明日は4人でサンドウィッチ
「フェンネル───! いるぅ───?」
自宅の窓から見える流れ星をぼんやりと一人見上げていたフェンネルに、ローズマリーが玄関口下から見上げて声を掛けた。
「………いや、いるの見えているだろ?」
何か用がある様に見えたフェンネルがそのまま階下へ降りると、ローズマリーは手にしていた羽織物をすっぽりとフェンネルの頭に被せた。
「これ、有難う!」
「ああ、あれか。忘れてたよ」
フェンネルはローズマリーに被せられた自分の羽織物をすぐにローズマリーへ被せ返した。
「やるよ、今日も少し肌寒い」
「ご近所さん、あまりいないね?畑の野菜とか持って帰ってきたのにー」
ローズマリーが複数袋にまとめた野菜を玄関前に置き、書置きメモを残し始めた為フェンネルもそれにつられ手伝いながら、近くの坂道の方を指さした。
「そこの坂を更に上った広場が流星群を眺めるのにこの辺りでは良いスポットだからな、皆そこに行ったよ」
二人は野菜を近隣の玄関前に置き終えると家と家で挟まれた中の隙間から、はらはらと木の葉が落ちる様な流星群を横目に、近くのベンチへ座り込んだ。
「そういえば、もう明日の準備は終わったの?窓から外をボーっと眺めていたけど?」
「ああ、まあ不足したものがあってもアルストロメリアに一時滞在するからな。そこで何か調達すればいい」
「ふーん。じゃあ、何か願い事でもしてたの? 今なら願いたい放題だよ!」
ローズマリーは興味津々でフェンネルに尋ねたが、無関心に首を横に振った。
「特に何もない」
「えー?つっまんないなぁ~」
ローズマリーの冷めた様な態度に、少し苛立ちを感じたフェンネルが腕を組みながら訪ね返した。
「じゃあ、お前は何か願い事ないのか?」
「あるけど秘密。あっ、そういえばフェンネルと…、可能ならアルニカ様も来てもらわないとだったんだ…!」
「?」
「あ!あと!マンドレちゃんと私たちが同じものを食べられる様な何かをお願いしますー!」
次々と思い出したローズマリーの奇妙な願い事にフェンネルはただ首を傾げていた。
「お前はさっきから、何を訳が分からない事お願いしてるんだよ?」
不可解な顔つきのフェンネルから目線を逸らし、ローズマリーはまた違う事を思い出すと突然ベンチから立ち上がった。
「そうだ、明日のお昼用のメリッサが好きな卵サンド作らなきゃ…! 皆の分も作っておくからね。
また明日!お休みー!」
フェンネルへの答えをごまかしたまま、斜向かいの自宅にローズマリーは小走りに帰って行ってしまった。
「………外交が、何事もなく無事終わります様に」
フェンネルは明日からの事に気をもみつつ、現実的な願いを夜空に向かってぼそりと呟くとそのまま自宅へ戻って行った。
4人のそれぞれの、シャトラナ旅立ちまでのお話でした。
次から4人揃っての成長の物語となります。徒然、活動報告にて。




