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第10話 異世界コント出来ました

エージ新ネタ披露!

第10話 異世界コント出来ました

千陽子は、自分の事務所内でエージの考えたネタを色々と選考し、今度の関西コント大賞の予選に出すネタを(ふるい)にかけていた。


「あーん?ツッコミ魔石?何やこれ?」

1日百個のネタをと言われて、エージもかなり疲弊しているのか、ネタにキレがない。

「ん?これは?」

千陽子があるネタに気付く。

「ふんふん、ほんほん、おーなかなかなー!」

ネタを読みながら頷く。


「逆また真なり!!」

千陽子が叫ぶ。

なんのこっちゃ?


「おいエージ!起きろ!」

千陽子が事務所のソファーで寝ているエージを起こす。

普通の起こし方ではない。

ソファーを足で蹴って、その衝撃で起こしているのだ。


「うーん、ああ、千陽子さん、どうしたの?」

少し寝惚けながらエージがソファーから起き上がる。

「エージ!お前にしたら上出来や!」

「えっ?どれ?」

「これや!このワイとお前のボケとツッコミが逆のネタや!」

「あ、ああ、それ?ちょっと面白いかなと思って作ってみたんだけど、でも、千陽子さんが、ボケというのもどうかなと思ったんだけど、気に入ったの?」

「ああ、気に入った!今から練習や!」

「えっ?今から?!」

「そうや!アカンのか?」

「いや、別にいいけど…」

「よっしゃ、ほんならやるで!」


と言うことで、いきなり叩き起こされたエージが千陽子にネタ合わせをさせられる羽目になった。

この間、エージのコントネタの表題に自分がツッコミを入れる件は『かなりイケる』と思った千陽子だったが、よく考えてみるとあれはコントではなく漫才であることに気付き、全てを白紙にしていた。

だが、今回は完全にコントである。


ーー異世界コント『異世界宿屋の受付嬢』ーー

ナレーター『ここは、異世界の宿屋『シッポリ亭』、そこの受付嬢は、今日も新たな客を待っていた。』


そこに、旅人風の青年がやって来る。

彼の名はエージ、町から町へ旅をしている。


「あーここが新しく出来た宿屋『シッポリ亭』かあ、ちょっと変なネーミングだな。まあ、入ってみよう。」

と言いながら、旅人エージは宿屋に入る。

すると、正面のカウンターに受付嬢が立っている。

彼女の名はチヨコ、プロの受付嬢である。


「しゃーせー!今日はお泊まりですか?お食事ですか?それとも、冷やかし?」

どこかのバイトのような受付だ。

一応メイド服を着て、それっぽくしている。


「はい?いやいや、冷やかしじゃないです。それに、それだとお風呂にします?ごはんにします?それともわ・た…。」

そこまで言いかけたところで、カウンターテーブル上の宿泊名簿によるチヨコの無表情なツッコミがエージの頭に入る。


「痛ったー!何するんですか?!」

「いや、何となくムカついたんで。」

「何て受付だよ!ちょっと私、宿泊の客なんですけど、部屋は空いてますか?」

エージは慌てて答える。

「はい、空いていますが、どの様なお部屋をお探しでしょうか?」

「えっ?どのような?」

変な受け答えにちょっと戸惑うエージ。


「ええ、例えば山の絶景が見えるお部屋とか、流れ落ちる滝の音や川のせせらぎを聞きながら森の緑が楽しめるお部屋とかですね、あと…」

「あの、ちょっと待って下さい?ここって宿屋ですよね?確か外は、普通に商店街があったんですけど?山の絶景とか、滝のなんとかは無いでしょ?!」

「あっ!スミマセン、それ、私が住みたいお部屋の情報紙の話でした。」

「って、何で情報紙の話が出てくるの?ちゃんとお部屋の案内して下さいよ!」

「失礼しました。お部屋は、スイート、ダブル、シングル、馬小屋、物置小屋と色々取り揃えていますが、どちらにされます?」

「取り揃えすぎだな!馬小屋って何?!あと物置小屋って?!」

エージのテンションが高くなり、次々とツッコミを入れる。

「馬小屋は馬に乗って来られるお客様もおられますし、物置小屋はお金の持ち合わせの少ない方のためにリーズナブルな料金設定をさせてもらっています。」

「ああ、なるほど、異世界あるあるだな、じゃあ俺、一人だしシングルで。」

「シングルでございますか?それでしたら10万イエーンになりますが?」

「えっ?はい?10万イエーン?えらく高いな?まあ、この宿、出来てから間無(まな)しみたいだからしょうがないのかな?ちなみにスイートの値段はいくらぐらいになるの?」

「スイートは5000イエーンです。」

その値段を聞いて、ガクッとなるエージ。


「安っす!ちょっと、それシングルより安いじゃないですか?!それに何なのそのドヤ顔!?じゃあそちらに泊まります。」

「あ、スミマセン、こちらは3名様以上のご利用となりますので。」

「えー!じゃあ一人頭で換算したら、さらに安くなるじゃないの?それじゃあ、あと二人連れてくれば良いってことですよね?」

「ええ、そうなんですが、一応、その中に勇者様を一名入れて頂かないとご利用にはなれないんですぅ。」

受付嬢は少しブリっ子の様なしゃべり方になる。

「えっ?勇者?」

「はい、実はこちらのスイート、勇者様御一行限定のスイートルームとなっておりますので…」

「あーなるほど、また来たよ異世界あるあるが!じゃあダブルはどうなの?勇者限定とかじゃ無いよね?」

「はい、勇者様限定ではありません。大丈夫です。」

「ちなみに値段は?」

「3000イエーンです。」

「やっす!シングルよりかなり安いよね?やっぱり何かあるでしょ?勇者じゃないとしたら?」

「はい、ムッツリエロ賢者と巨乳魔法使いペア限定となっております。」

「何だよそれ!そんなコンビ、異世界マンガでもあまり見たことねーよ!」

「先週一組様、ご利用なされています。」

「いるのかよ!驚きだよ!もう、こうなったら全部聞くよ!じゃあ馬小屋は?!」

「これも3000イエーンになります。」

「それも安いな、勇者の馬とか限定なのか?」

「いいえ、普通の馬でも結構です。」

「ベッドが無いとか?」

「いえいえ、ございます。ただ…」

「ただ?」

「馬糞の(にお)いが強い馬限定で…」

「そっち限定かよ!!頭おかしいんじゃないの、ここの宿屋の主人は?!どこに、そんな馬糞の臭いを嗅ぎ分ける人間がいるんだよ!」

エージが興奮して色々ツッコミまくる。


「オーナーが馬糞の臭い検査官で…」

「馬糞の臭い検査官ってそんな奴いるのかよ!もう、じゃあ最後の物置小屋って言うのはいくらなんだよ!?」

「1000イエーンです。」

「安いな!安すぎる!これは罠だな。これも勇者とか、賢者とか、魔法使いとか馬糞の臭いの強い馬を持っていないとダメとか言うんだろ?」

「いえ、何も…」

「ベッドは?」

「付いています。食事も朝夕二食付きで。」

「ウソ?」

「本当です。」

「ちなみに条件は?」

「一応、ありますが…」

「くっ、やはりあったか!だが、魔法に掛けられたように、どうしても、その条件を聞かないといられない!」

エージが両目をぐるぐると回して何かに耐えている。

「聞かれますか?」

受付嬢が機械的な表情で聞いてくる。

エージはとうとう誘惑に負け、その言葉を口に出す。


「言ってみろ!その条件とやらを!」

「魔王城直行ツアー付きです。」

「死亡フラグ確定じゃねーか!」

「あと、格安のオプションで、『ドラゴンの巣、見学ツアー』もございますが?」

「いらねーよ!」


ゴーン (鐘の音)

フェードアウト

ーーー終了ーーー


「中々おもろいやないか!エージ。」

「そうですか?良かった。それやったら、まだもう1つネタがあるけど?」

「何?!まだ、もう1つあるやて?ホンマか?」

「うん。」

「ちょっとそれ、見せてみい。」

「いや、確かにあるにはあるんやけど、まだ完成と違うから、もう少し待っといて欲しい。」

「なんや、そうかいな、それやったら紛らわしいこと言うな。ちょっと期待してしもうたわ。」

「えっ?そうなの?」

「ちょっとだけな。」

「よっしゃあ!」

エージがガッツポーズをする。

千陽子にネタで誉められたことが、かなり嬉しかったようである。


ただ、その後に、千陽子に見てもらった他のネタは散々に扱き下ろされてしまい、エージは再び意気消沈してしまうのであった。


とりあえずエージ君が頑張りました。

異世界縛りのネタはハードル高し!

次ももう1つの新ネタ披露します。


ではまた次回もよろしく⊂(・∀・⊂*)

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