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第38話 魔神化したミナト

「ここで存分に殺してやるよ!!」


 ミナトは叫ぶようにそう言って、フォルミドと少し間隔を取るようにして立ち止まった。


 フォルミドも立ち上がって、ミナトに短剣を向ける。

 その顔はいつものように不気味な笑みを帯びているが、その裏には多少の怯えの色が見える。


「ふふふ、簡単に殺せると思っているなら、おバカさんねぇ」


 フォルミドも口ではそんなことを言っている。

 でもどこか自分に言い聞かせるような口調だ。


 実のところ、元々のミナトの実力と魔神の実力がアリとドラゴンほどに差があるので、今のミナトを操る魔神は元々の力の半分も出せていない。

 それでもこのフォルミドでさえも自信満々で挑めないくらいに、今のミナトは超人的なオーラを放ち、化物のような力を持っているのだ。


「かかって来いよ」


 ミナトは挑発するように言って、鞘と柄を持ち腰を低くした状態で構えた。

 いわゆる、抜刀術や居合と呼ばれる形の構えだ。


 魔神はミナトの中にいるためその知識を持っているが、フォルミドは剣を構えないミナトが何をしてくるか分からず警戒している。


「じゃあ、遠慮なくっ!」


 しかしフォルミドはそう言いながら、飛び込んだ。

 いや、飛び込んでしまった。


 フォルミドはミナトの隙を完璧について、ミナトの懐に飛びこんでいく。

 けれど今のミナトの超人的な反射神経では、隙はもはや隙とは言えない。


 そしてミナトの刀の方がフォルミドの短剣より有効範囲が長い。

 だからフォルミドがミナトの懐に入るコンマ1秒あるかないかくらい直前に、彼女へミナトの高速の一撃が放たれる。


 目では確実に見えないその斬撃は、一瞬で確実にフォルミドの体を真っ二つにしたと思われた。

 しかし、真っ二つにしたのは彼女の短剣だった。


「――な」


 フォルミドは両手の一瞬にして使い物にならなくなった短剣を見ながら、青白い顔で後退する。


「いやぁ、さすがに一発目じゃ狙いも定まらないかー」


 ミナトは余裕の表情でにやける。


 もし狙いが定まっていたら、と考えたのかフォルミドは顔を真っ青にした。

 でも後ろを振り返ったフォルミドは、顔をさらに真っ青にしていやな汗を垂らした。


「地面が切れている?」


 彼女の視線の先には、フォルミドの真後ろを除いて横一筋に切込みを入れられている地面があった。


 そう、ミナトの斬撃が飛んだのだ。


 フォルミドの後ろの地面は彼女の短剣が代わりに割られたので切れてはいないが、フォルミドの後方には確実にミナトの斬撃による跡が残っている。


「そんなことが……」


 青い顔でその引き裂かれた地面を見つめながら、フォルミドはそう漏らした。


「殺し合い中によそ見するとは、余裕だなあ!!」


 今度はミナトがフォルミドの懐に飛ぶ。

 それは明らかに先程の彼女のそれとは違い、音を置き去りにするようなものだった。


 それを後ろを向いていたフォルミドに反応できるはずがない。

 それでもフォルミドはなんとか振り向きながら腕で頭を防御するが、ミナトはその腕ごと殴り飛ばした。


「――がっ!!」


 フォルミドはそのまま後方に転がっていき、何とか立ち上がる。

 すでにフォルミドの顔は血液で汚れており、腕もぶらりと下げている。


「もう終わりか!!」


 ミナトはふらふらと立ち上がったフォルミドの横に飛んで、その勢いのまま腹に蹴りをくらわせる。


「――ッ!!」


 フォルミドは今度は声も出せずまた飛んでいく。

 そして足を震わせて立ち上がると、腰のあたりからまた短剣を取り出して、弱々しく構える。


 腕が使い物にならないのに短剣を取り出したのは、そのほかに戦闘手段がないと思ったからか。

 何もないよりかは持っておいた方がいいと思ったのだろうか。


「おうおう、さっきの勢いはどうしたー? そんなんじゃ指一本も触れられないぞ!」


 ミナトは刀を肩にかけて、立つのが精一杯という様子のフォルミドに、挑発するように言う。


「…………」


 フォルミドから返事が返ってくることはない。

 彼女はこちらをじっと見つめて、ふらふら立っている。


「はぁ……」


 ミナトはため息を一つつくと、フォルミドの正面に飛び上段からの一振りを浴びせる。

 これも異常な速さでの移動と一振りだ。


 だがフォルミドは斜め前にずれながら、片方の短剣で俺の一振りを受け流しつつもう片方の短剣を俺の腹へ向けて突き出した。


「これで終わりねぇ……」


 勝利だと確信したフォルミドは勝者らしからぬ声で、そう漏らした。

 その声は安心と恐怖からの解放で震えている。


「そんな弱々しい、へなちょこ攻撃が通用すると思ってたのか。哀れだな」


 ミナトは腹に刺さらずに弾かれた短剣を見つつそう告げる。


 短剣はミナトの硬すぎる体に刺さることはないのだ。

 それも弱った体で放つ一撃など、蚊に刺されるより効かない。


「そんなぁ……」


 完全に戦意を失ったフォルミドは呻くようにそう言った。

 彼女の化物を見るような視線の先には少しの涙が浮かんでおり、短剣は彼女の手から滑り落ちた。


「残念だったな、貧弱な人間」


 ミナトはそう言ってにまぁと笑い、フォルミドの腹を蹴り上げた。


「……!」


 そして血を吐きながら倒れこむフォルミドの髪をミナトは掴み、今度は顔面を殴り飛ばす。

 そのまま抵抗なく転がるフォルミドはすでに意識がないように見える。


「は、もう終わりかよ。つまんねぇなあ」


 そしてミナトは無残に転がるフォルミドの先に飛んで、真上に蹴り上げる。

 まるで玉遊びをするように、彼女を蹴り上げた。


 血は辺りに飛び散り、びちゃっと音を立てる。


「まだまだぁ」


 ミナトは真上に上がったフォルミドの横に飛び、今度は両手を組んで地面に叩きつける。

 フォルミドは人形のようにそのまま落下し、血を吐く。

 腕も足もあり得ない方向に曲がって、今頭を持てばぶらぶらとまさに人形のようになるだろう。


 そしてミナトは刀の先端をフォルミドの中心に向けながら落下する。

 このまま落下すれば、間違いなくフォルミドの胸を貫くだろう。


 そのとき、本当のミナトはあの空間の中で叫んだ。


「だめだ!!」


 魔神化したミナトの視界をあの空間で見ていたミナトは、殺すことを恐れてとっさに叫んだのだ。


 するとミナトの持つ刀はフォルミドを貫く寸前で、横にずれて地面に突き刺さった。


「く、そ、ひとまずここまでか……」


 そう言うとミナトの目は赤色から正常に戻りオーラも消え、その場に倒れこんだ。

 

 そして本当のミナトはあの空間から引きずり出されるような感覚を覚え、すぐに意識を手放した。


読んでくださりありがとうございます。

この魔神化ミナトの蹂躙は書いてて少し良心に来ますね。

え、じゃあ書くなって?

すみません、読者の皆様のためにもこれからも全力で執筆しようと思っております。

評価にブクマ等何卒よろしくお願いします。

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