血の繋がらない姉妹でも。
シャトラナの城から戻ったその夜。
メリッサとローズマリーは眠れないまま同じベッドの上で寝転がり、二人は久しぶりに一緒の夜を過ごしていた。
「何だか、不思議な事になってきてしまったね」
ローズマリーがメリッサの母から譲り受けた太陽のカードを見つめながら思い出すようにつぶやいた。
「私のお母さんが、ローズマリーにそのカードを託さなければ
こんな事に巻き込まれなかったのに……、ごめんね」
そう言って意気消沈したメリッサを、すぐ様ローズマリーは否定した。
「違うよ! メリッサのお母さんが私に言ってくれていた事、凄く嬉しいの…!
私が、正しく穏やかな光を作り出せるって…」
ローズマリーはまっすぐな視線で見つめながら、メリッサに話を続けた。
「それにその言葉通りでこのカードがなかったら、今私はどうやって生きていたのが分からない。両親は私が生まれてすぐ死んでしまったからどこにも帰る所もないし…特技もなかった…。
でも、私この力を借りて作物を作りだせる事が出来る様になった。
みんなが美味しいものを有難うって、メリッサも、いつも美味しいって
私の作る食事を笑顔で沢山食べてくれて…私、皆の力になれてるって、
ここにいていいんだって…!本当に、本当に感謝しているの……」
「私もずっとローズマリーが育てた作物と美味しい料理、皆で食べてこれからも穏やかに楽しく生きていきたいな…」
メリッサが笑顔で答え、思い詰めているローズマリーの手をぎゅっと握りしめた所にマンドレイクの足根がバシッと伸び叩いた。
「お前ら、俺の事忘れてないか?」
マンドレイクが少し不服そうに、片足根っこを聖水に浸かりながらの体制でひねくれていた。
「マンドレちゃんにだって感謝しているよ? いつもそばにいてくれて
私のわがままに付き合ってくれたり今回は、ゼラニウム神父の所まで一人で走って報告に行ってくれて」
メリッサはマンドレイクが懸命に走って擦り傷の様になってしまっていた足根を優しく撫でた。
「…そうじゃなくてさ。昔メリッサとローズマリーの、二人のその力で俺を助けてくれた事があったろ?お前らがいなかったら、俺は今ここにいないんだからな」
マンドレイクは、二人の力を禍々しいものではないと言いたげに強調して言った。
「…そっか。そう思ってくれてたんだね、有難う」
今度は二人でマンドレイクの足根をぎゅっと握りしめ、手の体温で気持ちをそっと伝えた。
(…俺の事を化け物扱いしない人間も、お前たちが初めてだったんだよ)
「それにしても、王様や王子様って、煌びやかにのんびりお城で暮らしている人だと思っていたのにいつも色々な事を考えてくれていたんだね…。アルニカ様、身分を隠してメリッサの所に来ていたの、私何となく分かるよ。本音を打ち明けられる人なんてなかなかいないもの。王子様ならなおさらだわ」
ローズマリーは子供の頃のメリッサが、自分の人を傷つけてしまった力に怯える事なく支えてくれていた出来事を重ねるかの様に思い出していた。
「ローズマリー、私たちは今を生きているよ。明日からまた私たちは私たちの
それぞれ今出来る事をやっていこう?」
昔を思い出して考え込んでいたローズマリーにメリッサも気づき、優しく説いた。
「うん、そうだね…ありがとう」
その後も二人は色々な事を考え込んでいたが、ふとお互いの目を見つめ合い
そしてふと思い出し、頬を赤く染めながら同時につぶやいた。
「ゼラニウム神父は、シラー様を…!」
その直後メリッサとローズマリーはキャーキャー騒ぎ合い、色々な妄想を語り合った。
「あー、もう二人とも早く寝ろよ~。明日も仕事だろー?」
マンドレイクが時計を見ながら注意すると、二人は悦に浸りながら枕に顔を埋めた。
「そうね、おやすみなさい…!」
メリッサはいつかゼラニウム神父にその話を聞いてみようかと思いニコニコしながら横にあるランプの灯りをそっと消した。
その時、戸棚の中にある母親から贈られた石がまた話しかけるように優しく煌めいた様な気がした。
明日で始めて一週間になります。続けてお読み頂いている方がおりましたら
感謝感謝です。
メリッサ、ローズマリーのマンドレちゃんとの出会いは、もう少し後で出てきます。




