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サンダル
空中にいるほんのわずかな間、私は歩道に零波の荷物が転がっていることも、蝉が街路樹から飛び立って行ったことも、車がブレーキをかけたことも、見て、感じていた。
そして、地面に叩きつけられた。
目の前に、零波の水色のサンダルが落ちている。
交差点が、三メートルほど先に見える。
私は、現実を理解できずに──いや、理解せずに、今起こったことを変えるかのようにそれを見つめていた。
誰かの叫び声が聞こえていたが、それが自分の声だと分かったのは、病院のベッドの上だった。
空中にいるほんのわずかな間、私は歩道に零波の荷物が転がっていることも、蝉が街路樹から飛び立って行ったことも、車がブレーキをかけたことも、見て、感じていた。
そして、地面に叩きつけられた。
目の前に、零波の水色のサンダルが落ちている。
交差点が、三メートルほど先に見える。
私は、現実を理解できずに──いや、理解せずに、今起こったことを変えるかのようにそれを見つめていた。
誰かの叫び声が聞こえていたが、それが自分の声だと分かったのは、病院のベッドの上だった。
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