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アリスとお兄ちゃんとシリーズ  作者: ピシコ
アリスとお兄ちゃんと夏の校舎
22/41

その3

2週間ぶりの投稿です。水古戦場はもう飽きました。

オレンジよりも、ずっと濃い色の夕日がやっと沈んできた午後6時過ぎ。私とお兄ちゃんの二人は、皆と別れて帰り道を歩いていた。

あの後喫茶店で二時間ぐらいケーキを食べながらおしゃべりをしていた。

「それにしても、あの蝉郎さんって本当に探偵なのかな?」

私は、ふとお兄ちゃんに問いかける。

「ん? あぁ、あの人は……どうなんだろうな」

お兄ちゃんはいつものように生返事だ。

「だって、今までどんな事件を解決したんですか? って聞いたら、地域の猫のノミを全部綺麗にしたとか、怖い夢を見る子供にいい夢を見させたとか、なんか適当な事言ってたじゃない」

あとは、絶対に動物が寄り付かない案山子を作ったとか言ってたわね。

「あの人、本当に謎だわ……大体なんであの夏美はあんな変人と仲が良いんだろう」

蝉郎さんの突拍子もない話に夏美は、小言を挟みながらも、笑顔で聞いていた。その時の夏美の顔は学校で見るときよりもこう、なんか安心してる……っていうのかな。そんな風に見えた。

「あの蝉郎さんって人は、多分探偵じゃない職についてると思う」

「じゃあ何してる人なの?」

「それは分からん」

「隠してる?」

「いや、本当に分からない。候補はあるけど」

「その候補はなんなの?」

「……」

お兄ちゃんは、急に立ち止まって、私の顔をじっと見つめた。

「な、なに?」

「確証がないことは……言わないことにしてる」

「お兄ちゃんのケチ」

「悪いな」

「でも、探偵っていう職業は違うんじゃないかって疑ってるのよね?」

「あぁ、それはそうだ」

うーん。蝉郎さんの職業……なんなんだろう……。

今度夏美に聞いてみようかな。でも、夏美自ら蝉郎さんは探偵だって言ってたのよね。

「夏美さんと蝉郎さんがどうやって知り合ったのか。それが分かればすぐにこの謎は解ける」

どうやって知り合った、か。

「普通に親戚とかじゃないの?」

「それなら、親戚の人だって紹介するだろ。あの二人はとっても仲がよさそうだった。一年二年、もしかしたら、それ以上の付き合いかもしれない」

「あの二人、本当の親子みたいだったわ」

「そう。本当の親子のようだった。仲が良い親子のよう。それがかなり引っかかってる」

「どういうこと?」

「前、話したろ? 夏美さんは、もしかしたら、家庭環境が上手く行ってないかもって」

そう言えば、そんな話をしてたような……確か夏美の家はお母さんが既に亡くなってて、父子家庭なのよね。

「あ、父子家庭……」

「デリケートな問題かもしれない。あんまり詮索入れるのも野暮だ」

昔のお兄ちゃんなら、ありえない台詞でびっくりした。

「お兄ちゃん、そういうの気にするタイプだっけ?」

「……最近気にするようにしただけだ」

「ふーん……」

お兄ちゃんも、やっとそういうのを気にするようになったのね。妹としてちょっと安心したわ。

まぁ、お兄ちゃんもいつか大人になって、誰かと結婚とかして、家庭をもつようになるのよね。

……想像もできないけど。

私もいつか、誰かと結婚するのかな。

どんな人と結婚するんだろうな。

優しい人なら、いいな……。




キュッ、キュッ、と音が響く。電気も消えた、人影のない校舎を大きなカバンを背負った男が、どこか落ち着かない様子で歩く。

校舎内なのに、外靴で歩くその男の鼻息は荒い。

男は、辺りを見渡しながら男子トイレに入っていく。

そして、用具入れのトビラを開ける。

「野郎に興味はないが……金のためだ……」

ドアのふちに設置された小型カメラを手に取り、男はカメラをカバンにしまう。

そのまま男はトイレを出る。

「よし……次はお待ちかねの……」

その瞬間、男はライトで照らされた。

「ウワッ」

「こんな時間に学校内でなにをしているんですか?」

ライトを持った男は尋ねる。

「えっ、えっと……工事の……」

「工事? こんな夜更けにどんな工事をしていたのです? もしよろしければそのカバンの中を見せてもらえませんか?」

「なっ……そ、そんな権利どこにあるんだ。大体お前こそこんな時間に学校内で何をしている! 通報するぞ!」

「あぁ、これは失礼。私は」

ライトを持った男は、懐から黒い手帳を取り出し、男に見せる。

「警視庁特別捜査官の海山蝉郎という者です」




電気の消えた部屋に、一つ大きな明かりが煌々と輝いている。

背の高いその男は、画面をじっと見つめていた。

「やっと保存できた……」

男は、興奮した様子で、その画像ファイルを展開する。

映し出された画像には、制服姿で無邪気にほほ笑む、金髪碧眼の美少女が映し出されていた。

「他人じゃない……絶対本人だ」

男は、次々に画像を表示していく。

「……」

男は、その後数十分ほど食い入るようにその画像を見つめていた。

次回から、文化祭編です。次回更新の時期は未定です。出来れば今月中にあげたいです。

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