表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『適正値ゼロのリミィジュ』(完全版)  作者: 柑橘みかん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/40

第四十話 十五年ぶりの再会

空が割れていた。


学園の上空に広がる巨大な裂け目。


金色と黒色の光が絡み合い、まるで世界そのものが引き裂かれているようだった。


誰も動けない。


教師たちも。


生徒会も。


ゴードンですら。


全員が空を見上げている。


ノエリアの胸元のバッジはますます強く輝いていた。


熱い。


苦しい。


でも怖くない。


不思議だった。


むしろ懐かしい。


胸の奥が温かくなる。


まるで長い間会えなかった誰かが帰ってきたような感覚だった。


『見つけた』


再び声が聞こえる。


優しい声。


涙が出そうになる。


ノエリアは無意識に空へ手を伸ばしていた。


「誰……?」


その瞬間。


裂け目の中から光が降りてきた。


金色の光。


柔らかくて暖かい。


学園全体を包み込む。


闇学園長の表情が初めて変わった。


驚き。


いや。


歓喜だった。


「ついに」


小さく呟く。


「やっと」


ベルは震えている。


だが今度は恐怖ではない。


感動だった。


『ほんとに』


『ほんとに来た』


光はゆっくり地上へ降りてくる。


そして。


中央広場の上空で止まった。


そこにいたのは。


小さな妖精だった。


羽は虹色。


髪は金色。


瞳は空のように青い。


ベルより少し小さい。


でも。


存在感だけは圧倒的だった。


まるで太陽そのもの。


学園中の妖精たちが一斉にひざまずく。


ベルも。


他の妖精たちも。


自然と頭を下げていた。


「そんな……」


エイミーが息を呑む。


ゴードンは静かに目を閉じた。


「お帰り」


その声は震えていた。


十五年間。


待ち続けた存在。


誰も見つけられなかった存在。


グランドリミィジュの妖精。


その本人だった。


妖精は周囲を見回す。


そして。


ノエリアを見つけた。


瞬間。


その表情が崩れる。


涙が溢れた。


「やっとだ」


小さな声だった。


でも。


ノエリアにははっきり聞こえた。


妖精は一直線に飛んでくる。


そして。


ノエリアへ抱きついた。


「会いたかった」


ノエリアは目を見開く。


温かい。


本当に生きている。


本当にここにいる。


「え?」


妖精は泣いていた。


十五年分の涙を流すみたいに。


「ごめんね」


「ずっと一人にして」


「ごめん」


ノエリアは混乱していた。


でも。


なぜだろう。


自然と抱きしめ返していた。


知らないはずなのに。


初めて会ったはずなのに。


ずっと前から知っていた気がする。


妖精は涙を拭く。


そして笑った。


「覚えてないよね」


ノエリアは正直に頷く。


「うん」


妖精は少し寂しそうに笑う。


「そっか」


ベルが飛んでくる。


『ルミナ!』


妖精が振り向く。


そして笑顔になる。


「ベル!」


二人は抱き合った。


まるで長い間会えなかった兄妹みたいに。


ノエリアは呆然と見ていた。


ベルがあんな顔をするのは初めてだった。


ルミナ。


それが妖精の名前なのだろう。


ルミナは再びノエリアを見る。


「ノエリア」


優しい声。


「七年ぶり」


ノエリアの胸が痛くなる。


断片的な記憶。


光。


笑顔。


約束。


何かが浮かびそうで浮かばない。


ルミナは微笑む。


「無理に思い出さなくていい」


そして。


真剣な顔になる。


空気が変わった。


「でも時間がない」


その言葉に全員が表情を引き締める。


ルミナは闇学園長を見る。


初めて。


はっきりと敵意を向けた。


闇学園長は相変わらず笑っていた。


「久しぶりだね」


「会いたくなかった」


ルミナが即答する。


ノエリアは少し驚いた。


可愛らしい見た目なのに、意外と容赦がない。


闇学園長は楽しそうだった。


「君も変わらない」


「あなたもね」


ルミナの声は冷たい。


そして。


はっきり言った。


「世界を壊そうとするところも」


広場が静まり返る。


闇学園長は肩をすくめた。


「誤解だ」


「違う」


ルミナは首を振る。


「あなたは世界を救いたいんじゃない」


「支配したいだけ」


その言葉に。


闇学園長の笑顔が初めて消えた。


ほんの一瞬だけ。


だが全員が見た。


本性だった。


ルミナは続ける。


「十五年前」


「エスターを壊した」


エイミーの瞳が揺れる。


「多くのリミィジュを利用した」


ゴードンも黙って聞いている。


「そして今」


ルミナの瞳がノエリアを見る。


「ノエリアまで利用しようとしてる」


闇学園長は何も言わない。


だが。


否定もしなかった。


その沈黙が答えだった。


ルミナはノエリアの手を握る。


温かい。


そして。


はっきりと言った。


「もう逃げられない」


ノエリアは息を呑む。


「え?」


「全部知る時が来た」


その時だった。


遠く。


学園の外。


黒い光が立ち上る。


全員が振り向く。


ベルが青ざめた。


「まずい」


エイミーも気づく。


「お姉ちゃん」


黒い光の中心。


そこには。


エスターがいた。


だが様子がおかしい。


苦しそうだった。


まるで何かと戦っているように。


ルミナの顔色が変わる。


「間に合わない」


ゴードンが振り向く。


「どういうことじゃ」


ルミナは震える声で答えた。


「エスターが」


「闇学園長に取り込まれる」


静寂。


そして。


エイミーが駆け出した。


「お姉ちゃん!!」


誰も止められなかった。


十五年越しの運命が。


ついに動き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ