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234弾 自分の怒りを制御しよう

「えーと、ダン。そんなに怒らないで、お願いだから。ねえそこから出てきて。」


「い・や・で・す。」


「あのう、あまりに大人気なかったことは認めます。ぶっ飛ばされるのも仕方ないことです。申し訳ありません。ですから出てきて下さい。」


「元はと言えば私が冷静さを欠いたことが原因です。十分反省しています。」


「私もミアン姉さんにイラついて揚げ足をとったのが原因です。お詫びしますから……。」


 選択肢を潰して皆を吹っ飛ばしてから、俺はずっと部屋に立て篭もった。昼食後、それを知って寝室前のドアで、メムと3姉妹が、寝室に引きあげ鍵をかけて立て篭もった俺を出そうとして、互いに反省と詫びの弁を述べている。俺も怒りのあまり、昼食も食わずに立て篭もったままとなる。まあ、俺も魔弾をぶっ放すという暴挙に出たのはあまり良くない解決法だとは内心反省しているが。それでも、今回は許す気にはならないのだ。怒りのおさまらない状態はしばらく続いている。それにカバンには水と携帯食糧もあるからしばらく篭ってやる事も可能ではある。


「メム様もヘルバティアさんとずっと一緒にいたらいいじゃないですか。喧嘩を止めず状況をややこしくしたメム様と、しばらく一緒にいる気はありません。ええ、俺はここで一人静かに引きこもってやりますから。」


「そんな………、入浴もせず食事をとらないとあとあと大変なことになるから……。」


「でへぇ、良い話ね。メムちゃんと一緒なのはいいとして、イテッ。」


 ヘルバティアが嬉しそうな声を出して喜んでしまったことで双子妹からツッコミを受けたようだ。


「ティア姉さん、今そんな話にノッている場合じゃないでしょ!。」


「もう少し状況を考えて下さい!。」


 ミアンとミヤンが長姉を叱る。


「ダン、調子に乗り過ぎたことは深く深く謝るから。ねえお願い。ドアを開けて。」


 この根比べは、夕食時まで続いたのだった……。



「………………。」


 俺は冷淡な目で皆を眺めながら夕食をとる。


「あのー、何か一言。」


「お怒りはごもっともですが……。」


「どうか怒りを鎮めて下さい。」


「本当に、本当に反省していますので……。」


 メムたちが俺にそう言ってくるが、俺の怒りは収まらない。


「…………………。ご馳走様でした。」


 会話なくそのまま夕食を終えると、さっさと入浴する。


「まずいわよ、これは……。」


「何とかしないと危険よ……。」


「ブチギレてるわね……。」


「うーん、やっぱり私がきっちり詫びを入れるか……。」


 各々がそう言っているのが聞こえるがそれを無視して、入浴してさっさと寝室に行き無言で寝床に入る。メムはヘルバティアと一緒に入浴しているようだ。

 しばらく寝床で横になっていると、早々と入浴を終えたメムが寝室に入ってきて、


「とても激怒されているのは重々承知しています。今回ばかりはもうこの私が全面的に悪うございました。非を認めて謝罪します。どうか、どうか口を開いて会話して下さい。念話術も無視されたのでは、こっちもどうとも仕様がありません。只々お詫びします。本当に申し訳ありませんでした。二度と、もう二度と話をややこしくするようなことはいたしません。」


 そう長々と詫びを入れて、土下座したのだった。

 そこまで言われて激怒のままというのも格好がつかないし、もうこれは、矛を収めた方がいいのだろう。


「……今度こんなことやったら、武力行使も辞さないとか、えげつない事をしてやりますので。」


「はい、わかりました。私だけでなくあの3人も。」


「あの3人も今度あんな事をしたら、同様ですから。」


「はい。」


「3人にもそう伝えて下さい。どうせ責任をとってメム様が代表で詫びを入れにきたのでしょう。もうああいう喧嘩は禁止ですから。今後喧嘩を続けたら容赦無く魔弾をぶっ放すつもりでいますので。」


「はい、承知しました。」


 メムがそう言った途端、ドアが開いて3姉妹がワサワサと寝室に侵入してくる。


「「「ごめんなさい。不快にさせて申し訳ございませんでした。」」」


 3姉妹が揃って詫びを入れたのだった。


「ふぅ、もう少し冷静になって下さい。言い争いからこうなって行ったのは事実なのですから。ではもう就寝の時間ですので、さっさと寝ますので。おやすみなさい。」


 俺はそう言ってこの騒動を終わらせて眠りについた。



 翌朝、


「おはようございます。」


 そう言って起きると、メムが


「ああ、怒りはおさまったようね。よかったわ。」


 と言うので、


「あまり人を喧嘩に巻き込まないようにして下さい。まあ、この話はもう終わりましょう。」


 と言うと、


「やっぱり、人って本当に怒ると言葉がなくなるのよね……。」


 と呟く。

 そう呟くメムを俺はじっと見つめると、


「はい、今後は気をつけます。ということで朝食にしましょう。」


 そう言って俺の足元に絡みつきながら居間へと向かうので俺もメムと一緒に向かう。

 3姉妹が少々ピリピリしている感じであったが、俺がいつも通りに食事をして他愛無い話をしているうちに落ち着いてきたようであった。


「で、ニシキさん。昨日中断した話で、朝食後、魔術の確認をしたいのですが。いえ、実際に体感はしましたので、魔法の発動はさせなくて結構ですから。」


 ヘルバティアがそう話を持ってくる。どうやら確認はしておきたいらしい。


「昨日説明したように、ニシキさんの魔術についてしっかり確認してコミュニケーションをとってパーティ戦を優位に進めようというのが私たちの考えですから。」


「何卒ご協力を。」


 ミアンとミヤンが互いに俺にそう言ってヘルバティアと連携する。3姉妹には俺の昨日の激怒がかなり答えたようである。


「まあ食事後に話しますか。メム様はどうしますか。」


「そうね、まあ私はある程度聞いたけど、……やっぱり聞いておいた方がいいわね。」



 ということで朝食後、居間に集まる。


「さて、俺は何を説明すべきかなあ。そもそも他人の魔術にはあまり立ち入らないのがこの世界の慣習というかルールみたいなものでしょうから。」


「ちょっと立ち入ってしまうかもしれませんが、今使っている魔法の種類を教えてくれれば。あとは、前にも運用研究と言って何か研究されていましたがそれについても差し支えない範囲で結構ですから。交換条件じゃ無いですけど、私たちも己が使う魔法について話をしますので。」


 俺とヘルバティアがそう会話して何をどう話すのか確認し合う。


「うーん、では、まずは……、俺の使う魔法の属性については一応全属性、つまり火水風土光闇の全ての属性が使えることは自分自身でも確認済みです。」


「うん、うん、でも稀なのよね、全属性を使える者って。」


 ミヤンが俺の話にまず反応する。


「でも、魔法を発動させた威力はかなりの威力ですよね。大体は火と水、風と土、光と闇の属性同士は基本打ち消しあうから、全属性を使えるということは、反発しあって魔法の威力が落ちてしまうのですけど。」


 とミアン。


「しかし、どうしてあんな威力のある魔法が発動できるのかしら?。」


 とヘルバティアが首をひねる。


「うーん、私が口出ししていいのかどうかわからないけど。」


 メムがそう口を挟む。


「ダンの魔法は最初うまく発動しなかったのよね。イチノシティの街で魔術協会に魔力を測定してもらった時、確か、魔法の変換速度と魔力の瞬間放出量及び発動瞬間時の事象変換エネルギーが大きすぎるとか言われたのだっけ。」


「ええ、だから魔道具も杖も俺自身に合うものがなかったのです。俺に合う杖材となりそうなダイバムナリグの木は、希少かつ高価という代物、この世界に来たばっかりの俺には採取に行くにしても買うにしても全く手がでない。安い杖材や魔道具では魔力を流すだけで壊れる。やっぱり俺たちのいた世界からこの世界トゥーアールに転送されてきたからかもしれません。」


 メムの話を口火に俺がこの世界に来た直後のことを思い出しため息をつく。


「まあ、確かにダイバムナリグの木を杖材として手に入れるのは、依頼の中でもなかなか出てこないし、出てきても難易度が高いですから。」


 ミヤンがそう言って納得する。


「でも、今使っている魔法は測定された時の特徴というかそれをうまく活かしているというか、威力はかなりあるのだけど。」


 ミアンがそう言い考え込む。


「この世界での魔法式とか魔法陣は俺は使っていないですね。ただ、最初はこの世界での魔法のファイヤーボール(火球)をイメージしてそこから開発しましたが。」


「「「ええっ。」」」


 なぜか3姉妹が驚愕した。

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