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狂言?

一歳上の同僚は今回の失踪事件には関心がないそう。

どうしたのだろう? いつもは無責任に面白おかしく語って見せるのに。


失踪事件自体それほど珍しいものではない。

ただ理由もなく失踪するのが通常の失踪事件と大きく異なるところ。

しかも失踪者は大抵がお年寄り。

夜に徘徊してるうちに迷ってしまい帰って来れなくなるパターンがほとんど。

近所ならすぐに報せが来るし警察だって保護出来る。

だが三キロも四キロも歩き人通り少ない場所や廃屋でもいれば見つけようがない。

川やため池など溺れる危険もある訳で。早く見つけることが何よりも大事。


その安全策の一つとして住所氏名等の身元が分かるものを携帯させる。

だが仮にポケットに入れたとしても服にせよズボンにせよ着替えては意味がない。

服に縫いつける方法もあるが結局着替えたり徘徊中に脱ぎ捨てれば同じこと。

もはや外出させないようにするしかないが解決策などあるのだろうか?

四六時中見張るには労力もいるし精神的にもきつい。うーん。

おっと…… 違う違う。


「あまり深入りしない方がいいぞ。どうせ見つかりはしない。

あんな風に言ってるがどうせ男の暴力かギャンブルか酒だろう。

それに嫌気が差し結婚する前に逃げ行方を晦ましたんだろ。

未練たらしく追いかけても相手にされないだろうさ。最悪ストーカーに。

元夫によるストーカー事件が悲惨な末路を辿ったのはお前も知ってるだろ?

残念だが一番現実的だ。あの男はストーカー気質だったんだろ? 」


同僚は鋭い。そう言えば彼の奥さんも愛想を尽かして逃げて行った。

それも幼い娘を連れて。痛いほど男の気持ちが分かるのだろう。

自分の辛い思い出が再生されるのを極端に恐れてる?

もちろん同僚はストーカーじゃない。警察の妻でいるのが疲れたとか。

今は娘さんとどこかで暮らしてるらしいが。詳しく聞くのも悪いしな。


「ストーカーだと噂はありますね。ですがそれはお隣の左横田さんにですが」

ちょっと違う気がするんだよな。

「やはり本性は隠せないもの。もしかすると彼女の両親は行方を知ってるのかも。

取り敢えずもう一度確認をとった方がいい」

同僚の意見をありがたく受け取ることに。だがこの事件は違う気がするんだよな。

お爺さんは男と出会ったその日に当て逃げ事件に遭ってる。

まさかその関係で男を恨んで? 安易だがその可能性も残されている。


「当て逃げ事件か…… 俺も現場に。

傷がついた程度でへこんだり破損した訳ではないので悪質性はないと判断。

後は保険会社に任せたよ」

その後どうなったかまでは分からないそう。

問い合わせれば教えてくれるだろうが現段階でそこまでするほどでもない。

「とにかく残りの関係者に当たってみろ。それからもう一度お爺さんとも」

「分かりました。当たって見ます。興味湧いてきましたか? 」

「馬鹿を言え! 俺は狂言だと考えてる。もう関わりたくないね」


まずは落とし物処理から始める。

封筒一杯の資料がある。

「どれどれ…… 」

手際よく資料を捌いて行く。

「うーん」

中身を隈なく調べても肝心の会社名は出てこない。

落とし主の名前も分からないまま。

ただ資料作成者の名前が出てきた。だが全員バラバラ。

部も課も所属もあるにはあるが一般的で特定できない。

出来れば電話番号なりメールアドレスなり住所が書いてあったらな。

恐らく落としものだろう。いやゴミとして捨てた可能性も排除できない。

せめて何についての資料かさえ分ればいいのだが専門的でついて行けない。


「どうです? 手掛かりありましたか? 」

「ああここにアトリ計画とある。どうやら危ない団体に違いない」

同僚は決めつけるがそんな大事な資料なら落とすはずがない。

管理が徹底してなければ嘘だ。

「飛躍し過ぎですよ。アトリ計画が分かれば落とし主の正体が割れるのでは」

とは言えどうすることも出来ない。

アトリ計画とは一体何なのだろう? 会社の機密情報には違いないだろう。

我々警察は捜査で知り得た情報を漏えいしてはならないのだから安心して欲しい。

仮に見つかっても落とし主が心配する必要はない。

もちろん同僚が言うように危険な集団で国家転覆を狙うようなら話は別だが。

落とし主が現れたら厳しく聞き取りする必要があるな。


                 続く

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