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228弾 このムカつく奴らをぶっ飛ばそう

「リーダー、気合いはいいですが、メムの感知では向こうは8名のメンバーですが。」


「じゃあ、逃げてみますか。」


 俺の報告に、思わぬことをミアンがさらりと言い出す。


「冗談……ですか?。本気ですか?。」


 俺はミアンに思わず問い直す。


「だって、相手は強そうですし、無理に戦っても勝てるのならいいですが、高みの見物で戦力を温存して、その上人数が私たちのほぼ倍、何かニシキさんに策でもありますか。」


「はっきり言いましょう、ないです。」


 ミアンにそう聞かれると俺もそう答えざるを得ない。

 その俺の答えを聞いてヘルバティアとミヤンとメムが一斉にずっこける。


「じゃあ降参でもしてこのバトルロイヤルを終わらせますか……。」


 ヘルバティアがそう呟くところに、大音声が響き渡る。


「どうだね、我らがパーティ天空刀剣《スカイソード》と真正面から渡り合って勝てる自信があるかね。少人数のパーティと見たが、ここは代表者1名ずつを出して話し合いと行こうじゃないか。ここまできたら悔いなく戦っておきたいだろう。戦い方を話し合いで決めてみないか。」


「まるでもう勝ったような言い草ね。」


 大音声を聞いてミヤンが悔しそうに唇をかむ。俺はそこに相手パーティの油断を感じた。


「一発ギャンブルをかましてみますか。」


 俺はそう呟くと、


「俺とメムで話し合いに行ってみたいのですが、いいですか。」


 ヘルバティアにそう告げる。


「まあ、いいけど。どんな話し合いをするつもりかしら。」


「降参の条件を詰めることにします。」


「しょうがないわね。でも私たちは隠れてあなたとメムちゃんを見張るようにするわ。」


「わかりました。状況にもよりますが、離れて見張ってくれればいいかと思います。」


 俺はそう言ってヘルバティアの了解をもらい、大声で


「そっちの話し合いに応じよう。正直こっちは4人と一匹だから、その話し合いに乗る価値があると思っている。」


 そう返答する。すると、


「わかった、ではあの塔から少し離れた一本の枯れ木のところで話し合おうではないか。」


 とさっきの男の声で場所が指定される。


「なるほど、塔の出入り口の裏側にあるあの高い枯れ木の下か。」


「ああそうだ、一対一で話し合おう。」


「わかった。」


 俺が了解すると、ヘルバティアたちがサッと俺の元に寄ってくる。


「気をつけて下さい。」


 とミアン。


「気取られないように見張っておくから。」


 とヘルバティア。


「条件はしっかりつけて話し合って。」


 とミヤン。



 俺はメムを手招きしてかがみ込み、頭を撫でながら念話術で会話を開始する。


(一か八かの勝負しますので、一緒に暴れてくれませんか。メム様。)


(何かするつもりね。面白そうだったら暴れてあげるわ。)


 そしてすくっと立ち上がり、指定の場所である枯れ木のところへメムを連れて向かうことにする。

 スタスタと歩いて向かい、当該場所に到着する。そこには華やかな鎧兜をつけた剣士、いや騎士のような男がそこに立っていた。銀色の装飾が華やかに光っている。兜をかぶっているので髪型などはわからないが、端正なイケメンでシュッとした男性アイドルみたいな顔立ちをしている。


「いや、話し合いに応じていただきありがとうございます。」


「益獣を連れてくるのは問題になるのでしょうか。」


「いいえ、そんなことはないですよ。降参の条件ですか。」


 名も名乗らずにいきなり降参前提とはな……。少しムカついてくる。メムも野生的な勘が働いたのか毛を逆立てている。


「ああ、その前に、当方はパーティ名、華束舞踏《ブゥケサルターレ》の姓はニシキ、名はダンと申します。この度は話し合いの呼びかけに応じ、まかり越しました。」


「わざわざの挨拶痛み入ります。パーティ名、天空刀剣《スカイソード》の姓はシーカッマ、名をスラグダと申します。で、早速ですが降参する気になりましたか。」


 俺たちに勝ち目がないと見込んでの発言だろうが、随分と上から目線な感じがする。


(ねえ、左に2人、奴の真後ろに3人、右に2人、木陰に隠れて計7人、これ多分話が合わなきゃ一気に私たちを襲って戦闘不能にするつもりよ。)


(了解です。)


 念話術でメムが感知してくれている。


「どうでしょうか、このまま降参してくれれば健闘料として幾許かの礼金を支払わさせていただきます。10級のランクアップ試験を受けるにはやはり物量と資金量が重要ですから。ここで降りてもう少し物量と資金量を増やしてから再度このような特訓と試験を受験されるのが賢い選択というものでしょう。」


 シーカッマさんはとうとうと降参の勧告をしている。よく舌が回る奴だな。さらに続ける。


「家族での挑戦はなかなか特訓所での特訓を乗り切るのも、試験に受かるのもうまくいかないと言います。家族のためにもここは退くのもいい判断と言えましょう。」


 うん?、どうして家族だと思ったのだろう。


「降参の勧告はさておき、家族、ですか?。」


「おや、そうではないのですか。双子のうちの一人があなたの女房で、小さな女の子がいるのじゃないですか。え、まさか双子を妻と愛人にしているとかですか。」


 随分失礼すぎる発言と認識だな。それとも挑発か。


(う、ううううぅ、コイツ、ぶちのめしたい。)


(挑発かもしれませんから、少し落ち着いて。)


 念話術ながら、メムが怒りをあらわにし出そうとしている。


「失礼だが、あなたは認識力に劣っているようですな。挑発のつもりでこの話し合いをするのなら、そちらの皆さんのご期待に沿う形になるでしょうな。」


 そうだ、何となく感じていたのは、かつてメムを買い取ろうと宣のたまったあのファチオア商店のアンチージョ・リージーと同様の匂いを感じるからだ。


(メム様、殺やりましょう。後ろの隠れている奴らは俺がやります。)


(じゃあ、この長口舌の派手ヤローは私の獲物ね。必殺技、ラッシュコンボ・テンペストの餌食にしてやるわ。)


「ふん、認識力に劣っているのは貴様らだろうが。ならば我らのパーティに蹂躙されるがいい、ぐはっ。」


 メムが頭突きをシーカッマにぶちかます。シーカッマは体を崩し前のめりに倒れる。


「集中。」


 俺は呟き、拳銃を抜いてシーカッマの後ろの方の3箇所に分散しているパーティメンバー目掛けて魔弾をぶっ放す。


 ドシュ ドシュ ドシュ

 ドシュ ドシュ ドシュ


 右側、真ん中側、左側、左側、真ん中側、右側、左右に往復する形でしっかり魔弾【剛岩弾】と【火炎弾】をぶっ放し魔法を発動させる。

 木陰に隠れた奴らが【剛岩弾】で木ごと撃ち抜かれて、【火炎弾】で焼き飛ばされる。


「ううう……。」


 と言いながら天空刀剣《スカイソード》の他のパーティメンバーは大きなダメージを喰らって伸びてしまったようである。


「ま、まさか、こんなことが……。」


 シーカッマはメムの頭突きを喰らって崩れたものの再度立ち上がるが、


「ニャーシャーッ。」


 とメムの気合い声とともに、この前開発した必殺技、ラッシュコンボ・テンペストを喰らうことになる。今回は最初に頭突きをそして爪斬撃を中心にしてのコンボになる。


 ドガドガガガガドガドガドガドガガガガガ


 端正な顔が過去形となり、空中高く飛ばされてドギャッと地面に落ちる。爪斬撃により鎧はボロボロ、頭突きにより顔に青タン、鎧に凹み、手足は噛みつかれた跡が……。


 「フシャー。」


 メムはそう吠えて一瞬だけ空手のような残心のポーズをとるがすぐに元に構えて毛を逆立たせる。

 天空刀剣《スカイソード》のパーティメンバー総員の状態を確認すると、息はあるようだ。

 かなりやりすぎたか、そう思いながらシーカッマの元に行くと、木の上から審判役が降りてきて、


「それまでです。パーティ戦によるバトルロイヤルはこれにて終了です。お疲れまでした。」


 そう言われて立ちすくむ俺とメムに向かって、サッと駆け寄ってくるヘルバティア、ミアン、ミヤン。


「まさかこんな勝ち残り方にするとは……。」


「話し合いと見せかけての猛攻撃ですね。」


「いやー、お見事。」


 次々とヘルバティア、ミアン、ミヤンたちがそう言ってくる。

 そこへ、トレガーマさんとガーワンバーさんがやって来る。


「お疲れ様でした。しかし、こんな早く決着するとは、いや全くお見事です。」


 ガーワンバーさんがそう言って俺たちを褒めて、


「さあ、間も無くするとドラキャが来ますのでそれにまず乗って下さい。お疲れ様です。休んでください。」


 トレガーマさんが俺たちを労うのであった。

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