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アトリ計画

会議中。

眠い…… 調子に乗って昼にお替りしたから眠くて眠くて仕方がない。

暖かな陽気も相まってもはや限界。

「おい! 眠ってるんじゃない! 」

気持ちよくなったところを上司に叩き起こされる。

「申し訳ありません」

「まったくふざけた奴だな。お前が主役だろうが! 」

会議が長引いた上に何ヶ国語も飛び交うものだからつい眠ってしまう。

ノロノロと余計な話に時間が取られて…… これだから会議は嫌なんだよ。

ようやく俺の出番が回って来た。


『アトリ計画』


十年の歳月をかけた一大プロジェクト。

他社に漏れないよう極秘に開発された新商品。

光栄なことに俺はそのモニターに選ばれた。だがなぜ選ばれたかまでは不明。

商品は体にフィットするらしく自然体。モニターしてることを忘れてしまうほど。

モニターして一週間は違和感はあったがそれからは完全に頭から抜け落ちた。

まさしく自然体。本当にもう何も感じなくなってしまった。

そのことを会議の場で報告すると拍手喝采が起きる。

どうやら思ってる以上の成果が得られたらしい。

しかしどうもよく分からない。身に着けてるなら気づくはずだが……


「本当にこれでいいのでしょうか? 」

「今月までは続けたまえ! くれぐれも丁重に扱って万が一にもなくすなよ! 」

まったく意味不明。身につけるものではなくてなくすような商品らしいが。

詳しいことはここにいる誰にも分からないそうだ。

知らされてるのはこの俺と開発者に社長ぐらいなもの。

だがその肝心な中身が思い出せないから困っている。

それを素直に言えば再び拍手喝采。


会議の場では社長もいなければ開発者も姿を見せない。

二人とも席を外している。

ただの中間報告だからこれくらいでいい。

結果を後ほど社長に報告し終了。

極秘裏のプロジェクトゆえに誰も全容を理解してない。

最終報告で今回のプロジェクトの全容が分かるそう。

俺は確か聞かされたはずなんだがやはり思い出せない。

うーん。どうしようもないな。


モニターの件で金曜日に特別休暇をもらい急遽旅行することになった。

まだモニター中なので一応は業務中と言えなくもないが。

羽根を伸ばして来いとのお達し。

これで心置きなく旅立てる。

引っ越してからはもちろん最近は旅行してない。

忙しいからではなく面倒臭いから。日帰り旅行さえ億劫。

だから今回の旅行は遠くに行きたい。

と言っても沖縄には出張したばかりだからな。

まあこれもモニターが上手く行ったお陰。


さっそくパンフレットを手に取る。うーん。どれがいいか迷う。

さすがに海外は遠いし高い。

「なあ俺たちの新婚旅行はどこが良い? 」

「ふふふ…… 」

駄目だ照れてしまって選んでくれない。

急な旅行だからすぐに決めないと旅館はまだしも飛行機は満杯だ。

とにかく明後日までには決めねば。

うーんどこがいいんだ?


旅行当日。

「暑いな! 何て暑さだよ! 」

京都へ来てしまった。

「暑いよ! どうにかならないのか? 」

季節外れの暑さに心が折れそうになる。

これはホテルに残ってゆっくりしてるのが正解だったかもしれない。

何も無理してクソ暑い中で寺を見る必要もない。

「どうした元気がないな」

相変わらず大人しくて感情が読み取りにくい彼女。

すべてを適当な俺に任せて良かったのだろうか?

「ありがとう。私元気だから」

そう言われたら放っておくしかない。

あれも? こっちも?

観光客だらけで見ているだけで疲れる。

修学旅行生が何組も。暑さを忘れはしゃいでいる。

それから外国人が多数。

この人はネーティブだな。隣は砕けた感じ。まさかフランス語?

アジアの団体さんに囲まれた。これは厄介だぞ。

国際色豊かな職場なものだからリスニングは鍛えられている。

うーん。寺を見に来たのに混んでいて動きが取れない。

駄目だ。金閣寺も銀閣寺も人気スポットで人だらけ。

これなら浅草寺にでも行ってれば良かったか?


一日目は寺巡り。

予定の半分も回れずに断念。

今の時期に京都と奈良観光はもう無理らしい。

ああもう疲れたな。

京都、奈良、大阪と周り最後に愛知。

愛知では最近オープンしたばかりのパークへ。

彼女が凄く行きたがったので…… 実際は俺だけどね。日程に加えた。

当然の如くここも信じられないほどの人の出入り。

それでも一日かけてどうにか回った。

これで目的は果たしたことになる。


こうして二人の非公式ながらの新婚旅行は終わりを迎える。

次はきちんとしたハネムーンに招待するぞ。


                 続く

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