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トワ?

結局男は現実を受け止められずに妄想に囚われていたらしい。

哀れな男。

だがその哀れな男を助けるのもまた我ら警察の役割だろう。


「待ってください! まだ話は終わってませんよ! 」

だが男は振り返りはしない。

「とうとう本性を現しやがったな! 」

同僚が捕まえに走る。今まで大人しくするように頼んでいた。だがもう限界。

「ほら動くな! 」

「そうだぞお前! よく分からないが警察の言うことは聞くもんだ」

上司の説得。よく分からないまま警察の側に着く。

「俺は悪くない! 俺はただ彼女が失踪したから警察に駆け込んだんだ」

まだ自分が正しいと思ってるらしい。もう哀れと言うより狂ってしまったか?


「喝! ごちゃごちゃうるさいんじゃ! 」

お爺さんの怒り爆発。

今まで抑えていた男への想いを解放する。

「儂は彼女と別れたのを知っておる。お主は紹介した家を断ったんじゃろうが?

忘れたと言うのか? それともこれも儂の勘違いか? 」

一つ一つ潰していき男を追い詰める。

この戦法を取られてはただ認めるか黙るしかない。

タイミングを見計らって逃亡もあり得る。予断を許さない状況になってきた。


男は黙ったまま。だがお爺さんはそれを許さない。

「ほれ何か言ってみよ! 」

「それは俺もよく分からなくて…… 」

頭を抱える男。このまま最後まで追い詰めては危険だ。

爆発したらどうなるか分からない。


「カス君。お願い思い出して! お願い! 」

「だから…… あれトワ…… 何で君がここに? 」

強く念じたからか男が正気に戻る。


「思い出したのか? 」

お節介な前田さんが前のめり。

「そうだ。トワは俺の元彼女だ! 何で今まで忘れていたんだろう? 」

激しく動揺する男。顔色が悪い。

「ほらあなたが車にぶつけたんでしょう? 本当に覚えてないの? 」

「それは風のせいだろ。俺が悪いんじゃない」

言い訳が酷い。聞いていて腹が立ってくるレベル。

「うむ完璧に思い出したらしいの。後は当人の問題であろう。

儂らは邪魔すべきではなかろう」


こうして二人はいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。


「おいおい! 勝手に終わらせるなよ! 」

同僚は不満気味。私だって何が何やら分からない。

「うん。トワとは別れたよ。でも新しい彼女と同棲してさ。

恐らくその子が失踪したんだと思う…… 」

どうやら男は自分の記憶に自信がないらしい。

どうもその辺のことが曖昧のようでこれでは事件の本当の解決とはならない。

「おかしいのう。なぜこんなことが」

お爺さんも呆れる。


「ちょっとカス君! 私と別れてすぐに同棲したって本当なの? 」

「うん。恐らくそうだと」

「信じられない! もう最低! 」

トワさんは怒ってしまう。そして泣いてしまった。

その隣では釣られて左横田さんがもらい涙。

トワさんは抑えてるが左横田さんはワーワー喚く。

これではうるさくてやってられない。男の気持ちが少し分かった気がする。

迷惑トナラ―ここに極まる。


ただでさえ狭い交番に大人数で押し掛けて喚かれたら堪ったものじゃない。

それにほらやっぱり。何だ何だと市民の群れ。

同僚が蹴散らしたがもう戻って来たようだ。

そうです。交番では異変が起きてるんですよ。


「まあまあ抑えて抑えて」

同僚が止めるも興奮するばかり。だからそっちではない。

隣の左横田さんを宥めなくてはダメ。

同僚は楽な方を選ぶ。私は面倒な方を押し付けられてしまう。


「この人フィギア捨てないから別れたのに。何で新しい女が出来る訳? 」

ただの言いがかりで腹いせ。

「ちょっと待ってくれ。フィギアと言うのは? 」

同僚がトワさんに。だが知らないと相手にされず本人に。

「フィギア? ああ昔趣味で集めていた気がする」

思い出せないほどの遠い記憶? 

「あんた馬鹿じゃないの? 先月まで持っていたくせに!

何が持っていた気がするよ。白々しい嘘を吐いて。

今さら恥ずかしがらないでよ情けない!

確か名前があったわよね。ほら皆さんに発表してあげなさいよ」


トワさんは怒りから己をコントロール出来なくなっている。

これでは男のプライバシーは守られない。


              続く

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