最終話「甘党」
「なー八千代、帰ろーぜー」
放課後を告げる鐘の音と一緒に、修斗が机の前までやってきた。
輝いているようで、むしろくすみがかっていたゴールデンウィークとやらが終わりを迎え、私は日常に戻されていた。
「うん、アリシアは?」
結局、EAT会場を襲ったあの魔物たちは、どうやら異世界から送り込まれたという話だったらしい。テレビでは『異世界門事件』なんて、へんてこな名前で呼ばれてた。
「もちろん、ご一緒いたします!」
死者、行方不明者が数百名にも上ったこの事件は、最終的にローエって人が異世界へ通じる扉を破壊し、その上周囲の魔物を一掃。それによって幕を閉じたということになっている。
「帰りどっか寄ってかね?」
「別にいーけど、どこ行く?」
ただあの事件は、間違いなくアーティストが起こしたものだ。
その根拠は、千鶴ちゃんが言っていた。
「カラオケは?」
「うーん」
「お二人とも、ちょっとよろしいですか?」
ハイジャックによる犠牲者が300名ほど必要だったアーティストは、最終的に飛行機を爆発させて犠牲者を増やす算段だった。
けれどその結果、それも負傷者3名で終わった。
そうなれば、今度は別の手で犠牲者を作るべく、あの事件を起こしたと考えれば辻褄が合う。
実際、かなりの死者と行方不明者が出る結果となったし。
その目的が達成されたから、ローエって人が扉を破壊したんだと思う。
これで、アーティストの新メンバーとして一つ実績を積めたことになり、早速市民からの支持されはじめているのだから。
「実は、今日から夏限定のスペシャルメニューが販売されるんです、ぜひお二人にと、ミルハイルお姉さまがおしゃっていたのですが、今日はお時間ありますか?」
「おっ、何それ!? 気になるな、なぁ、八千代?」
あの事件のあと、神宮寺海斗に見つかることも承知で、絶対領域を市内中展開して回ったけれど、結局千鶴ちゃんが見つかることもなければ、神宮寺海斗に見つかることもなかった。
既に東京に連れて行かれたのかとも思ったんだけど、莉子づてに聞いた宮本怜夏の話では、ハッキング犯を捉えたものの自害したとのことらしい。
今回の一件で信用を取り戻しつつある莉子に、伝えられる話だからある程度信憑性があるとは思うんだけど、あの千鶴ちゃんがそうするとはとても思えなかった。
それでも、そこで千鶴ちゃんの手がかりは完全にロスト。
もうどうしたって、彼女を救うことができない状況になってしまった。
「……うん。そうだね」
「なんだよ、あんまりか? カラオケもカフェもダメってもしかして用事あったのか?」
「川上莉子さんとでしょうか?」
「あ、いいや、大丈夫だよ。今日は本当になにもない。ただちょっと考え事してただけ」
咲には、ちゃんと伝えてる。
それでも咲は、「あいつが自害することは絶対にない、断言できる。またしばらくは会えなくなっただけだ」と言って、悲しみに暮れる様子もなかった。本当に強いよ、咲は。
私は、咲に合わせる顔がなくてしばらく連絡さえできなかったのに。
「夏限定メニューの話だっけ、ちなみに何なの?」
「それは来ていただいてからのお楽しみです!」
「お楽しみ、ね」
言葉と真逆の感情が、ずっと心に残っている。
けれどこればかりはどうしようもない。
何を失っても日常は続いていく。それはある種残酷でもあり、救いでもある。
「少しだけお伝えすると、甘いデザートだそうですよ?」
私はきっとこれからも、同じような苦味を味わうことになるのだろう。
だからと言って、立ち止まったままではいられない。
これは私が始めた物語で、たとえ一人になっても成し遂げると、そう誓ったことなのだから。
「食べてみたいな」
今回は思うところが多々あった。
けれどもまだ、まだ何も終わってなんてないんだ。
得たものだって、わかったことだってある。
それに私は、まだここにいる。
こんな苦い結末のまま、終わらせたりなんかさせない。
「甘いのは、好きだから」
なんかもう、色々あったけれど、吹っ切れた気がする。
その日も空は、晴れ渡っていたんだ。
まずは、最後まで読んで下さり誠にありがとうございました!
心から嬉しく思っております。
私の書いた作品はまだ拙く、あまり読まれることもないため、読んでいただけただけで本当に、本当に嬉しいです!
書ききってみて、もっとこう、上手くできたんじゃないかなってところだったり、作り込みが甘いところだったり、描写が薄いところだったりが目立って、まだまだ力不足だなぁと痛感しました。
それでも今の自分にできる最大限の力を注ぎ込んだことには、違いありません。
なので少しでも、「面白い」とか「続きが気になる」とか思ってもらえていれば、それに勝るものはありません。
欲をいうと、いいねや評価が欲しいですが。笑
実のところ、物語的にはまだ序章も序章で、次の章の構成もあり、ああしたいこうしたいがありますが、それはそれとして、一旦ここで連載を終了とさせていただこうと思います。
理由は至極明確で、前述の通りあまり読まれないため。ですね。
ですので、この話は一旦完結させていただきますが、もし将来、他の作品で人気になり、この作品に評価やいいねが集まるようであれば、続きを書くのも面白いかもしれない。とか思ってもいますが。
現状、どうしたらより読んでもらえるのか、試行錯誤の途中ではありますが、この作品を通して見つかった課題だったり、自分に足りない力だったりが見えてきたので、次作ではそれらと向き合っていきたいと考えております。
今度はもう少し軽めのお話だったり、書いたことのないジャンルに挑戦してみるのもいいのかなぁとも考えております。
少なからず、小説家になることを諦めるには、まだ早いので、必ずまた戻ってきます。
その時、また、この作品を読んでくださった方にも読んでいただけたら嬉しいです。
そして、その作品でまたみなさんと再会できますことを、楽しみにしながら次作の作成に取り掛かろうと思います。
最後になりましたが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!




