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拙い作品ですが
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( *´∇`*)〃
γ⌒;´-ヽ〟
(∪( )
∪∪V ̄V ペコリ♪
ボナデア・ビニ公爵夫人視点 (ボナデアの回想)
私は、ラバジェ伯爵家の長女として生まれた。母はいつも忙しかった。着飾ってお茶会へ、夜会へ。貴族としての体面を保つことに、人生のすべてを捧げているような人だった。
父は最初から、私たちに興味がなかった。特に、娘である私たちのことには。この国、シップトン王国では、女は爵位を継げない。娘しか生まれなかった家は、長女が婿を迎え、その男が爵位を名乗る。それが伝統で、当たり前だったのだ。
だから、母が私たちに求めるものも決まっていた。優雅さ、社交性、そして男性に好かれる振る舞い。学問や知識は後回しだった。女には必要ない、とでも言うように。
そのことが、だんだんと我慢ならなくなっていった。私は本が好きだった。幼い頃から、ただそれだけは、はっきりしていた。
歴史、文化、社会、政治。文学も芸術も、知らないことを知るたびに、世界が少しずつ広がっていく。学ぶこと自体が、ただ嬉しかった。
家庭教師には、よく呆れられた。質問ばかりして止まらなかったからだ。
「女性には必要ありませんよ」
そう言われる分野ほど、挑戦したくなった。
母はそんな私を不思議そうに見ていた。呆れてはいたけれど止めはしなかった。理解できなかっただけなのだと思う。いつの間にか、私は家の中で浮いた存在になっていた。妹たちとは根本的に合わず、母とも分かり合えなかった。 彼女たちは私を嫌っていた。だから、私も彼女たちを好かなかった。
鏡の前で笑顔を作り、男性の視線を気にし、それだけに夢中になる妹たち。 正直、私には理解できなかった。家族との関係は、とうに冷え切っていた。会話も期待も、ほとんどなかった。けれど、それでよかった。
愛されなくてもいい。好かれなくても構わない。家族に何かを求めるくらいなら、自分の好きなことに、すべてを注ぎたい。
私がメドフォード国へ留学できたのは、祖母が遺してくれた信託預金のおかげだった。十七歳になれば自由に使える、そう定められたそのお金が、私の人生の選択肢を一気に広げてくれた。
家を出た日のことは、今でもはっきり覚えている。私は父に告げた。エレガントローズ学院に行きたい、と。
「お前は長女だ。一族のチャド=ションシーを婿にする、と決まっていただろう」
次の瞬間、頬を強く打たれた。怒りに任せた一撃だった。
「承諾しておりません。私は、あの方と結婚するつもりはありません」
それが最後だった。父は私を勘当した。けれど、私には不思議と後悔はなかった。それでいいと、素直に思えたのだ。
しばらくして、妹のヴィッキーが、チャドと結婚したと風の噂で聞いた。
それから、さらに月日が流れた。
ある日、珍しくヴィッキーから小さな肖像画が送られてきた。同封されていた手紙は、子どもを持てない私を嘲るような内容だったけれど、絵を見た瞬間、胸が温かくなった。それはヴィッキーの娘、ソフィの絵だった。
利発そうな顔立ち。
私と同じ黒髪に、グレーの瞳。
少しもヴィッキーに似ていない。
一目で、気に入った。
山ほどの贈り物を抱えて会いに行ったこともある。
それからも手紙や贈り物をし続けたけれど、返事はなかった。
すっかり諦め、もう会うこともないだろうと思っていた頃、思いがけずソフィから手紙が届いた。
私の母校に行きたい、と。
自分に投資してほしい、と。
文面からは、ヴィッキーの愚かさも透けて見えた。
だから、私は迷わなかった。
すぐにビニ公爵家の侍女を、ラバジェ伯爵家へ送り込んだ。
思い出してくれたことが、ただ嬉しかった。
どうして今まで返事がなかったのか。
それは、もっと仲良くなってから聞けばいい。
ビニ公爵家の家族用サロンで、手紙を読みながら、自然と頬が緩んでいた。
「とても楽しそうだね?」
夫にそう言われ、私は姪の話をした。
「私によく似ているのよ。しかも、エレガントローズ学院に行きたいのですって。自分に投資してくれ、って書いてきたのよ」
手紙を見せると、夫は声を立てて笑った。
「なかなか、見どころがあるな。応援してあげるといい。私も、そういう気概のある子は好きだよ」
その瞬間、決めた。
ソフィを引き取り、私が守ろう。
夫も賛成してくれた。
それで、十分だった。
それに、夫の甥の一人――ライオネル第二王子殿下には、まだ婚約者がいない。
(ふふ。家族が増えそうな予感がするわね。
なんて、素敵なことかしら)
☆彡 ★彡
エレガントローズ学院は寄宿舎のある学院だ。部屋も整え、身の回りの手配も済ませたうえで、まずはソフィを学園に置いた。
週末の休みごとに、こちらへ戻ってくればいい。そう伝える。そうして待ちに待った最初の週末。楽しい時間を過ごそうとウキウキとソフィを待っていた。
――けれど。
彼女は、思い詰めた表情でドレスのことを報告してきた。
実のところ、その件については、私はすでに把握していた。
ビニ公爵家の副シェフだったニッキーを、エレガントローズ学院に向かわせたのは、生徒達に美味しいお料理を食べさせるためだけじゃないのよ。
メイドのヘレン視点
週末になると、ソフィ様を迎えに、とても豪奢な馬車がやってきた。気付かれないように視線だけでそれを追い、私は思わず羨望のため息を漏らしてしまう。
その瞬間だった。肩に、ずしりと重い手が置かれた。息を呑んで振り返ると、そこに立っていたのは、学院のシェフ長――ニッキーさんだった。
確か、元はビニ公爵家の副シェフだと聞いている。料理の腕は一流で、体格も立派。けれど、それ以上に――いつ、近づかれたのか、まったく分からなかった。音も、気配も、何ひとつ感じなかったのだ。
「な、なにかご用でしょうか?」
声が、わずかに震えた。
「俺はビニ公爵家の人間だ」
低い声で、彼はそう言った。
「つまり、ソフィお嬢様を守るよう、奥様から命じられている。……この意味が、分かるかな?」
その一言で、すべてを思い出した。ビニ公爵夫人。機転が利き、知恵に裏打ちされた聡明さを持ち、王妃様の信頼を得、王弟に愛され、王女様からも尊敬される方。
そんな方が、大切な姪を学院に預けるのに――何の手も打たないはずがないんだわ。つまり、この人は……ただの料理人ではない。
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