第16話 モフモフに癒やされ罪を認めた二人
本日もお読みいただきありがとうございます!
拙い作品ですが
楽しんでいただけると嬉しいです。
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∪∪V ̄V ペコリ♪
※ジョディ・スープナ男爵令嬢視点
ソフィ様がビニ公爵家に帰られた日の夕食では、甘くてとても美味しいオレンジジュースが配られた。いつものジュースより味が濃くて美味しい。身体がふわふわして楽しくなってくる。
しばらくすると、スープナ男爵家で飼っている、愛猫のタマーラが姿を現した。今は成猫なのに、子猫の時のタマーラだ。ふわふわとしたクリーム色の毛並みを持つ、愛らしい子猫タマーラがヨチヨチとこちらに歩いてくる。そのふわふわの尾は、嬉しさのあまりピンと立っていた。小さな耳がピクリと動き、甘えるような視線で私を見ている。
「おいで、タマーラ。こちらへいらっしゃい!」
タマーラの瞳は大きく、まるでキラキラと星が輝いているようだ。ちょっとした物音や動きに反応し、おもちゃや光を追いかけることが大好きな猫よ。
抱き寄せると甘えん坊なタマーラは、そっと喉を鳴らして寛ぎはじめた。ふわふわのお腹を撫でれば、幸福そうに、なお一層喉を鳴らし、尾をピンと立てて喜びを表現してくれた。
「タマーラ! なんでこのようなところにいるの? 可愛いわね。良い子ちゃん、良い子ちゃんねぇーー」
ふわりと心が軽くなり、とても優しくて温かい気持ちが広がっていく。それと同時に今まで気にしていたことが、実は取るに足らないつまらないことだったと気づかされた。
地味なドレスしか持っていないことが恥ずかしかった。オシャレな髪飾りや流行の香水を持っていないことにも引け目を感じていた。でも、大事なことを忘れていたのよ。
人は人。自分は自分なんだ。
ソフィ様やマリエッタ様と自分は違う。同じステージで張り合うべきではないのよ。
「レースがほつれてしまったのは私のせいです。スープナ男爵家の私では、ソフィ様には到底釣り合わないとわかっていますけど、憧れていてお友達になっていただきたかったのです。特別室に入ってしまったことをお詫びして、ドレスの代金を弁償します。何年かかるかわかりませんけれど、この学園をやめて働きに出て、この償いをしようと思います」
気づくと私は泣きながらウィレミナ学院長に自分の罪を告白していた。場所は大食堂で、多くの生徒達がそれを聞いていたのよ。
ウィレミナ学院長は困ったような面持ちで、「ソフィ様に委ねましょう」とおっしゃった。私の処分はソフィ様がお決めになるということだ。親しくなりたかったのに、お部屋に無断侵入したりドレスを損傷させてしまった私を、きっと許してはくださらないと思う。
でも、それは自業自得だ。両親にも多大な迷惑をかけてしまう。こうなったら勘当してもらったほうが良いのかもしれない。
ウィレミナ学院長に全てを告白すると、タマーラはどこかへ姿を消してしまった。突然、彼女が私に何か伝えようと思って、スープナ男爵家から思念を送ってきたのかしら? なぜなら、タマーラの存在は本物のように感じられたからよ。動物は飼い主を守ることもあると言うし、きっと彼女が今現れた理由があるはずだ。
私の心は穏やかで、今は気分がすっきりとしていた。これまで不安で、隠し事がばれないかと心配して眠れなかったけど、今は隠し事のない、シンプルで美しい世界に戻った。
これからどうなるかはソフィ様次第だ。心から謝罪したら、ソフィ様が下す処分に素直に従おうと思った。
※アーリン・バサム子爵令嬢視点
エレガントローズ学院のお料理が格段に美味しくなったのはソフィ様のお陰だ。今日の夕食もとても美味しい。週末なこともあり、マリエッタ様やソフィ様はそれぞれの屋敷にお戻りになられた。
バサム子爵領は遠いので、私が週末に戻ることはない。その日のオレンジジュースは、いつもと違って濃厚で果実の甘みがギュッと凝縮されていた。
気持ちが浮き立ち、踊り出したくなる。すると、ずっと私が飼いたがっていたふわふわの子ウサギが現れた。小さなウサギは、そのふわふわの毛皮がまるで雪の中に埋もれたように真っ白だ。その毛並みは、触れる手に優しさと温かさを感じさせたわ。耳はふんわりと立ち、先端は少し丸まっていて、立ち姿勢がよりかわいらしく見えた。
ウサギのほっぺたはふっくらと膨らんでおり、小さな口元から時折のぞくピンク色の鼻は、ちょうどいい大きさで触れたくなる誘惑を与える。その瞳は大きく、まるで星が輝いているかのように明るい。小さな足元にもふわふわの毛が広がり、どこか緩やかで、周りの空気に溶け込むように存在していた。
私は心が満たされていくのと同時に、小さなわだかまりが消えていくのを感じた。
「私がソフィ様のドレスを破りました。あれほど酷く破ってはいなかったつもりですが、無断で特別室に入りドレスに触ったこと自体が罪でした。ソフィ様にお詫びをしてバサム子爵領に戻り、修道院に入りたいと思います。そうよ、そうして鶏やウサギの世話をして暮らしますわ! ウサギちゃぁーーん! なんて愛らしいの?」
「おっ、落ち着いて。アーリン様。そもそも、修道院でウサギを飼うとしたら、それは絶対食用ウサギですよ。それと、この件はソフィ様の判断に委ねましょう。週明けにはこちらに戻っていらっしゃいますからね。早まってはいけません」
隣を見ればジョディ様も、「タマーラ!」と叫びながらおいおい泣いていた。「うさちゃーーん」とうわごとのように言いながら、大泣きしていた私には他人事とは思えない。私は優しく彼女の肩に手を置き、そして次の瞬間、私たちは抱きしめあい、涙を流しながら互いに慰め合っていたのだった。
ひとしきり泣き終わると、気分がすっきりと楽になった。今までは、いつかばれてしまうのではないか、と不安に思っていたから。
きっと、修道院だってそれほど酷いところじゃないはずだ。ソフィ様は公爵家のご令嬢ではないけれど、それに近い立場の方よ。その方のドレスをわざと破いた行為は、修道院送りになっても文句は言えない。
私とジョディ様は、穏やかな気持ちでソフィ様が戻るのを待っている。あの方がどんな処分をくだすのか、学院じゅうの生徒が注目するだろう。だって私達は大食堂で罪を告白してしまったのだから。
ただひとつ気になるのは、修道院に入ったらあのドレスを弁償するお金はどうやって払えば良いのかしら? 結局、両親に迷惑をかけることになってしまいそうで、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになったのよ。
たくさんの小説の中から拙作をお読みくださりありがとうございました。
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