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第六十三話 廊下の対談

 ミナとミツキは上層階へ上った後で、暗くて長い廊下に歩くとまた上への階段を見つけてあらためて上る。


「この城の階数は何なのかしら」


 ため息を吐きながらミツキがそう口にするとミナが答えを出してみる。


「城の絵を描いたとき限り、十階くらいと思います」


「そう……」


(ミナさんの観察力は高いということね)


 考え込みつつミツキは床をぼーっと眺めて歩くのでミナはそれに気がつくと問いをかける。


「なにかされましたか? ミツキさん」


「あ、え……いいえ。ただミナさんの観察力はすごいねって」


「そうですか。ありがとうございます」


 お礼を言ながら頭を下げると言葉を継ぐ。


「そうですね……。ミツキさん川宮さんのことどう思いますか?」


「え? なに急に、ミナさん」


(ミナさん、なんでそんな恥ずかしい質問をするの!?)


 その不意な問いがミツキを動揺させてそう聞き返すとミナは焦て答える。


「いいえいいえ。失礼な質問だと分かっていますけれど、ちょっと気になります……。あれですね。川宮さんは言いましたし。あちらの世界では川宮さんとミツキさんは恋人ですし」


「確かにそう言ったわね」


 咳払いをすると、ミツキはもう一度口を開く。


「そうね……。馬鹿に見えても変に見えてもいい人だわ。あちらの世界みたいに彼のこと好きなのは分からないあけれど、頼れる人だと思うの」


 床を眺めながらそう宣言するとミナは足を止めて、そのせいでミツキも立ち止まった。


「ミナさん?」


 真剣な表情をするミナにはミツキがそう問うと、彼女は頭を横に振って言い返す。


「いいえ、なんでもありません。……ただ」


「ただ?」


 ミナが言い続けるのを促すようにミツキは小首を傾げてミナの言葉を繰り返す。


「心配しますような、気になりますような……どう説明するか分かりません」


そう述べながら誤魔化すように笑顔を浮かべると彼女の頬を掻く。ミツキはそのミナを見ると微笑んで言い返す。


「ミナさんが言いたいのは分かると思うわ。だって、ミナさんは川宮くんの妹だもの」


「そうですよね」


(そうですけれども、なにかが変わってる気がします)


 しかし、ミナはそれ以上何も言わず歩き続けた。


 そして、途中でミツキが彼女の足に何かが近づいてくるのは気がついて、また足を止めるとそこに目をやるとゴキブリだと分かった。


「ゴキブリだわ」


「あ、そうですね」


 ミツキはゴキブリを見て、急に笑い出した。


「ミツキさん?」


 彼女の笑い声に、ミナの頭の上に疑問符が浮かんだ途端ミツキにそう問った。


「いいえ、だってミレイちゃんがこのゴキブリと遭遇したらきゃああと叫ぶという想像がしたもの」


 そう言われるとミナもふふと笑う。


「そうですね」


 そう言ったや否や、ゴキブリがそこから消えた。


「え? 消えましたよ」


 ミナとミツキが周囲に視線をしたが暗い廊下にはゴキブリの姿を見つけるのは難しかったのでしょうがないとミナが口を開く。


「続きましょうか」


「ええ」


 ミツキが頷き、ミナとともにあらためて歩き出した。

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