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第六十話 守るということ

 アヤの攻撃に狼たちはぎりぎり避けた。すぐに狼たちは同時にアヤに迫ったけれどアヤが回避出来た。


「アヤちゃん!」


「大丈夫なんです」


 三匹の狼から視線を逸らすことなくアヤはセツナにそう答えた。


 こういうの場合にはアヤがどうすればいいのは分からなくても彼女は絶対に勝たなければならないということはしか分からなかった。


 でも、そうすればいいのか。どう動けばいいのか。どうして狼に勝てるのか。


 アヤはそう迷いながらため息を吐くと三匹の狼は彼女に迫った。右から来る狼を避けた瞬間で左の狼は彼女を攻めて、アヤがあたふたと狼の鼻面を打った。


 しかし、中央に来る狼から自分を防ぐ間に合わなくて右の前腕に噛まれた。そして、そのままで狼は近くある木にアヤを投げて、結果的に木の厚い樹幹を折らせた。


「ぐうっ」


 土に尻をかけたアヤが痛いと言わんばかり音を出すと彼女の右の前腕を見ると血が出るのは見取った。


「アヤちゃん!」


 セツナそう叫ぶとアヤの方へ一歩を踏み出して、彼女に歩こうとしたが―


「こっちに来ないほうがいいんです」


セツナを抑えるために左手を上げながらそう宣言した。


「わたしは大丈夫なんです」


 立ち上がりつつ癒すために左手で右の前腕を触った。血が出るのは止んだところで右手を離した。


「わたしはセツナちゃんとヤワラカイちゃんを絶対に守らなければならないんです」


「ヤワ―」


 アヤがそう言うとセツナは彼女の息が荒いのは気がつくとヤワラカイに声をかけようとしたけれど彼女は戸惑いそうな顔を浮かべていた。アヤに視線を戻すと彼女があらためて別の木の樹幹にぶつからせたのを見た。


「アヤちゃん!」


 もう一回セツナがそう叫んだけれど今度はアヤは答えを口にしなかった。


 彼女の額と手首から血が出て息は先より一層荒そうだった。三匹の狼が遅く歩きながらアヤを囲んで、もう一度彼女を攻める瞬間を待っていたようだった。


 セツナはまたヤワラカイを見ると彼女が土に腰をかけさせる。


「い、い、いやだ……アヤちゃんが……アヤちゃんが」


 そう呟いた途端彼女のあたりの三センチくらいの土が湿された。


 自覚すると、彼女の手足が震えるのは気づいて吐き気も感じて彼女の手を口に当てる。狼たちはそれ以上一秒待たずにアヤへ飛び込んだ。


そして、その咄嗟に―


 血がアヤの顔にしぶく―セツナの血が。


 セツナはアヤと三匹の狼の間に立ってアヤを庇った。


「セ、セツナちゃん? セツナちゃん!」


 アヤがそう叫ぶとセツナがかすかに微笑んで彼女に話しかける。


「わたしはセツナではないです」

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