エンドレスラグナロク
ルビーの意図を測りかねたのだろう。目を細めてルビーを睨みつける『獣の王』はそれがハッタリかどうかを見極めたい意図があるように見える。
当然、それで分かれば苦労はしない。この時点でルビーの発言は成功している。珍しいモノを見たモノだわ。
搦め手や情報戦なんて最初から頭に無いようなルビーが自分からそういう揺さぶりをかけるなんてね。
「貴様、まさか……」
「答え合わせは死ぬときに出来るわ」
『獣の王』は何らかの懸念に至ったようだけど、私には思い付かない。壁を破壊するだけでは飽き足らず、更に何か出来る手段を思い付いたのならそれは良いことではあるけど、それが何なのかは情報共有して欲しいんだけどね。
戦いながらでは無茶なのは百も承知だけどね。いくら簡素な通信手段を持っているとは言え、例えばサッカーの試合中に全力でドリブルしながら電話しろと言っているものだ。
それに通信をすることで情報が漏れる懸念もある。
バレることは避けたい。それがハッタリか本物か、どっちであってもね。
情報戦は思っているより複雑なのだ。秘匿するか、開示するか。そしてそのタイミングとやり方で効力が全く変わるものだから。
「よし、発動するわよ!!」
そうこうしているうちに発動させていた『幾千年紡ぎ紡いだ我が居城』の術式解体が終了する。
障壁の壁が崩壊していく壊された『幾千年紡ぎ紡いだ我が居城』がまた障壁の花弁となって私の下へと集まる。
「『固有魔法』!!」
解体が素早く終わると同時に再発動。地面に障壁の花弁が奔り、実在するブローディア城の基礎の形通りに配置されて行く。
「『幾千年紡ぎ紡いだ我が居城』!!」
そうやって再発動した『幾千年紡ぎ紡いだ我が居城』。リアンシさんも中へ匿うカタチで発動すると、私はすぐに玉座に座って『繋がりの力』を発動。
皆への強化もしつつ、何より暴れる獣達を片っ端から花園へ繋いでいく。ただしそれだけでは獣は妖精に変わらない。
「スタン、行けるね?」
【任せてよリアンシ兄さん。レクス兄さんも、ここで見てるしね】
直接戦場で戦うよりは遥かに安全な『幾千年紡ぎ紡いだ我が居城』の中でなら通信も容易い。
複雑な返事の必要も無いからスタン君も応答はシンプルで済む。何せリアンシさんの言った場所を斬ることを実行し続ければ良いワケだしね。
【よーし、一気に片付けるよ!! 皆、行けるね!?】
生み出された獣たちの相手をしていたメモリスターズの面々がリーダーのルミナスメモリーの号令を受けて一斉にギアを上げる。
【『希望』!!】
【『水晶』!!】
【『影』!!】
【【【『Double Slot』!!】】】
「「「『思い出チャージ』!!」」」
3人が『思い出チェンジャー』にメモリーを二枚挿して強化変身。その攻勢を強めて、獣たちを続々と蹴散らして行く。
頼もしい限りだ。
ルミナスメモリーの『浄化の光』は獣達には特効能力。『繋がりの力』を使うまでもなく一撃で文字通り消し飛ばされている。
それに関しては運が無かったとしか言えないだろう。獣を妖精に変えて無力化するのも、獣達からしたらこっちの都合を押し付けるだけの行為。
『獣の力』から生み出された命とも言えない存在を妖精に変えられるからと言って神様気取りをするのはお門違いだろう。
これが最善だと割り切るしかない。これが何らかの罪になるとするなら、その時は地獄で清算させてもらおうかしらね。
「メイト、使いなさい。そのために貴女に託したんだから」
【……はい!!】
「スタンも物思いに耽るのは後にしてくれるかい」
【ごめん。でも、流石に少し覚悟がいるからさ】
残り二人。メイトメモリーとスタン君ことブレーダーメモリーも強化変身の手段がある。
ここで使わずにどこで使うのか。
切り札は切らなきゃ意味が無い。持っているだけではそれは無いのと同じだわ。
【『女王』!!】
【『帝王』!!】
【【『Double Slot』!!】】
「「『思い出チャージ』!!」」
王の名を関するメモリーが2枚。ここで遺憾なくその力を発揮してもらうわよ。




