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沖縄出張

沖縄出張当日。

飛行機と船を乗り継いで目的地の離島へ。

ここは数年前までは無人島だったそう。

しかし近隣の島々から人が集まって小さな集落が出来上がった。

とは言え人口は二百人にも満たない小さな村であり島。

太古より育まれた自然がそのまま。

手つかずの鬱蒼とした小山と太陽が反射して輝くエメラルドグリーンの海。

ここらでは別名で呼ばれていたが何だったかな……

ただそれは観光客を呼び込むためのもので大した違いはない。


やっぱりこう言うところは家族でバカンスに行くのが最高。

友だちやカップルも悪くないが環境が破壊されそうなイメージがついてしまう。

だから俺も子供が生まれて分かるようになったら連れて行きたい。

何年後の話って気もするがな。


ふうこんな大自然での一服はさぞかし美味いだろうな。

決して禁止ではないが同行の上司が大の嫌煙家で通ってる。

敢えて吸うのは避けるべきだろう。

嫌な空気になるのは困るし。第一灰皿がない。

こんなきれいな海やビーチにポイ捨てしたら島民にどんな目で見られるか。

三日ぐらい吸わなくても我慢できるさ。

俺はヘビースモーカーでもニコチン中毒でもない。

何と言っても大切なビジネスだからな。

我慢。我慢。うーん? 何かイライラしてきたな。

手が勝手に震える。禁断症状? ただの船酔いの影響さ。


そろそろ船の時刻だな。

何島も点在する離島めぐり。

船は一日二本。不便には感じないと島民たちは言っていた。

この島も例に漏れずに観光客を呼び込もうと必死。

あの手この手で観光客を引っ張り込むがリピート客が少ないらしい。

人口は別としてもお年寄りが大半で残りが都会から住みついたリタイア組。

それ故に子供は五世帯だけ。合計で七人。いや先月生まれたので八名か。


現在、観光地化を推し進めるために様々な試しみを行ってる最中。

一つに太陽光発電。もちろんこれだけでは呼び込めない。

ロケットの打ち上げ関連施設へ。

だがどちらも思ってる以上に不便と言うこともあり頓挫しかけている。

そこで思い切って橋。建設計画が持ち上がっている。

十年を掛けて隣の島との橋を作る壮大なプロジェクト。

我々はそのプロジェクトに関わっている。

今回は現地調査。感触を確かめているところ。


「どうですか? 」

「駄目だなこれは。白紙に戻すように社長に掛け合うつもりだ」

上司は落胆を隠せずにいる。

「もう少し何とかなると思ったのによ。これじゃただの無駄足だぜまったく! 」

「まあ観光だと思えばいいですよ。ははは…… 」

「馬鹿かお前? プロジェクトが白紙になったら大事になるぞ。

社運がかかってるんだ。わが社も無事では済まない。だがそれでも反対する。

ここでは観光客が来ない。致命的な欠陥がある。いいかお前…… 暑いな」

うちわもなく手で扇いでいる。

例年ではまだ梅雨の時期のはずだが雲一つない青空が広がっている。

この時期にしては湿度は高くないものの強烈な日差しが体力と気力を奪っている。


「どうします? もう帰りますか? 」

「馬鹿言え! フライト予定は明日。それまではここでゆっくりするんだ」

プロジェクトは一見完璧。だが上司は自然に魅力がなくリピーターの望み薄いと。

目玉がないただの島に誰が観光で来ると言うのか? そう結論づけるのは簡単。

だが改善点を見つけプロジェクトの継続、或いは撤回までするのが我々の役割。


翌日。

仕事は終わった。沖縄の海も満喫した。後は帰るだけ。

お土産のちんすこうを持って羽田へ。

「おい行くぞ」

ゆっくりお土産を選んでいたらフライトの時間が迫って来た。

急いで機内へ。


「ふう危なかったなお前」

相変わらず人のせいにする上司。

どこからか取ったおしぼりで顔を拭いている。

「オー気持ちいい」

「そんなのありましたっけ? 」

「お前が選び悩んでる時にな」

そう言いながら顔を拭き始めた。

注意することも出来ずに脇の下まで拭き始める。

本当に困ったおじさんだ。

若い女の子に嫌がられますよ。そう注意出来たらどれだけいいか。

苦労が絶えない上司のお守旅。


              続く

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