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3幕 ブレイズライダー2.5 ファースト・チェンジ(1)

「ここから先は、通さないオニ!」


 目の前に立ち塞がる鬼たちの中の一匹が声を荒げて威嚇したかと思えば、数匹の鬼が金棒を振り上げ殴りかかってくる。


「この建物自体JDFの物だし、ここを通るのにお前らの許可なんているかよ!」


 鬼達の振るう金棒をかわし、反撃に蹴りを叩き込む。

 あっさりと蹴り飛ばされた鬼たちは、床に倒れ込んだまま起き上がらなくなった。


「つ、強いオニ! 貴様、何者オニ! なんでこんなところにいるオニ!」


「俺はブレイズライダー、ヒーローだ。誰かが助けを求めたから、俺はここにいる!」


 鬼の投げ掛けてきた言葉に返事をしつつ、何故ここにいるのかを思い返す。

 桃太郎さん達と別れた後、帰る為にエレベーターで入口まで降りようとしたが、普通操作ボタンが付いている場所には、何かの読み取りセンサーしか付いていなかった。

 そういえば、雉鳴と呼ばれていたJDFの隊員がカードのような物をかざしていたな。

 多分、このエレベーターはJDFの関係者でなければ動かせないんだろう。

 仕方ないので階段を使って建物の中程まで辿り着いたところで、警報が鳴り響いた。

 何事かと思えば、襲撃されているから助けてほしいという趣旨の放送が流れた事で、この建物がノワールガイストの襲撃を受けたと知る事に。

 ……俺はJDFと無関係だが、それ以前にヒーロー。

 困っている人がいるのなら、助けに行くだけだ。

 そういう訳でラボにたどり着いた俺が見たものは、地面に倒れている警備員と入口を守るように立ち塞がる鬼たち。

 他に入口を探している暇も無いので仕方なく正面から姿を表した俺に、鬼たちが攻撃を仕掛けてきて今に至るという訳だ。


「……ブレイズライダー? 知らないオニ。どこのローカルヒーローオニ?」


「いや、ヒーローを自称してるだけの痛い奴かもしれないオニ。仮にそうだとしても実力は本物だから気を付けるオニ」


 ……こいつら、人の神経を逆撫でする事ばかり言いやがるな。


「うるせーよ! 鬼ヶ島やノワールガイストよりは有名だ!」


 失礼な鬼達へと反論しながら、彼らを排除するべく駆け出す。

 鬼は金棒をライフルへと変形させて光弾を放ってくるが、火球を放って相殺して防ぎ、一気に距離を詰める。


「は、はやいオニ!?」


 驚きながらも、もう一度発砲しようとする鬼たちを蹴り飛ばし、戦闘不能に追い込む。


「おいあんた達! 大丈夫か!」


 その場にいる鬼たちを倒して安全が確保された事を確めると、倒れている警備員の一人に声をかける。


「うっ……あ、あんたは誰だ?」


「俺はヒーローだ。あんた達を助けに来た」


 目を覚まして疑問の声をあげる警備員へと簡潔に返事をしながら、助け起こすべく手を差し出す。

 ……しかし、俺の手を取る事なく警備員は首を横に振る。


「私達は大丈夫だ。それよりも、この先の研究室にいる多田博士を助けてくれ。情けないが、私達は役目を果たせなかった」


 警備員はオニたちにやられてしまった悔しさを隠そうともせず、苦々し気な表情で先へ行くよう促してくる。


「安心しろ。あんた達の代わりに俺が絶対助けてやる」


 俺に後を託してくれた警備員に、手短にそう伝えるとラボの中へと駆け出す。


「侵入者オニ! 迎撃――」


「侵入者はお前らの方だろ!」


 途中何匹かの鬼と出くわすが、相手をしている時間は無いので即座に倒して前へと進む。

 そして、走り続けた果てに目にしたのは衝撃の光景だった。


「……な、なんだよあれ!? 部屋が宙に浮かんでる!?」


 多田博士の研究室だと思われる部屋がまるごとくりぬかれ、宙に浮いて建物から離れていくのだから思わず叫んでしまうのも無理は無いだろう。

 ……いや、このままでは逃がしてしまうし、驚いている場合じゃないな!

 宙に浮く研究室目掛け、勢いよく駆け出し跳躍すると、研究室へと手を伸ばす。

 伸ばした手は、宙を浮く研究室のどこかの引っ掛かる事はなく、俺の身体は重力に従い地面に落下する……だけで、終わる訳にはいかない!


「届けえ!」


 右足の点火装置を起動させ、ジェット噴射によって宙を舞う。


「痛ッ!? ……まあ、たどり着けただけよしとするか」


 左足の点火装置が壊れてしまっている為、不安定な状態で飛び上がってしまい上手く着地できず、研究室の上に身体を打ち付けて痛みに呻く俺の身体を頭上から降りしきる雨が濡らす。

 ……何とか追いついたし、良しとするか。

 少し息を整えてから下を覗いて見れば、研究室は透明な何かに支えられて浮いてるようだ。


「……なんか、嫌な予感がしてきた」


 とりあえず、何とかして部屋の中に入り込む必要がある。

 入口の扉や窓から入るのは難しそうだし、どうしたものかな。


「仕方ない、やるか」


 多少無茶するしかないようだ。

 右手に炎を灯し、研究室の天井へと噴射する。

 そして、ある程度天井を溶断したところで、右足で思い切り踏みつけると同時に爆発を起こし、天井の一部破壊しそのまま部屋の中へと突入した。


「……また私の邪魔をするつもりですか」


 着地した俺の耳に届いたのは、聞き覚えのある少女の声。

 ……嫌な予感は当たるもんだな。


「誰かと思えば久し振りだな! ヴァッサ!」


 以前と変わらぬ笑顔を張り付かせ、此方を見つめるヴァッサもとい、水城雨。

 その出で立ちは以前俺と戦った際に身に付けていた物とよく似た黒い装甲服だが唯一、素顔が露出しているという点で大きく異なっている。

 ……俺の元クラスメイトでクラス委員長を務めていた彼女は、ヴァッサという裏の顔を持っており、街で暴れていたところを俺の手で倒され、警察に捕まった。

 脱獄したと聞いた時、いずれは再び彼女を倒さなければならないと決意したが、まさか今日がその日になるなんてな。


「ぶ、ブレイズライダー? 何でここに?」


 背後から聞こえてきた少女の声に振り返ってみれば、白衣と眼鏡を身につけた小柄な少女が床に倒れこんでおり、呆然とした様子で俺の事を見つめていた。


「……子供? 子供がなんで、こんなところにいるんだ?」


「こ、子供だって!? ……ま、高校生はまだ子供かもしれないけど、そこらの大人よりもよっぼど有用な発明をしてるんだぞ!」


 思わず口をついて出た俺の言葉に少女は憤慨した様子を見せる。


「何を言ってるんですか。貴方達、同年代ですよ」


「えっ!? マジで!?」


 ヴァッサの言葉に驚き、声をあげてしまう。

 ……この子、高校生だったのか。

 小学生か、いいとこ中学生だと思っていた。


「マジですよ。というか、同じ学校の――」


「俺を惑わそうとしているな! 燃やし尽くしてやる! これでもくらえ!」


 ヴァッサには、俺が同じ高校に通っていた生徒だという事まで突き止められている。

 それを明かされてどうなる訳でも無いだろうが、正体がバレる芽は蒔かれる前に潰しておくべきというのも事実。

 ヴァッサに余計な事を口走らせない為、火球を放って黙らせる。


「何故かはわからないですけど、随分と焦ってるみたいですね」


 撃ちだされた火球はヴァッサの作り出した水壁によって阻まれて、彼女に届くことは無い。

 ダメージゼロなのは残念だが、話を逸らすことはできたし、よしとしておこう。


「うるさい! 無意味に罪を重ねず、刑務所で大人しくしてたら良かっただろ!」


「貴方にとっては無意味でも、私にとってはそうじゃありませんから。というか、今日は貴方に用事はないので帰ってもらえませんか!」


 ヴァッサは笑顔を浮かべながらも苛立ちを隠そうとせずに水流を放ち、俺は炎によって相殺する。

 ……実力は互角みたいだが、此方は既に満身創痍なのに対して彼女は無傷。

 なるべく早くヴァッサの目的を潰さなければ。

 まあ、目的については大体検討がつく。

 俺は背後にいる少女へと視線を向ける。

 先程聞いた彼女の声は、放送で助けを求めてきた多田博士の声と同じだった。


「……ど、どうした? どうしてこっちを見つめてる?」


 少女は、俺の様子を見て訝しげに問いかけてくる。

 にわかに信じがたいが俺と同年代のこの子が、天才科学者として有名な多田博士その人なんだろう。

 気のせいだろうか? 昔、どこかで会ったような気がする……いや、今はそんな事を気にしている場合じゃない。

 何とかして彼女をここから逃がさないと。


「ブレイズライダー! 前!」


 逃げ出す算段を考えていた俺に向け、多田博士が叫び、それに従い視線を正面に向けてみれば水の弾が勢いよく俺に迫ってきていた。

 咄嗟に炎の壁を作り出して何とか凌ぎきるが、今のは危ない。

 多田博士が声をかけてくれなければやられてた……かもしれないな。


「何を考えていたのか知らないですけど、私を前に余所見なんてさせませんよ」


 ここから逃げようにも、まずはヴァッサをどうにかしなくてはいけない。

 万全ではない今の俺に彼女と戦えるか?

 ……いや、戦う他に道はない!


「君、俺が彼女を倒すまで、どこか物陰に隠れてろ!」


「あ、ああ。わかった――あれ? 上手く立てない――」


 多田博士に隠れているよう告げるが、何故かその場から動かない彼女を尻目に右腕の点火装置を起動させ両拳に炎を灯し、ヴァッサ目掛けて駆け出す。

 本当は彼女を助け起こすべきなんだろうけど、そんな余裕は無い。


「怯えている女の子を無視するだけでなく、いきなり暴力を振るおうとするなんて、紳士的ではないですね!」


 ヴァッサは苦言を呈しながら、水の弾丸を放ち迎え撃ってくる。


「犯罪者が紳士的な対応なんて望んでるんじゃねえ!」


 女の子相手に暴力を振るうのに思う事は多少あるが、そもそも彼女は犯罪者。

 ヴァッサの言葉に惑わされないようにしながら、迫る水を炎の拳で弾き飛ばし、彼女に近づき右腕を振るう。


「私、結構鍛えてるっていいましたよね」


 しかし、突き出した拳をヴァッサは水を纏わせた腕で受け止め、拳に灯していた炎も消火された。

 そのまま俺の右腕を掴もうと手を伸ばしてくるが、即座に右腕を引き戻して、左腕でヴァッサの腕を払いのける。

今回の話を読んでいただきありがとうございます。

ブクマ・ポイント・感想をもらえれば筆者のモチベーションが上がるので非常にありがたいです。

次回は来週日曜日の昼十二時投稿なので、読んでもらえたら励みになります。

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