第2話 ボタン・プッシュ
気候は温暖で、優しい風が吹いている。
まだ判断するには早いのだが、最初の段階で詰んでいなくてよかった。
僕は草むらで寝転がる。風に揺らいだ草が頬をかすめる。
日差しが暖かくて心地良い。この世界を照らす太陽と、地球上の太陽はおんなじなんだろうか。
まぁ、そんな事はどうでもいいか。
とりあえず、今持っているものを確認してみる。
服や靴は、一応前の世界とは異なる、恐らくこの世界の物を着けている。
そして、ボタンも渡された物を持っている。
その後も、隈なく探してみたが、持っているものはこれらだけだった。
たったこれだけでどうすればいいのだろう。
とにかく、近くに人がいないか探してみようか。
僕のミッションは、この3億年ボタンを誰かに押させる事だったはずだ。
もしかして、誰かに押させる事ができれば、ボーナスをもらえたらするのかも。
淡い期待を込めて、人を探す。
そして、長い時間が過ぎた。
誰もいやしない。
流石に人にはすぐ出会えるだろうとたかを括っていたが、誰もいない。
このままだと、何もできないまま野垂れ死ぬ可能性すらある。
とりあえず、近くの村を探さないと。
村を探すためには、どこにいけばいいんだろう。
人間が生きるままに必要なものはなんだ?
水か?それなら川がある方向に行けばいいのか?
でも、川なんて見当たらないし、水の音すら聞こえてこない。
あぁ、もう全くわからない。
実は、もらったボタンにヒントが隠されていたりしないだろうか。
もしくは、裏側が方位磁石になってたりするとありがたいんだけど...。
僕は、ボタンを取り出して、じっくりとボタンを探ってみる。
ダメだ。期待はしていなかったけど、何もなかった。
もうだめかもしれない。俺は一度死んでいるんだ。死んだ人間に第二のチャンスがそう簡単に与えられるものか。
自暴自棄になって、僕はボタンを地面に投げた。
後に僕は、この行動を後悔することになる。
僕は、死んでから三億年ボタンを渡され、異世界に飛ばされるような、運の悪い人間なのだ。
それなのに、なぜこんな行動をしてしまうのか。
ボタンは、手から離れて宙を舞い、ボタンの部分を下側にして着地した。
押されるボタン、僕の意識は遠のいていった。




