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第二十二話 アクトの取り引き

 アヤが殺意こめた目でアクトを睨みながら彼女が口を開く。


「ミヤリョウヤ」


「はい」


 ミヤとリョウヤがアヤに近寄って手を伸ばす。三人は手を繋ぐと銀色の光がアヤとミヤとリョウヤを包む。


「ほう?」


 総偽精霊は驚いた顔をして、手を叩きながら話す。


「その銀色の光は美しいねえ。あなたたちお持ち帰りたいねえ」


「うるさいっすよ」


 リョウヤがそう言うとアクトはすぐに言い返す。


「そうだねえ……お持ち帰りたくても出来ないねえ。殺すからねえ」


「殺されるのはお前なんです」


 アヤがそう宣言するが早いかミヤとリョウヤと交互に頷き、攻撃をするために総偽精霊に迫る。


 まずいよ。彼女たちに言ったけど無理だったみたいだ。アヤちゃんとミヤちゃんとリョウヤくんは本当に総偽精霊を殺したいんだね。その銀色の光は間違いなく精霊連携なんだ。三人で精霊連携をやるのは見たもないことね。アヤたちは強くなった。しかし、その力は足りるのかわからないと思いながらミレイが叫ぶ。


「アヤちゃんミヤちゃんリョウヤくん待って!」


 ミレイがそう叫んだとしても三人のホンユジは彼女を聞かなかった。


 最初に攻撃したのはアヤだった。けれど、アクトは彼女の銀色の光に包まれている拳を避け、そのままでアヤの脚を取って、彼女を投げる。


 ミヤとリョウヤが同時にハイキックで攻撃をしたけれどアクトはそれを避けて、両手でミヤとリョウヤの髪を掴み、二人の顔が地面にぶつからせる。十回ほどミヤとリョウヤの顔が突き当たらせた後、彼たちをアヤのそばまで投げた。


「…………」


 アヤがミヤとリョウヤの血まみれで腫れた顔を見ると信じられないばかり表情をして声を詰まらせて話す。


「ミ、ミ……ミヤ? リ……リョウヤ?」


「すみませんねえ。やりすぎたかもしれないねえ」


 不気味な笑顔を浮かべながら嘲笑うようにアクトはそう言った。アヤが手を拳にしつつ歯を食いしばる。


「許さないんです……お前を殺してやるんです!」


「分かった分かった。可愛い子だねえ」


 そう言ったや否やアクトは迅速な動きでアヤの前までやり、右手で彼女の首を掴んだ後、地面にぶつかった。首を掴んだままでアクトは彼の顔を二センチメートルの距離でアヤの顔に近くにした。


「この近く見るとやはりもっと可愛いねえ」


 そう言って左手の人差し指でアヤの顔を触ろうとするとミレイが声をあげる。


「彼女を触らないで」


「動かないほうがいいねえ。一歩を出したら彼女を殺すよねえ」


 ミレイに視線をやってそう言い返し、またアヤの顔の同じ距離までアクトは自分の顔を近づける。薄気味悪い笑顔をして口を開く。


「分かるのかい? あなたの弟と妹が死んだよねえ」


「……うるさいんです」


 そう言い返すと泣かないためにアヤが唇を噛み、アクトと目を合わせないように視線を泳がせた。


「うるさくても僕の話を聞くべきと思うがねえ」


 アクトはそう宣言して、即座に言葉を継ぐ。


「実はさ、あなたの弟と妹を回生させるのは出来るよねえ」


 左手の中指の指先でアヤの頬を弄りつつアクトはそう言い、彼の癖の不気味な笑顔を浮かべる。


「信じられないのかい? 見てくださいねえ」


 アクトは彼の左手をアヤの頬から離し、指を鳴らした。その瞬間でタムラが頭を振って、どこにいるのかさえ分からないと言わんばかり辺りに一目をして立ち上がる。彼の胸にある穴を触りながら開口をする。


「……何があったのかヨ」


「なんでもないねえ。とにかく、あの者たちを殺したまえ。そうだねえ。半女神さんを殺すな。今度死なないでくださいねえ」


 ふざけそうなトーンでアクトはそう言ってタムラに新たな命令を伝える。ミツキ以外、ミナとミレイと雄一を殺すこと。ミツキの呪いが解かれたでもミツキにまだ興味があって、あらためて彼女に呪いをかけるように他の総偽精霊のところまで連れるあもしれない。


「ちっ、リョーカイ」


 舌打ちをして、タムラは分かったと言わんばかりジェスチュアをやってゆっくりと雄一たちの方向へ歩く。


 アクトはもう一度アヤに話しかける。


「見たねえ。出来るよ。タムラくんは死んでいたはずなのにまた生きて歩いているよねえ。だから、あなたの妹と弟も回生させてあげるよ」


「お前はあいつにわたしたちを殺すという命令をしたんでしょう。わたしたちを殺したいんでしょ。ミヤとリョウヤを回生させることにはお前にメリットはないんでしょう」


 アヤがそう答えた途端怒りのせいで彼女の目から涙が溢れた。そのアヤの涙を見取れるとアクトは不気味な笑顔を浮かべ、言葉を継ぐ。


「そうだねえ。その命令をしたけど、取り引きしようよ。あなたの妹と弟を回生させる。そして、あなたも彼も彼女も殺さないと誓うよ。僕を殺そうとしてもねえ」


「口がくさいんです」


 アヤが軽蔑そうな表情をして侮辱こめたトーンでそう述べた。しかし、アクトは彼女を聞くことなく話し続ける。


「その代わりに、やらせりたまえ」


「気持ち悪いんです」


 アクトはやらしい顔でそう言ったや否いやアヤは侮そのまま侮辱なトーンで言い返した。


「久しぶりにハメハメしてないよねえ。僕は紳士だから犯すのは止めたよねえ」


「不愉快なんです」


 過去には女を犯したことがあったけれど現在にもうそれをしないとアクトが宣言した。


 アクトは言い出した取り引きをアヤが承認する気配もないのでしょうがないと頭を横に振りながらアクトは口を開く。


「断るということかい?」


「決まってるんです」


 嘲笑いつつアクトは言葉を継ぐ。


「あなたの妹と弟の命がどうでもいいということねえ」


「…………うるさいんです」


 アヤの悪口を無視して人差し指の指先でやさしくアヤの太ももを触る。アヤの嫌そうな表情を見ながらアクトはサディスティックな表情で口を開く。


「あなたの太ももは柔らかいねえ。残念だねえ」


「彼女を触らないでよ!」


 ミツキがそう叫ぶとアクトは手を止める。顔を上げてミツキの方へ視線をやた。


「ほう? 半女神さんよく喋れるねえ」


 この者を許せない。醜くて最低だわ。わたしはなんとかししなくてはならないのと思った途端ミレイに話しかける。


「ミレイちゃん手を」


「はい」


 ミレイはこっくりと頷いてミツキに手を伸ばす。


 彼女たちの友情は強いのだ。


 彼女たちの気持ちは同じ―怒りなのだ。


 季節は夏。ミツキとミレイには効果はないのだ。


 ミツキがミレイの手を握って、その咄嗟に二人は紫色の光に包まれるとミツキの長い髪は彼女の足首まで伸びる。


 その紫色の光とミツキの髪の変化は精霊連携が完成の証である。


「なんだソリャ……マー、何だっていーっ」


 タムラのセリフの途中でミツキが手を叩くと激しい風でタムラを飛ばさせた。タムラは木とぶつかって気を失う。


 これは精霊連携なのか。言った通り、ミツキは強いな。けど、ミツキは本当にあいつを負かせるのか。それしかないと雄一は思うとミツキが言葉を口にする。


「あなたは次」


 ミツキがそう宣言してアクトの方に手を叩いた。しかし、アクトは下がって風を避ける。


「ほう? 面白いねえ」


 アクトは不気味な笑顔を浮かべながらそう述べた。


 ミレイはアヤに寄せてしゃがんで、彼女に声をかける。


「アヤちゃん、大丈夫なの?」


「大丈夫なんです」


 アヤそう言って頷くとミツキはミナと雄一に話しかける。


「ミナちゃん川宮くん、アヤちゃんを頼むわ」


「おう」


「分かりました」


 ミナと雄一もアヤの両側まで寄せてしゃがんで、ミレイと一緒に彼女が立ち上がれるように三人は腕を貸した。


 また俺は何も出来なくて力にならないのか? 俺は見っともないんだろ。ずっとミレイとミツキとミナとアヤだってに頼ってきただけだ。今でも役に立たない。今はミツキとミレイを信じるしか出来ないと雄一は考えながら紫色の光に包まれたミツキの背中を眺めた。

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