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112弾 しっかり思い出してみよう

 夕食時、みんな、あの朝食のダメージから回復したが、結局誰も料理できなくなったため、持ち帰りの弁当で、といってもパニオスに何かを挟んだものだが、皆で夕食をとることに。


「ああ、そうだ。絵についての資料を読み込んでみたら、わかったことがあります。」


 食事も終わりかけのところで、俺がそう切り出す。


「何かわかったのですか!。ぜひ教えてください。」


 ヘルバティアがやや興奮気味に喰いついてくる。


「とりあえずの推理になりますが、…食事後に出すべきでしょうけど………これです。」


 そう言って俺がメモした数枚の紙を横合いから出そうとする瞬間に、食事の速度を一気に上げた双子妹が、残りの夕食を平らげて、片付けにかかるので、俺も慌てて食事を平らげる。


「もう、慌てる必要はないでしょ。」


 そう言ってメムは悠然と食事をするが、周りの空気を読んだか、さっさと平らげにかかる。まあ一番食べてるのはメムだけど。



 ざっとテーブルの上を片付けて、茶を飲みながら、俺はメモ紙を7枚置いていく。5枚は絵についての説明文と思われるところを抜粋したメモ、2枚はメムにも一度見せた、ここにない絵を予想して描いた2枚の絵。


「ところで、3人は、この5枚の絵を見た事はあったのですか。」


 最初に3人から絵についての話を聞いて、多分見た事はあるはずだが、どう表現すればいいか分からなかったのではないか、俺はそう思った。


「もちろん、でもよく分からない絵だった。」


 ミヤンが真っ先に回答した。


「ニシキさんに言われて納得はしましたが、絵に描かれた実物を見たわけじゃないので……。」


 とヘルバティア。


「この、こうくうき、の絵は確かに私が見た絵にありました。あとはこの、びる、の絵も確かにこんな感じの絵でした。」


 とミアンが俺のメモ書きした絵を見つつ、思い出しながら答える。まあ、実物を見ていないとそう言わざるを得ないが。


「では、ここから話は変わるかもしれませんが、俺の推理も入れての話になると思います。しかしまず、裏ギルドで俺たちを襲った時、何を報酬にされたのですか。絵の情報ですか、それともご両親の手がかり。」


 3姉妹が一時沈黙する。


「裏ギルドで会った依頼人から情報を得ようとしていたのですね。」


 俺は沈黙を破り、そう確認すると、3姉妹は全員でコクリと首を縦に振った。まあ、前にも手がかりを求めて裏ギルドにも手を出したって言ってたからな。


「あともう一つ、変装術の師匠に術を教えてもらったのは、画商とかに侵入するため、侵入して情報を得るためですよね。」


「……その通りです。」


 ヘルバティアが口を開く。


「私たちは、画商等の商人の店や、情報を持ってそうな重要人物の邸宅に侵入し、情報を集めていました。また、画商等に変装して近づき、情報を得ようともしました。でも、それは空振りに終わりました。両親の行方も、絵の行方も全く分からないままでした。」


 まあ多分、どのルートにも絵は売り出されなかった、と言うことだろう。


「わかりました。ご両親がいわゆる異世界に行ったというのは、いつ頃のことですか。」


「確か、私たちが生まれる前、結婚直後でした。」


 ミヤンが答える。


「私たちが物心ついた頃に両親が言っていたのは、結婚直後に迷宮みたいなところを探索していた時に異世界へ飛ばされたと、その体験を絵にしたと。そして向こうの時間とこの世界の時間の流れる速さは違うのかなと、言ってました。」


 ヘルバティアが補足説明をしてくれた。


「ふーん、じゃあその探索の時は他のパーティメンバーと一緒にいたのですか?。」


「詳細はうろ覚えですが、2、3人ずつで迷宮を手分けして調べていた、と……。冒険日誌か記録があればいいのですが、それもどこかにいってしまったようです。」


 今度はミアンが答えてくれる。


「そういえば、そのパーティ名というのは。」


「………確か……七つ(シエテ)星(エステレイラ)……かと。」


 再びヘルバティアが答えてくれた。

 あれ、なんかで聞いたことがあるのだが、ちょっと今は思い出せない。まずこっちの推理を聞いてもらうか。


「じゃこれから話すのは、あくまで俺の考えです。」


 俺はそう言って、茶を一口すする。続けて、


「この絵を狙っている黒幕は、この絵の解析をしているのじゃないでしょうか。その解析をして、お宝が隠されていると思ったか、あるいは何か力が手に入れられると思った。そのどちらかではないでしょうか。」


「だとしたら、この時期に侵入したり家を襲ったりしたのはなぜ。」


 ミヤンが疑問を投げかける。


「盗んだ2枚の絵を調べて解析をして、あと3枚の絵がやはり必要と考えた。そのために行動に移った。ご両親は、俺たちのいた世界にただ数日転移しただけ、それでも、黒幕は俺たちのいた世界にとんでもないお宝か、未曾有の力をもたらすものがあると考えた。」


「じゃあ、私たちの両親は……。」


 とヘルバティア。


「わかりません。あくまで俺の推理です。」


 俺は淡々と返す。


「本当ある意味、あなたの推理なだけよね。ダン。」


 メムが苦々しく言う。


「で、そう仮定して、囮調査をしてみようかと。もう少し調べてからですが。」


「じゃあ、やるの。ダンが囮になる調査を。」


 メムがさっきとは一転して楽しそうに言い出す。


「すぐそうするわけじゃなさそうですね。」


 とミアンが言う。


「ただ、文だけで何が描いてあるか読み取るなんて。しょっちゅう見てた絵じゃなかったから、記憶がはっきりしないところもあったのに。」


 ヘルバティアが少し感心したように言う。


「と言うことで、調べにご協力いただければ。」


「いいわよ、もちろん。」


 ヘルバティアは前向きに答える。


「でしたら、まず人を倒すような料理、調理はお控えいただければ。」


 そうヘルバティアにお願いする。


「……う。そ、それは鋭意努力するわ。」


 双子妹たちがこっそり俺に向けて親指を上げてくれた。



 夕食と3姉妹への調査確認を終えて、いつも通りメムはヘルバティアと入浴を、俺は灌水浴室でシャワーを浴びて自部屋に戻る。


「あ、思い出した……。」


 俺たちが以前、臨時パーティメンバーの依頼で参加したパーティ名が確か、四つ星《クアトロ・エステレイア》。そのパーティへ参加した時に、かつては七つ星(シエテ・エステレイア)というパーティ名だった、と誰か言っていたな。

 再活動をしたことは、彼女たちに言うべきか、それとも、もう知っているかな。ただ、ご両親が元そのパーティメンバーだったかも確認するか。

 臨時パーティメンバーとして一緒に短期間だけ活動したけど、彼らは俺を覚えているかな。あとは、あの3姉妹とどれだけ交流があるかも調べるか。

 どういうふうに質問していくかによって、流れは変わる可能性もあるから、質問内容と聞き方はしっかり考えておかなくてはならない。

 その時、ドアがノックされ、


「ニシキさん、いいですか。入浴終わりましたので、メムちゃんを返します。」

 

 ドアを開けると、メムを連れたミヤンがいた。

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