新入り歓迎会
最近何かにつけてパーティーやら何やらをしている気がするが気にしてはいけない、何かと騒いで遊びたいお年頃なのだ。
魔法少女してると普段からあんまり遊びってどうしても出来ないし、定期的にパーっと遊ばせてほしい。
「メニューの端から端まで頼む?選ぶのめんどくさいし」
「迷惑だし食べきれないでしょ。お金はあるけど」
「胃袋的にも収まりますね?」
「金と胃袋はあるっす」
やかましいわ。
確かにお金はあるし、大喰らいが多い魔法少女とはいえ、メニューの端から端まで制覇しようとするのは迷惑だから止めなさい。
というわけで訓練を終えた私達は親などの許可を得て、最寄りのファミレスへとやって来ていた。
総勢10人の大所帯の私達は横並びのテーブル席3つを占領して、ワイワイガヤガヤとメニューを見て好き勝手言っている。
「成る程ねぇ、ファミレスファミレスって何のことか全然分からなかったけど、ファミリーレストランの略称なのね」
「イマイチよく分からん、この絵に書いてあるやつは全部食べられるということか?」
「あぁ、人間界にいるなら食事は楽しむと良い。魔力は大して含まれて無いけど、趣向を凝らして作られた料理と食材は素晴らしいね」
「ならとりあえず何か一品食べてみるか……」
人間の姿に変身しているパッシオとカレジはそれぞれ物珍しそうにメニューを覗いてアレコレ話している。
妖精という生き物の都合上、食事は高級な娯楽だったらしいし、気楽に楽しめば良いと思う。
「おぉ〜、結構色々あるんだねぇ。へー、シーズンメニュー。あ、イチゴあるよ墨亜ちゃん」
「食べる!!」
「んじゃこのジャンボパフェ行こ〜」
そして生粋のお嬢様組はいきなりデザートを口にするつもりでいるらしい。
順番に使用人の人達が出して来るわけでもないから、食事の順番も自由自在というのは、彼女達にとってユニークで新鮮なことなのかも。
「とりあえず何かさっさと頼むか〜。千草、何食う?」
「ドリンクバーと山盛りフライドポテト」
「庶民派か」
びっくりするくらいの庶民派注文の千草とアレコレまとめて頼む気満々の碧ちゃん。
中々カオスなテーブルになりそうだ。少なくとも恐ろしい量を食べるのは確定的に明らかなので、厨房スタッフは覚悟しておいた方がいいと思う。
ちなみに私が何を頼むつもりなのかと言うと、白玉ぜんざい系があってのでとりあえず全部注文しようと思います。お餅食べたい。お団子でも可。
ぜんざいなんて食べるしかないまである。
そして注文するために店員さんを呼んで注文をした数分後、厨房から悲鳴が聞こえて来た気がするけど私達は知らん顔をした。
「ーーーー!!!!」
続々と届くメニュー達を口にしながら、各々雑談を繰り広げる。
食べる、と言う事が当たり前の私達はそれはもうごく普通に食事をしながら喋っているけど、1人だけひと口食べては目をキラキラさせている。
「気に入った?」
「人間界の食事はこんなに美味いのですか?!妖精界にも食事という娯楽はありますが、このような複雑な美味しさはありませんでした」
拙い動きでナイフとフォークを扱うカレジは完全に少年のそれだ。
魔力が妖精にしては少ない、との事だったのでそれに伴って身体も一回り小さいみたいだ。見た目は20歳前後じゃなくて、中高生くらいだと思う。
そんな体躯の金髪の男の子が目をキラキラさせながらハンバーグを口にしている様子は、何というか微笑ましいというか思わず頬が緩む。
子供を見守ってる感覚と同じかな。あのなんか心がぽかぽかする感じのやつね。
「そういえばパッシオはそんなに驚いてなかったね」
「貴族で城勤めっていうのもあって、食事会は何回かあったしね。それにこっちに来てからは魔力の補給の手段として、食事も使ってたから」
「へー」
思えば食事にはそこまで驚いていなかったパッシオだけど、良い家柄だったパッシオは舌も肥えていたらしい。
妖精界の食事、少し気になるよね。どんな感じなんだろう。
「こっちの食事みたいに食感や彩っていうのは無かったかな。味を楽しむって感じだった」
「あー」
そういう風に楽しむのか。味自体が娯楽だから、視覚や食感で楽しむって発想が無いのかも。
面白いなぁ。こうして聞くと異文化交流だよね。
「こ、こっちも食べてみていいでしょうか……!!」
「好きに食べなよ。みんなで食べるのに頼んだのばっかりだから」
ハンバーグを綺麗に食べ終えたカレジは次にピザに目をつけたみたいだ。男の子が好きそうな料理は妖精としても同じなのかな。
それにしても、ファミレスの料理でこの喜び方なら、ウチの料理でひっくり返るんじゃないかな。
今までは魔力だけで十分だって聞かなかったんだよね。




