第14話 ボナデアの回想 / ヘレンに迫る人影は?
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(ボナデア・ビニ公爵夫人視点)ボナビアの回想
私はラバジェ伯爵家の長女だった。お母様は毎回着飾ってお茶会や夜会に出席し、貴族としての体面を保つことに重点を置いていた。お父様は私達には無関心だったし、女の子である私達の教育にはあまり興味がなかった。
シップトン王国では、女性は爵位を継ぐことが許されていない。娘ばかりが生まれた場合は、長女が一族の男性を婿として迎え、その男性が爵位を継ぐことが慣習とされていた。これは国の歴史と文化に根ざしており、疑問に感じたことはなかった。けれど、お母様が私たちに対して、優雅さや社交性ばかりを求め、学問や知識に対する価値を軽んじたことで、だんだんと不満を感じていく。
私は幼い頃から本が大好きで、新しい知識を得ることを喜びとしていた。歴史や文化、社会学や政治学、文学に芸術など、どんな学問でも私の好奇心を刺激し、学びたいという欲求を掻き立てた。新たなことを学ぶことは純粋に嬉しかった。
家庭教師を質問攻めにして困らせたり、女性には無縁だと思われていた学問にも果敢に挑戦を試みた。お母様は、私が女性なのに学問に熱心に取り組んでいるのを見て、驚き呆れていたけれど止めはしなかった。
その頃には、私は家族のなかで変わり者扱いされていた。妹達とは根本的に性格が合わないし、お母様ともわかりあえない。彼女達も私に良い印象を抱いていなかったからお互いが嫌っていた。容姿を磨くことだけを考えて、男性の気を引くことばかりに熱中する妹達は、異質な存在だった。
家族との関係性は冷え切っていて、会話もほとんどなかったけれど、それは別に気にならなかった。お父様やお母様から愛されていなくても別に平気だったし、妹達が私のことを嫌おうとどうだって構わなかった。家族に対して愛情を求めることなく、自分の好きなことに没頭して生きよう。そう決めた。
メドフォード国に留学できたのは、お婆様が私に、17歳になってから使える信託預金を遺してくださったからだ。あのお陰で人生の選択肢が広がった。
私は家を出た時のことを思い出す。ある日、私はお父様にエレガントローズ学院に行きたいことを伝えたのよ。
「お前は長女だから一族のチャド=ションシーを婿にすると決まっていただろう?」
怒ったお父様に頬を思い切り叩かれた。
「承諾しておりません。私はあの方とは結婚したくないのです」
お父様は怒って私を勘当した。それから1年後に、ヴィッキーはチャドと結婚したと風の噂で聞いた。
ソフィに逢いに行ったのは彼女が6歳の時だ。珍しくヴィッキーが子供のミニアチュールを私に送ってきたのよ。私に子供ができないことを、馬鹿にしたような内容をしたためた手紙も一緒だったわ。
ミニアチュールを見て、私は途端に嬉しくなった。だって、この子は賢そうな、私に似た容姿の子だったから。一目で気に入って、お誕生日にはたくさんのプレゼントを持ってお祝いに駆けつけた。
その後も、手紙やプレゼントを贈ったけれど、全く返事がこなかった。すっかり諦めていたところに、思いがけないソフィからの手紙をもらった。なんと、私の母校に行きたいとお願いをしてきたのよ。
ヴィッキーの愚かな言動もその手紙からは窺い知れて、私はすぐさまビニ公爵家の侍女を、ラバジェ伯爵家に送り込んだ。
私を思い出してくれたことが嬉しい。あれから何度か手紙を出したのになぜ返事をくれなかったのかしら。もっと仲良くなれたら聞いてみよう。
私はソフィからの手紙を読みながら頬を緩ませていた。
「とても楽しそうだね?」
夫に問われて私は姪のソフィのことを話した。
「私にとても似ていて、おまけにエレガントローズ学院に行きたいから、自分に投資してくれって書いてあるのよ」
ソフィからの手紙を見せたら、夫は、「なかなか見所があるな」と楽しそうに笑った。
私に新たな楽しみができたのよ。この子は私が守る、と決めた。貴族達の反感を買いかねないので、ビニ公爵家の養女にはできないかもしれない。けれど、私個人の養女には迎えることができる。私には長年ミラ王女殿下の家庭教師をして貯めた個人資産があるし、それを適切に運用してきた実績もあるので、なんの気兼ねもなくソフィを養女にできると思っている。
それに・・・・・・ライオネル第2王子殿下には婚約者がいないじゃない? ふふっ。家族がたくさん増えそうな気がするわ。なんて嬉しいの!
☆彡 ★彡
初めての週末のお休みに、ソフィは思い詰めた表情でドレスのことを報告してきた。けれど、実のところ、私はその事件については既に把握していた。
ビニ公爵家の副シェフだったニッキーを、エレガントローズ学院に向かわせたのは、生徒達に美味しいお料理を食べさせるためだけじゃないのよ。
(メイドのヘレン視点)
週末になると、ソフィ様を迎えにとても豪奢な馬車がやってきた。ソフィ様に気付かれぬよう、その立派な馬車を見て、私は羨望のため息を漏らした。その瞬間、私の肩に男性の大きな手が置かれた。
後ろを振り返ると、シェフ長のニッキーさんだった。ビニ公爵家では副シェフだったという方で、とても素晴らしい料理を作る。
大きくて筋肉質な体躯を持っており、その髪と瞳は深いブラウンだった。彼の動きは無駄がなく、料理人というよりは冒険者のような風貌だった。驚くほど筋肉質な身体で、気配を完璧に消しながら音も立てずに私に近づいていたのよ。
「な、なにかご用でしょうか?」
「俺はビニ公爵家の人間だよ。つまりソフィお嬢様を守るように奥様に仰せつかっている。この意味がわかるかな?」
私は大事なことを忘れていた。ビニ公爵夫人はその機転が利くことと、知恵に裏打ちされた頭の良さで知られていた。彼女は王妃殿下の多大なる信頼を得ることに成功し、王弟の愛情まで手に入れ、また王女殿下からも尊敬を受けていた。
それほど賢い方が大切な姪を学院に預ける際、誰もつけないわけはなかった。つまりこのシェフは・・・・・・
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※ミニアチュール:写真ぐらいの大きさの肖像画。
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