序章:血月のレイヴン
この作品は、『黒翼契約譚』の世界を基にした
IFの物語です。
登場人物や設定の一部は本編と共通しますが
展開や結末は全く異なる独自の道を辿ります。
――それは、遥か昔の記録。
赤き月が空を染め、夜が世界を喰らっていた時代。
人は、闇を恐れた。
血を啜る怪物。不死の眷属。そして――すべての吸血鬼を生み出した“始祖”。
その名を。
教会は禁忌として封印した。
《黒翼の始祖》
クロエ・ヴァルナ・レイヴン。
夜を統べる者。血月を従える災厄。都市を沈め、歴史から名を消された存在。
だが――
その始祖は、ある日を境に姿を消した。
討たれたのか。封印されたのか。
あるいは、今もどこかで眠っているのか。
真実を知る者はいない。
ただ一つ、確かなことがある。
もし再び、“黒翼”が目覚めれば。
世界はもう、同じ朝を迎えられない。
そして現在。
赤月の夜。
一人の少女が、路地裏でしゃがみ込んでいた。
「……ほら、お食べ」
黒髪の少女は、小さな猫へパンを差し出す。
その瞳は優しく
どこにでもいる普通の少女に見えた。
――誰も知らない。
彼女こそが、教会が千年追い続ける“始祖”そのものであることを。
そして。
彼女自身もまた、まだ知らない。
自分の本当の名前を。
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