表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キングブレイカー  作者: 43番
第三章 彼女と彼女の仇と彼女の仇の影
42/97

その10

「アレックス!!!貴様だけは絶対に許さんぞ!!!」


 ドローンの製造ラインにローの胸倉を掴み詰問するフランクの怒声とローが起爆したドローンの爆発音が響き渡り、衝撃でラインのそこかしこが震動している。

 取り巻きたちは慌てて来賓である司令官やフランクを避難させるために誘導を始める。前後して製造ライン内に避難を促す自動放送とスプリンクラーが作動した。



(フランク、急いで。防火用のシェルタールームの扉を解錠したから皆そこへ避難して)



 AIのペニーがフランク他、周りの人間たちに避難指示を出す。司令官は取り巻きの一人に連れられて先にシェルタールームに向かったが、フランクはというと未だに怒りが収まらず、尚もローの胸倉を掴んだまま罵詈雑言を浴びせ続けていた。ローはその様子を満足気に眺め、挑発するような笑みさえ浮かべていた。



「社長、急いで避難してください!ここはもう危険です!」


「社長!!」


(フランク!!)



 取り巻きやペニーに説得され、ようやくフランクは我に返った。しかし意趣返しとしておもいっきりローの腹にパンチを見舞った。ローは痛みの余り蹲ったが、フランクは構わず取り巻きたちに促されて、シェルタールームへ向かった。



「そのまま製造ラインと共に果てろ!腐った負け犬が!!!! 」



 フランクがローに吐き捨てると、ローはヨロヨロと立ち上がった。次の瞬間、ローは避難しようとする取り巻きの一人に体当たりすると、怯んだ取り巻きの懐から拳銃を奪い、後ろ姿のフランクへと向けた。



「只では死なんよ!フランク、貴様も道連れだ!!!」



 ローが引き金を引こうとしたとき、他の取り巻きたちが一斉にローへ向けて発砲した。十数発の銃弾を全身に受けて、ローは血を吹き出しながら後方へと崩れ落ちた。フランクは事の次第を振り返ることなく、ペニーのAIと共にシェルタールームへと消えた。



(アレックス…………)



 爆発音と炎が拡大し続ける製造ラインに取り残されたローは薄れ行く意識の中でこれまでの人生を振り返っていた。


 いずれにしても余命一ヶ月と言われた身であり、遅かれ早かれ天には召されるのだ。何も後悔などはなかった、はずだ。変わり果てたペニーに再会するまでは…。生涯愛した女とその裏切り…ローはこれまでの全てを否定された、そんなやり場のない憤りと虚無感を覚えていた。だが、だがまだ希望は潰えてはいないはずだ。



「「キングブレイカー」さえ完成すれば…後は頼むよ、黒猫君…」



 そう呟くと、ローは静かに事切れた。しばらくして炎は製造ライン全体に行き渡り、ローの遺体も炎の中に飲み込まれていった。



 ……………………



「アレックスのクソッタレめ……最期の最期まで私に楯突くとは……!」



 シェルタールームの扉の向こうでフランクがローへの恨み節を上げながら、扉を只管殴り続けた。司令官や取り巻きたちは何とか避難できたことに安堵すると共にフランクにどう声を掛けてよいか困惑して沈黙を続けていた。そんな沈黙を破ったのはペニーだった。



(フランク、ちょっと面白いことが分かったの。もしかしたらアレックスは「キングブレイカー」を外部へ漏らした可能性があるわ)


「何!!?バカな!奴はほぼこの研究施設に篭りきりで味方になるような人間の接触などなかったはずだ!!」


(そう……「人間」の接触ならね…。でもそれ以外にアレックスが何かと接触したらどうかしら?)


「まさか、ペニー……分かったのか…?」


(この映像を見て、フランク)



 ペニーのAIはそう言うとタブレット上のホログラムに研究施設の監視カメラの映像を映し出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ