魔法少女交流会
ただし、アリウムには致命的な欠点がある。さっきも言った通り、魔法少女としては最低クラスの身体能力の低さがそれだ。
まともに肉弾戦をしようものなら魔法少女同士の戦いでは大人と子供レベルの差が出る。特に近接を主体として戦う魔法少女と魔法無しで戦え、となったらアリウムに勝ち目はほぼ無い。
「成程、一人で戦うことにそもそも向いて無いんやな。ははーん、見えて来たでアンタらの最大の強みが」
「察しが良いのは結構なことだ。ま、その肉弾戦をせざるを得ない状況と言うのを作り出すのが今やもう現実的では無くなったがな」
「護衛の使い魔に、一緒に戦う魔法少女が7人。成程、鉄壁の守りを崩さないための攻めと、攻めを守るための鉄壁。いや、これは普通の支部じゃまず間違いなく出来んやろな。魔法少女同士の派閥と価値を示し続けるための競争がある限りは」
アリウムフルールという魔法少女は一人で戦っても真価を発揮できない魔法少女。それは瑞鬼や巫と同質のサポート特化の魔法少女特有のモノではあるが、アリウムは特に特出したモノになる。
瑞鬼が妨害、巫は防衛とそれぞれに特化している魔法少女で、サポートを受けられることが出来ればもちろん強力だ。
ただ、アリウムは出来る幅が違う。防御、妨害、回復、攻撃、補助、これを同時に行うことが出来る。
攻撃に加わりながらあらゆるサポートが出来る。しかもその精度と効果は一級品。ともなれば、一緒に戦う私達はどうするかは時間が経てばたつほど洗練されていく。
「そのためにアンタらは全員何かに特化した戦い方を身に着けてる訳や。攻撃は最大の防御、防御は最大の攻撃を同時に」
「ま、そう言うことだ。ウチらがアリウムを守って、アリウムがウチらを守る。ウチらの中で役割分担はもっと細分化されてるぜ」
「個が強いというのはあるかも知れんが、それでもまだまだB級C級の魔法少女も多い。むしろ発展途上なのさ。これでも、な」
確かに私、アズール、アリウム、ルビーとA級と認定された魔法少女は半数になる。
がそれでもアメティア、ノワール、クルボレレ、グレースアはB級、ノワール以下に限ってはC級の魔法少女だ。
これからどんどんと実力を上げて行くことだろう。A級の私達も伸びしろはまだあると思っているが、今後の成長度合いが計り知れないのが4人もいるとなれば期待も大きい。
そして、それだけ戦力にバラつきがあっても全員が役割に集中出来るからこそ、強大な敵にも食らい付いて行けるのだ。
「ハハハ、恐ろしいわぁ。そんだけ強くなっても、お相手には勝てへんのやろ?」
「今のところ痛み分け、だな。ウチらが後手に回るしかないってのもあるけど」
「それでも奴らの攻撃は苛烈になってる。そっちでも厄介ごとは起きてるんだろ?」
「まーなー。【ノーブル】かどうかは確証あらへんのやけど、色々きな臭い案件が起こってるねん。ま、ここが連中からすれば自分達を狙う総本山や。ここを潰せば後は楽、ってことなんやろ」
【ノーブル】というテロ組織が情報として広まってからは数か月経つ。以前は魔法庁内に、いるかも知れない地下組織程度の認識だったが、この街への苛烈な攻勢などをキッカケにしてようやくアレコレと本腰を入れ始まった。
他国にもこの情報を共有することで、【ノーブル】という組織自体が何処まで勢力を伸ばしているのかを知ろうとしているようだが、逃げ隠れが得意な連中だ。どこまで尻尾が掴めるか。
「なんにせよ、一人の天才がいないとおたくらの事は真似出来へんなぁ。連携自体は重要なんやろうけど、まず個々の信用やら諍いやら、それをぜーんぶ言いくるめられるほどの人徳が無いと無理やな」
「アリウムが最強なのはそこかも知れないな」
「確かに。アイツと一緒にいたら知らねぇ間にウチらのいざこざも無くなったもんなぁ」
物事がうまく回りだしたのはアリウムが、真白が私達と関わり始めてからだ。
真白自身にも色々な変化があったわけだが、その辺りは私達の中で暗黙のルールと言うやつがある。誰にでも言える内容では無いしな。
「ホンマ、変わった人やなぁアリウムフルールは。変身解いたらどんな人なんやろ」
「くくっ、さぁな。案外お前が想像しているのとは全く違うかも知れないぞ」
「けけけっ、確かにな」
真白を知ってる私達としては、鼓の言葉はおかしくて仕方がない。なに、世間知らずで怖がりで、甘えん坊の17歳ってだけさ。別に馬鹿にしてるわけじゃないぞ?




