表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宵待月に桜は踊る  作者: 葉隠真桜
第三章
80/80

入学式 2

「── 多分ここかな?」

「受付の人の言うとおり来たし、合ってると思うよ。」


講堂の横の、巧妙に隠された道を歩き、僕たちは複数の人の気配のある扉の前の広場に辿り着いた。


「にしても、すごい丁寧に隠されてたね。」

「ん。学園でもなかなか見ないレベル。」


周囲に人がいないか確認している僕の後ろで、トウカとレオナさんがそんなことを話している。


── 確かにこの道、いろんな方法で隠されてた。人の意識をうまく利用したり、単純に進むべき道が見えにくくなってたり、魔法で正しい道から意識をさらされるようにしてあったり……。分かれ道も多くて、何でこんな道を通らせるんだろうって思ってたけど……。この感じ、わざとかな。


「でも、本当にここ?誰もいないよ?」


そんな中、ミリアが周囲を見渡しながら疑問を口にする。確かに、ミリアの言うとおり、広場に人の姿はない。


「……いや、居るね。」


しかし、周囲の気配を探った僕がそう呟くのと同時に、どこからともなく現れた3つの人影が僕に襲いかかってくる。


「!ノアく ──」

「大丈夫。」


周囲に突然敵が現れたことに驚きつつミリアは剣に手をかけるが、僕はそれを静止し、それまで力を抜いて開いていた手を閉じる。


「── きゃ!?」

「うおっ?!」

「何だ!?」


しかし人影は、気配を探るのと同時に僕が周囲に張り巡らせた糸に引っかかり、全員が動きを止める。


「……初対面なのに、随分な挨拶ですね。」

「クソッ、何だこれ!放しやがれ!」


僕は小さくため息をつきながら糸に絡まっている人ののうちの1人、黒目黒髪の顔立ちの整った少年にそう声をかけるものの、彼は聞く耳を持っていないようでひ、糸から抜け出そうと身を捩っている。


「── はぁ……。だから言ったのに……。」


そんな彼の様子に僕がどうしたら話を聞いてくれるだろうかと考えていると、ため息と共に焦茶色の髪に鳶色の瞳の少女が何もなかった空間から姿を現す。


「!月見里(やまなし)、もう動いても大丈夫なのか?」

「大丈夫だって。反動っていってもそんなに強いやつじゃないし、彼も手加減してくれてたみたいだしね。」


そう言うと彼女は、意味ありげに僕の方を見る。


「先程は失礼いたしました。ノア=シスト様。」

「……何か事情がありそうですし、僕自身も気にしてないので大丈夫ですよ。」


そして流れるように謝罪の言葉を口にする彼女に、僕はそう返す。


「それより、大丈夫でしたか?」

「はい。式神(しき)が気絶する程度で抑えてくださったので。」


そう言って小さく笑顔を浮かべる彼女に、僕は小さな違和感を覚える。


── 何だろう……何故か分からないけど、何かおかしい……。


「それはそれとして……こちらの馬鹿を放していただくことは可能でしょうか?」


その違和感に首を傾げる僕に、月見里と呼ばれた少女が聞いてくる。


「おい!馬鹿とはなんだ!」

「だって、相手との実力差も理解しないで戦おうとするなんて馬鹿以外の何者でもないじゃん。」

「なっ!?」

「私言ったよね?確実に相手の方が強いって。私の烏を倒さずに撃ち落とすなんて、相当の実力がないとできないって。なのに数で押せばどうにかなるって考えて……。ひーちゃんもひーちゃんでだよ?何?戦いたいから参加するって。相手に迷惑がかかるって考えないの?」

「し、しかし……。」


そう言って2人に説教を始める彼女の様子を見ていた僕は、そこでようやく違和感の正体に気付く。


── あれ?声と口の形が違う?……後で話がしたい……?よく分からないけど、意味もなくこんなことをするとは思えないし……。


「ま、まあその辺りにしておいてあげてよ。」


僕は少女に声をかけつつ、見様見真似で口の動きだけで了解の意を伝えようと試みる。


「!……分かりました。」


そんな僕のメッセージが伝わったのか、少女は小さく目を見開いた後、頷きを返してくる。


「それで……もう1人は誰なのかな?」


その反応を確認し、僕はさっきから気になっていたことを聞いてみる。


「え?もう1人、ですか?2人しかいませんけど……。」


そんな彼女の言葉に僕は首を傾げ、周りの皆の反応を窺う。しかし、トウカ以外は僕の見ている3人目を認識していないようだった。


「あ、もしかして隠れてもらってた人たちですか?……でも、それだと1人って言う必要はないですよね……。」

「だから、ここにいるじゃないですか。ほら。」


そんな状況に我慢ができなくなった僕は3人目の頬を突く。すると、それまで息を止めていた人影が勢いよく息を吐き、それと同時にトウカ以外の全員がばっと人影の方を見る。


「あれっ!?」

「……驚いた。」

「誰だっ!?」

「ご、ごめんなさいぃ……!」


一気に周囲の視線を受けた彼女は、若干涙目になりながら震える声で謝罪の言葉を口にするのだった。

作者の葉隠です!初めての作品なので、至らぬところも多々ありますが、温かく見守っていただけると幸いです。もし気に入っていただけましたら、ブックマークと☆による評価を、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ