↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

242/593

242弾 狂獣倒して安心しよう?

 後ろを振り返りこちらに向かってくるパーティメンバーたちを見てから、オラオライオンを見ると、俺の方向に尻の穴を向けている。


「ニシキさん、逃げてー!。」


 誰かがそう叫んでいるが、これは間に合うのか。もうこうなったら、


「集中。」


 そう呟き、拳銃を構えて尻の穴に狙いをつけてぶっ放す。と同時にメムが尻尾の付け根目掛けて左側から突撃して、さらにそのタイミングで同時に、オラオライオンがフンを放出して……。


ドシュドシュドシュドシュドシュドシュ

ドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッ

ビシャビシャビシャビシャビシャビシャ


「ウニャニャニャニャニャー!。」


 メムが叫びながら、オラオライオンの尻尾を食いちぎる。

 と同時にオラオライオンは崩れ落ちて俺から見て右に倒れて、ピクリともしなくなる。



「おおー!、オラオライオンが倒れたー!。」


「止めをさせ、死んだか確認もだー!。」


 誰かの叫び声と共に、他のパーティメンバーたちがオラオライオンに群がり、


「よおし、倒したぞー!。」


 ドッと湧く歓声と、


「きゃー!!、ちょっと、この匂いには気をつけてー!。」


 という黄色い悲鳴。

 俺が今ただ言えることは、オラオライオンを1匹退治したということであった。



(フンをぶっ放してハイブリット、ってか……。)


(何その小汚いダジャレは。)


(まあまあ、しっかり汚れを落としましょう………。)


(ねえ、私もダンもある意味殊勲者よね。)


(ええ、ですが……。)


(何か悲しいわね、虚しいわね………。)


 戦い済んで夜が明けて、川に入ってメムの汚れを落とす俺。

 魔弾【剛岩弾】の威力で俺はフンの放出の被害を受けずに済んだ。しかし、ぶっ放されたフンが魔弾に、強烈な岩の弾丸の威力に押されて飛び散り、オラオライオンと、尻尾に喰らい付いたメムにビシャビシャにかかってしまったのだ。

 ということで、ある意味メムに対してこのようにしてしまった俺が責任を感じて、川に入ってメムを洗って、ついたフンを落としてあげる。汚れは落ちるのだが、匂いはなかなか落ちてくれない。仕方がないので、体を洗って乾いた後は、女性陣から香水をもらってメムにかけてあげる。


(ふう、なんとかなったわね。ありがとう、ダン。)


(まあ、よかったですね。なんとかなって。)


 そう念話術で会話しながら野営地へ戻ると、


「メムちゃん、ニシキさん。大丈夫かしら。」


 ヘルバティアがそう言って心配した様子を見せる。


「オラオライオンは倒した、ということでいいのですよね。」


 俺が確認すると、


「はい、先ほど審判役の方が魔石を回収していきました。まず1頭退治完了です。」


 とミアンが報告してくれた。

 そこへ、ベンナさんら純朴準星《ナイブティクェーサー》の一行が俺とメムの元にやってきて、


「いや、お見事な戦いでした。」


「まあ、ゆっくり朝食をどうぞ。」


「倒したとはいえ、なかなかな目に遭いましたな。」


「もう少し香水をどうぞ。」


「時間稼ぎといいながらここまでやってくれてありがとうございます。」


「このグランドキャットはすごい戦闘力ですね。」


 と口々に言い、握手攻めにされる。

 握手攻めに対応しながら、


「倒したオラオライオンは見ることができますか?。」


 と俺が聞いてみると、


「申し訳ない。審判役の方から特訓所所員によって回収するという話があって、ニシキさんとメムさんが体を洗っている間に、死体は回収されていったのです。」


 と本当に申し訳なさそうにベンナさんが答えてくれた。


「ニシキさん、もしかして倒したオラオライオンが、特殊個体じゃないかと思っているのね。その通りよ。混成魔法属性種《ハイブリット》だったわ。しかも4色持ちという超レアバージョンらしいわ。」


 ヘルバティアがそう言って、みんながシンとなる。


「はいぶりっと、ですか。どういう意味になるのですか?。」


「まあ、あまり聞かないし、私たちも見たのは初めてだからうまく説明できないかもしれないですが、魔法属性を複数持つ獣、害獣の事を、特にそう言います。あのハイブリット個体だと、狂獣というよりも災獣クラスに匹敵するかもしれません。」


 ミアンがそう説明してくれる。


「いや、途中から戦闘の現場を見ましたが、すごい戦いぶりでした。言葉がないくらいです。すごいという言葉しか出てきません。」


 モベルバンさんが高揚した様子で俺に言ってくる。


「あのー、みなさん。食事をとらせてください。静かにとらせてくれれば。」


「ああ、そうでした。我々はニシキさんがメムさんの体を洗っている間に朝食を済ませているので、ささ、どうぞどうぞ。」


 俺がお願いすると、トレソさんがそう言い、静かに食事をとれるように気を使ってか、オンリユニさんが


「さあ、みなさん。一旦、華束舞踏《ブゥケサルターレ》の方達だけで食事してもらいましょう。その間は見張り役をしましょう。」


 と言って、純朴準星《ナイブティクェーサー》の皆はその場から離れていったのだった。

 俺とメムは湯をすすり、携帯食糧をかじり腹を満たす。おまけで体力回復ポーションも飲む。


「まあ、特訓所での特訓が終わったら豪華食事をしましょうよ。」


 ミヤンがそう言いながら、少し悔しそうな表情をする。俺とメムの戦闘に少し己が歯がゆい思いをしていたのだろう。


「でも、あの尻を向けられたときは慌てたわ。みんな左右に分かれて射線から逃れようとしたのだけど、間に合うか合わないかだったからね。」


 とヘルバティアが顔をしかめながら話す。


「でも放たれたフンを撃ち落としつつオラオライオンにダメージを与えて、メムちゃんも尻尾を喰いちぎってくれたから退治できたのですよね。」


 とミアンが説明する。


「まあ、被害はメムちゃんにいっぱいかかった、だけで済んだわけね。飼い主としては大変だったかも知れないけど。」


 とミヤンがニヤつきながらそんな事を言う。

 それを聞いたメムが恨めしそうな顔で俺を見ながら、


「やっぱりそうよね。この女神を糞尿で汚して、みんなに鼻つままれながら哀れみの目で見られた責任は取ってもらわないとね。さあこの体で、払ってちょうだい、払ってちょうだい。」


 そう言って俺に飛びかかろうとするのを、必死でメムの頭を押さえながら、


「メム様、落ち着いてください。他のパーティもいますから、念話術で、念話術で。それにあれは故意じゃありません、事故、ですから。」


「まあそうですね、あの二人の攻撃がなければ、退治されていなかったのは事実だしね。メムちゃん、まあ落ち着きましょう。」


 俺がメムを抑えているところに、ミアンも援護してメムを席に戻す。


「さあ、朝食を早く終えましょう。メム様。」


 俺はメムにそう促す。

 こうなったらグダグダ、ダラダラするよりも、次のもう一頭のオラオライオンを捜索に移ったほうがいいだろう。



 俺とメムが朝食を終えて、身支度を整えてから皆が集まり今後について話し合う。


「まずは一頭倒した事ですし、次は他パーティに合流するのがいいのではないでしょうか。」


 ヘルバティアがそう主張する。


「もう一頭もこっちで倒せるのじゃないですか。もう一頭を探すことを優先しましょう。」


 アニエストさんがそう主張をする。


「うーん、オラオライオン退治に最も貢献したニシキさんの意見を聞いてみましょう。」


「「それがいい、それがいい。」」


 ベンナさんの提案にモベルバンさんとナツボワさんが同時に賛成を示す。


「確かにそうね。」


 トレソさんも遅れ気味に賛意を示す。そして皆が俺を注視する。


「ああ、そんなに見られても……、まあ、そうですね……、結論から言います。他パーティに合流した方がいいでしょう。」


 俺がそう言い切るとは思わなかったのか、一瞬沈黙が広がる。


「まあ、そう言うには理由というか、あの狂獣、大人数で確実に倒していく方が良いのじゃないかと。戦ってみて思ったのですが、倒せても予想以上に消耗が激しいようです。体力的にも精神的にも。あんなフンを浴びれば、さっきの戦闘のように被害がなくても、後のことを考えると厳しくなってくるのではないでしょうか。」


 俺がそう説明を続けると、


「なるほどね、この特訓、協働戦に参加の総員で狂獣を倒す方が確実性が高まる、ということですね。良い意見ですね。」


 ベンナさんが納得した表情でそう言って俺の意見を支持する。


「確かに、狂獣に1パーティずつ各個撃破されるよりはですね。パーティの合流を優先しましょう。私がさっき言った方針は撤回します。」


 アニエストさんがそう言って今後の方針が決まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。