実にシンプルで可愛らしい大人のオモチャ。


「そこはダメ! 」

部位によっては拒絶する場合もある。

ただ俺の思い通りに動くのでまるで会話してるかのような錯覚を覚える。

子供にはまだ早い。クラシックな大人のオモチャ。


「なあ沖縄出張に行くんだ。どうだ一緒に? 」

だがいくら呼びかけても反応しない。

まるで壊れてしまったかのように。

今アトリが居なくなったら困る。一大事だ。


アトリ? アトリ?

何度も呼びかけるが反応がない。どうしてしまったのだろう?

「ちい…… 」

アトリと言わずに繰り返す。


最近元気のないアトリを思い切って買い物に連れ出す。

「ほらこれはお前に似合うと思うんだけどな」

「ちい…… 」


「あら…… 」

駅前でよく見かけるおばさんに遭遇。

「お久しぶりです。こちらは連れのアトリ」

一応は紹介しておく。

「あらそう…… お大事に」

「どうしました? アトリが何かしましたか? 」

「いえ…… また今度」

そそくさと行ってしまった。


どうも最近アトリに元気がないんだよな。

俺が沖縄に行くって思っていじけてるのかなあ。


興味津々な人に挨拶して回る。

「こちらアトリです。ほらご挨拶を」

「いえ結構ですよ。またどうぞ」

どうも様子がおかしい。俺を避けているよう。そんな訳ないか。


「ママこの人変? 」

「ダメ! 目を合わせないの! 」

正直な小学生と防衛反応が働く母。

俺のどこがおかしいってんだ? ああん?

つい脅し文句なってしまう。

これはまずい。アトリも何だか寂しそうだ。

元気を失ったアトリを見ていると悲しくなってくる。


気分転換に京都旅行。

旅行中は気分が優れないとホテルに籠るアトリ。

やはりどこかが悪いのか?

帰ったら専門家に見てもらうことにしよう。

アトリは何でもないと言って我慢する悪い癖があるからな。


そして月初め。

住んでいた家から突然姿を消す。

今現在も行方が分かっていない。


現在。

「俺のアトリは一体どこへ消えたんだ? 」

「それが誰も知らないんだ」

トナラ―全員が所在を掴めずにいる。

「そのうち出てくるじゃろう。気長に待てばよかろう」

お爺さんは茶をすすりながらいい加減なことを言う。


「お巡りさん! 」

「だからまだ届いてないってその物体は」

「そんな…… 」

「カス君落ち込まないで。私が付いてる! 」

トワはこんな俺でもいいと言ってくれた。

どう言う風の吹きまわしなのだろう?

でももうトワとはやり直せない。俺にはアトリしかいない。

トワとはただの共犯の関係でしかない。

アトリ…… 君は今一体どこにいると言うんだい?


「アトリ! アトリ! 」

「うるせいな! ここは交番だから静かにしろ! 」

厳しい方のお巡りさんに注意を受ける。


「さあ皆さん帰ってください」

アトリ計画の詳細は皆の知ることになった。

「そろそろ俺も帰るか」

「お邪魔しました」

トナラ―たちが帰ろうとしたその時だった。

「あーもう手間ばっかり取らせて! 疲れるじゃないか! 」

息を切らした女性が姿を見せる。


                続く

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